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【第三章】第三十一部分

御台は放課後の教室に戻った。

教室には吉宗ひとり残っていた。吉宗は教室の入り口に強い視線を感じた。

御台は吉音としての吉宗のところに、力強く歩いていった。必要もないのに、大きく腕を振っている。

吉宗は立ち上がって、御台を見つめた。確実に御台の瞳の中心を見据えている。

御台はお返しをするように、しっかりと吉宗の目を見て言葉を紡いだ。

「ボクは徳田さんのことが好きだ。でも将軍吉宗のことも好きだ。それでもボクを受け入れてくれるかい?」

「二股前提の告白なんて聞いたことがないわよ。そんなの大いにお断り・・・したいところだけど、これも将軍の倹約令なのかしら。恋も百パーセントにするんじゃなくて、倹約しろってことかな?なんてね。アタシは、大歓迎よ。二股、三股、四またまでは大丈夫よ。ってウソ。二股が限界。それ以上は許さないんだからね。」

「二股はいいんだ。よかった!じゃあ、もう一度将軍吉宗にアタックしてくるよ!」

「えええ?ちょっと、待ってよ!こちらにも心の準備が、じゃなくて、体の準備が間に合わないわよ!」

 御台と吉音のままの吉宗は一緒に生徒会長室に走っていった。

ふたりとも、広い花畑で四ツ葉のクローバーを見つけたかような、歓喜に満ちた表情であった。




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