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【第三章】第二十七部分

「ちょ、ちょっと、約束が違うじゃない。」

「「約束通りだよ。今から頑なハートを殺してあげるよ。」」

H前と市香は大きく息を吸った。そして全力で積もる思いを吐き出した。

「上様、好きだよ~!」「将軍様、好きだよ!」

「えっ。」

吉宗は息を飲んで沈黙した。再び無呼吸症候群に転じた。

宗春は唇と破れた扇子を震わせていた。

「これではワタクシの目論見からは路線逸脱、隣の道路に飛び込んでますわ!」

一部始終を見ていた御台は、カッと目を見開いて、世紀末覇者のように右腕を天に突き上げた。

「これだ、これだったんだ、ボクが迷っていたことを打ち破るのは!」

今度は御台が吉宗に強力な視線を浴びせていた。

「眩しいわ!でもちゃんと目を開かないと。」

吉宗は御台の方に体を反転させた。御台は覚悟を決めたような表情で、しっかりと開口した。

「ボクは君に今まで言えなかったことがある。ボクは自分の気持ちを倹約してたんだ。ボクには星が2つ見えていた。しかしどちらに手を伸ばしたらいいのか、わからなかった。どちらの輝きも心を打つものだったから。今、ふたりが同時に自分の気持ちを伝えたことでわかった。そして勇気をくれた。今ここで自分自身を開くよ。・・。ボクは徳田さんが好きなんだ。」

「えっ。な、なんてこと。」

吉宗は絶句してしまった。そこから続く言葉は頭の中だけにクリップで留めた。

(う、うれしいけど、それじゃあ、将軍としてのアタシの存在はどうなるの?)

吉宗の中ではうれしさよりも曇った感情の方が大きかった。

御台はわずかに俯きながら話を続けた。表情は告白しているせいか、ひどく険しいものになっている。

「でもそれだけではボクの真の気持ちを伝えたことにはならないんだ。」

御台は顔を上げて、吠える犬にでも対峙するように吉宗を睨んだ。

「な、何よ。いまさらアタシに言うことが残ってるの?」

「そうさ。ふたりが同時に告白したということをボクもやってやるよ。・・吉宗、君のことが好きだ!」

「そ、それって、徳田さんとアタシを一緒に好きになったということ?」

「そういうことだよ。いけないのかい?」

「渡心くん、それは重婚だよ~、民法違反だよ~・・・。でもこの場合は?」

H前の抗議テンションが急激にシュリンクした。


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