【第三章】第二十五部分
「上様。進化生徒会に逆らっちゃダメだよ~。関白殿下の言葉は絶対だよ~。あたしは御簾様の愛を取り戻したんだよ~!」
「おたすけえ。いったい、何を言ってるのか、わからないわよ。何か自分でカミングアウトでもしたのかしら。」
「そんなこと、もはやどうでもいいよ~。とにかく、関白殿下ファーストだよ~!」
他のふたりも同じ考えであるような素振りを見せた。
「みんな、アタシに仇なすつもりなの?生徒会の仲間じゃない!」
無言の三人は無情にも、首を横に振った。息の合ったきれいな動作である。
「これは四面楚歌じゃないけど、三面教師だわ!」
反抗者が三人いるという意味である。
そこにもうひとりのメイド服が現れた。三人よりも明らかに華やかな印象があって、目を奪われる。
「ボクを加えて四面楚歌完成だな。」
「「「「「まぶしい!」」」」
吉宗+三人メイドがあまりの輝きに、目を覆った。
金色の光沢を放つ特別なメイド服を着た御台が厳かな美しさを強く帯びて立っていた。
「「「「かわいい!!!!!」」」」
吉宗たち女子四人+御簾の間の宗春までが悲鳴にも似た奇声を上げた。
「布切れ王子、どうしてそんなかわいい、じゃない奇妙な格好をしてるのよ?」
「さあ、ボクもよくわからない。この煌びやかさは、倹約の反対を行ってる、つまり倹約を拒否する姿勢の現れなんだろうな。」
「う~ん、意外にもスゴく似合ってるわ。タラ~。」
「上様!」「将軍様!」
よだれを垂れ流す吉宗に、ジェラシーのクレームを飛ばすH前と市香。
御簾の間からは、扇子を拾い上げる音を立てたあとに、声が出てきた。
「メイド服を着ているのは、ワタクシへの忠誠の証しですわ。もう将軍吉宗に肩を貸す者はいないのです。ホーホホホッ。」
「布切れ王子におぼれてる場合じゃないわ。彼はアタシに敵対してるのよね。」
「そういうことだよ。ボクは副将軍になったものの、将軍と根本的に相容れないところがあるのは事実。先々のことを考えていた時に、進化生徒会に勧誘を受けたんだよ。生徒たちに一度お化粧という武装させて、ハシゴを外すというやり方は乱暴ではある。しかし荒療治という言葉もある。武装にうつつを抜かして勉学を疎かにする生徒たちを更生するには、いい機会かもしれないと思ったんだよ。だから、進化生徒会の考えに賛同するという意味を込めてメイド服を着たんだ。」
御台の強い言葉に宗春が乗ってきた。
「そういうことですわ。メイド服について、ワタクシは強要などしておりませんわ。チラッ。」
宗春は小さな紫色の瓶を吉宗に見せた。瓶の口から紫煙が漏れているのがわかる。




