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【第三章】第十四部分

そんな吉宗を無視して、市香は怖がる債務者を前にした借金取りのように、H前に対しておっぱい占有交渉を始めた。

「大岡先輩。メジャーな宗教では右胸を揉まれたら左胸を揉ませます、とあります。だから、そっちのおっぱいをお市に差し出して下さい。」

「うん、わかったよ~。・・なんてやるか~!」

「ちっ。ならば正直にお市の気持ちを告白します。大岡先輩、ひと目遭ったその時から、このあたりがキュンとなりました。大岡先輩のことが好きです。その左おっぱいを譲ってくれたら、お市の恥ずかしい、いや自慢部分をあげます。」

H前のユリ属性を大きく揺さぶる視線である。H前は口元を捻って、思わず股間に手を当てた。

「ぐ、具体的にはどんなことだよ~。」

「ほらほら、これです。」

市香は空いていた左手で自分のおっぱいを持ち上げた。意外にボリュームがある。

「お市は、長い間、病気で寝ていたから、天からの授かりモノが蓄積したらしいんです。」

「そ、そんな誘惑には、の、乗らないよ~?」

返事が疑問形を取っている明らかに動揺しているH前。太ももの筋肉が軽く痙攣し、足がガタガタと震えている。

「大岡先輩、中学生の柔肌ですよ、レアモノですよ。」

「うっ。」

「この機会を逃したら、生涯触れる、いや蹂躙できないかもですよ。うふっ。」

「う、う、うが~!」

H前は狂気に冒されて、辛くも大脳が制していた運動神経のダムがはち切れて、暴れ出した。

「アタシの前で何をしてるのよ!ふたりとも止めなさいよ!」

「「は~い。」」

市香は、自分がゲスになった理由を思い起こしていた。今から考えれば反吐をいくら出しても足りないぐらいである。

(お市は寝てる間、部屋の白い壁と天井が友達だった。お市が伏せって何もできないことを恨めしく思っていた。みんなが恋愛や青春してる間は妄想だけがお市の居場所。それしかないんだったら、徹底的に妄想してやるよ、健全な女子がやらないようなことをね。)

実際にゲスになってみると、常に心が解放されることに気づき、市香は水を得た魚のようになった。市香は自分らしい生き方を見つけたのである。


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