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【第三章】第二部分

「ううう。ここはどこ?って、今日は不思議なことが次々と起こってるわ。」

「この広い空間で浮いてる感じ、知ってるわ。こうなると、ここに認知症の老人が現れるはずよ。」

宣言通り、スーッと老人が現れた。こういう風に出現する老人は大抵嫌味たらしいものである。

「やっぱりだわ。あなたは家康ね?」

「ご先祖様を呼び捨てにするヤツがあるか。それにワシはまだ認知症ではないぞ!まあよいわ。かわいい子孫の戯れとしておこう。まずはワシのことを覚えていたとすると話が早そうじゃ。この次元のハザマでは、吉宗は前世と現世、両方の記憶を持っているじゃろう。」

「うん。現代で大きな決断をして、過去に飛んであまりに酷いことになってしまった状態を見てきたわ。」

「ならばもはやわかるじゃろう。吉宗が現世で大政奉還したことが過去に影響したんじゃ。」

「そんなことになるなんて知らなかったし。でもアタシはいったいどうしたらいいの?現世が過去にって、時系列じゃ逆じゃないの?」

「時の流れは相対性理論の通り、あくまで相対的基軸じゃ。絶対的基軸である次元が上位概念じゃ。修正すべき次元は、現世なんじゃ。」

「でもアタシは無力だわ。倹約令は失敗したし。」

「そんなことはない。言葉の発布なんて守らなければそれまでじゃない。倹約令に従わせるのは、お触れそのものではない、魔法じゃ。吉宗にはその能力がある。」

「いきなりなんなのよ。言ってることがさっぱりわからないわ。」

「よく考えてみろ。ネコ将軍をけものから元の人間に戻したのは誰の力じゃ。」

「えっ?そ、そう言えばプロセスは覚えてないけど、結果はそうなってるわね。」

「吉宗は無意識のうちに、強力な魔力を使っていたんじゃ。それだけの魔力がなければ、この次元の間に来ることはできぬ。吉宗は荒んだ心を抑えたということじゃ。」

「それは病気を治した、つまり病気を倹約したということ?」

「病気を治したのではない。かけられていた魔法を軽減したということじゃ。」

「ええっ?ネコ将軍には誰かが魔法をかけていたってこと?そして、かかった魔力をアタシが倹約したってこと?」

「そうじゃ。ネコ将軍にかかった魔法を倹約したから、ネコ将軍にはまだ魔力が残っていたじゃろう。その魔法を誰がかけたかは、現世に戻ればわかるじゃろう。」

「誰って自分で確かめればいいわね。しかし、倹約魔法って、なんかショボくない?フツー、無効化魔法とかいうんじゃないの?」

「それは魔法のことをよく知らない人間のセリフじゃ。よく考えてみろ。魔法を使う、つまり外部に放出された魔力を完全に消し去ることなぞ、ほぼ不可能じゃ。魔力効果を減殺することが現実なんじゃ。世の中、そんなに都合よくいかないことは、吉宗がいちばんよくわかっておるじゃろう。自分の胸に手を当ててみろ。おっと、胸は存在しなかったな。わはは。」

「いきなりセクハラ言うんじゃないわよ。このエロジジイ!」


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