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【第二章】第四十九部分

「そうだよ。ボクは自分と自分身内のことを大切にする、マイファーストな人間さ。」

「あはは。こんなところで、いいえ、大衆の目の届かない生徒会長室だからこそ、隠された本心を見せることができるってわけね。将軍に対して胸襟を開くとは、忠誠心は合格よ。」

「お褒めに預かり、恐悦至極だよ。」

「「シゴク!?いったいナニを?」」

またも見事なハーモニーを描いた吉宗と綱吉。

「ワケのわからないところに反応するんじゃないよ。時間の無駄だ。さあ早く要件を言ってくれ、単刀直入に。」

「「男子の単刀を直入する!?」」

二度あることは三度。

「いい加減にしてくれ。」

『ゴ、ゴホン。』

咳払いをしてやっと落ち着いてきた吉宗。

「渡心御台、あなたは妹さんの進学のことで悩んでいるらしいわね。」

「うっ!」

御台の表情から淡い余裕の色が消え去った。

「その悩みのタネを押しつぶしてしまうのに、転校生の徳田吉音を退学させないといけないのね。」

「ど、どうして、そんなことを知ってる?」

 動揺を隠しきれない御台の腕は震えていた。

「全知全能な将軍だからよ。でもそんなことをする必要ないわ。」

「これはボク個人の問題だ。将軍、いや生徒会には関係ない話だよ。」

「そうでもないわよ。アタシは刀狩りを始めとして様々な倹約令を出してきたけど、それはアタシの、生徒に対する一途な想いをぶつけたまでのことなの。」

「どこが?生徒というフレーズには自分が含まれているだろう。自分のためにするのは、タダのエゴだろう。生徒全員のためでなければ、エゴを超えることはできないよ。」

「たしかにアタシの政策は生徒ひとりのためにやろうとしていたわ。でもそれは自分のためじゃないわ。」

「よくわからないぞ。自分じゃない生徒って誰のことだ。」

「誰でもいいわ。こんな言い方って、いかにも泥かぶりっぽいわね。でも泥をかぶるのも将軍の仕事。」

「泥をかぶる?まるで正義の味方のような言い方に聞こえるけど。」

「アタシは悪の将軍だけど、そう感じてくれるだけでうれしいわ。」

「その顔、どこかで見たような。」


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