【第二章】第四十八部分
その後、吉宗は窓の外を眺めて、何やら独り言を呟いた後に、綱吉の方を向いた。
「たしかにそれは思い当たるフシがあるわ。でもそれが本当かどうか、布切れ王子にちゃんと確認するわ。アタシはその上で、身の振り方を考えるわ。」
綱吉は、そんな吉宗を見て、ニヤリとした。
「ドSが復活しそうだにゃ。これから起こる惨劇がドS本能を起こしてくれたにゃ!」
「ネコ将軍、布切れ王子をここに呼んでくれる?一応、あんたは布切れ王子の上司なんだから、副将軍に命令することぐらいできるわよね?」
「そんなことしていいのかにゃ。将軍吉宗が呼ぼうとしてるのは、冥界への悪夢先案内人かもにゃんだけど?」
「構わないわ。蛇が出るか、鬼が出るか、お兄ちゃんが出るか、どれでもいいわよ。」
「お兄ちゃんは出ないと思うにゃ。それに、その顔は、明るい未来を捉えているようには見えないにゃ。」
「そんなことどうでもいいわ。とにかく、布切れ王子をここに呼んでよ。」
「それはいいにゃ。ツナが手をくださなくても将軍吉宗が苦しむ姿が見えてくるにゃ。もう気持ちいいにゃ。ハアハアハア。」
脳内ドSアドレナリンを噴出させて悶える綱吉。
しばらくして、綱吉は御台を生徒会長室に引き連れてきた。御台は睨めつけるような雰囲気で吉宗を見つめている。
「将軍吉宗、いったいボクに何の用だ?」
「相変わらず、アタシに対しては戦闘モードなのね。実にすがすがしいわ。」
すがすがしさとはまったく異なる重苦しい表情の吉宗。
「ここに来てもらったのは、ほかでもないわ。」
「ボクは副将軍だし、同じ部屋にいるんだから、数秒間で来れるけど。」
「な、なかなか鋭い強がりを言うわね。そんな吠え面かくのも今のうちよ。」
「別に虚勢を張ってるつもりはないけど。」
「「えええ!去勢した?」」
吉宗、綱吉が爆弾発言に驚愕したが、発言は自分たちが勝手に昇華させたものである。
「騒ぐのはよしてくれる?うるさいのは、騒音主の荒れた心に憐れみを感じてしまうから、あまり好みじゃないんだよ。」
「あらら、他人の気持ちを思いやることで名高い渡心御台のセリフにしては、冷静、いや冷淡ねえ。」




