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【第二章】第四十六部分

「ちょっと待ってくれ。それは話が違うだろう。」

「渡心御台さんの意向を十分に検討して出した結論です。もはや覆ることはありませんわ。」

「すると徳田さんは退学に?」

「そういうことですわ。そして、徳田吉音さんへの最後通告を渡心御台さんにやっていただきますわ。それも妹さんに特進クラス権利をお渡しする条件です。」

「なんてひどいことを言うんだ!」

「イヤなら辞退されても結構ですけど、すべての対価はその手から消えていきますけど。ホーホホホッ。」

「少し考えさせてくれ。」


教室では周りの生徒から将軍辞任要求ボルテージがエスカレートしていた。無論、教室で騒いでも生徒会棟にいる吉宗に声が届かないということから、将軍辞任要求を副将軍である御台にしてもらうということである。

「将軍は辞任よ!」『グサッ。』

「将軍辞任しろ!」『グサッ。』

「クソ将軍なんか辞めてしまえ!」『グサッ。』

生徒たちの行動は徳田吉音としての吉宗には直球で聞こえてくるので、吉宗の心には何十本という矢が突き刺さっていた。

「御台様、将軍退任を迫ってよ!」『グサリ~。』

特に御台への要求コールは、吉宗の心臓を直撃した。しかし、当の御台は、迷える子羊だった。

「やっぱり徳田さんを学校から追い出しなんてできない。しかし、自分勝手なことだが、妹の人生がかかってるし。自分が泥をかぶれば妹は救われる。そう考えると、徳田さんに言うしかないか。」

御台は究極の選択をすることを決意して、吉音の横に座った。

吉宗は心臓に矢が刺さったままで、沈痛な面持ちで身動きが取れないでいた。

御台はそんな吉宗を眉間に歪みを作りながら一瞥した。

(徳田さん、体調が悪いのかな。何かに苦しそうだ、さらに心を痛めつけることをしないといけないのか。そんなこと、クラスメイトとして、いや人間としてやっていいのか?)

御台は吉音に話そうとするが、逡巡して身動きが取れず、実にぎこちないストップモーションを繰り返していた。

一方の吉宗は御台の悲しげな顔を見てなぜか涙が出てきた。


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