【第二章】第三十一部分
やがて理事長室から胸を張って退出してきた綱吉は、御台と一緒に放送室へ直行した。そしてマイクに向かって堂々と主張した。
『ツナは今し方、征夷大将軍の宣下を受けたにゃ。ネコ将軍復活にゃ!」』
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ええええ~!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
学内に猛烈な衝撃と動揺が駆け巡った。
『みんな不安を抱くだろうにゃ。でも安心するにゃ。』
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「そんなこと言われても、またネコ様ファーストの令が復活するに違いないわ。」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
一斉に大疑問が呈された。大人数の響きは学校を動かすほどの力がある。
「それは大丈夫だよ。ネコ将軍が暴走しないように、今度はボクが副将軍、いや生徒会副会長に就任したよ。」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「きゃあ!スゴい!ステキ!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
新生生徒会放送を聞いたほとんどの生徒が大歓喜の拍手をして、手を赤くしていた。
生徒会長室では吉宗が憤懣やる方なく、机を叩いていた。
「なんなのよ、今の放送は!アタシが将軍として君臨してるのに、どうして、理事長はバツイチネコを将軍にしたのよ。それも再任なんて。」
大股で歩く吉宗は、目から火を出す勢いで、理事長のところに抗議に行った。
「将軍はひとりとは限らん。自分でなんとかするのが将軍の器じゃ。」
吉宗は、理事長に一蹴され、あっさりと切り捨てられた。
「理事長はいったい何を考えているのかしら。アタシには将軍をやめろ、と言ってるわけではないし。まあ、ネコ将軍のトラウマが生徒たちに強く残ってるとすれば、川の流れでそのまま消えてしまうわね。」
たしかに生徒はネコ様ファーストの悪夢があった。しかし副将軍の御台がほどほどにするように軌道修正宣言すると、生徒たちに受け入れられた。ネコがかわいいという人間の持つ本能的な真理は存在し、普通レベルでネコを愛護するのであれば、特段問題なかったからである。




