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【第二章】第二十七部分

「おたすけえ、好きな人がいるの?」

「え、いや、あの。」

「フフフ。そうだにゃ。身近にいるかもにゃ。そうだよにゃあ?」

ネコ将軍は、露骨に意味ありげな瞳をH前に向けた。

「そ、そんな人、いるわけないじゃん?」

「疑問符を付ける段階でかなり怪しいにゃ。」

「おたすけえ、身近って言ったら、いったいどのくらいそばなのよ?百メートル以内?」

吉宗の感覚はかなり幅広であった。

「う~ん。百十メートル53センチぐらいかな。」

「近いじゃない!キョロキョロ。」

睥睨リサーチモードに転換した吉宗。

「そんなウソついていいのかにゃ。今の数字から百メートル引いた地点じゃないかにゃ?二ヒヒ。」

「ドS全開だよっ!くあああっ、バタン。」

自分で倒れる音を出して、地に伏したH前。吉宗を片目で一瞥した。

「スゴいわざとらしい負け方にゃ。まあいいにゃ。負けを認めたなら、今回は勘弁してやるにゃ。」

「ふぅっ。」

安心感満載のため息が仮死状態のH前から漏れてきたが、吉宗には聞こえなかった。

「ひとり倒したので、次は本丸にゃ。ニセの将軍を辞任に追い込むにゃ。」

ネコ将軍は吉宗に顔を向けて、軽く牙を見せた。けものにしては白さが際立っている。

「う~ん。戦う前から勝った気分にゃ。」

ネコ将軍の視線は吉宗の胸元にフォーカスされた。十二単に覆われているものの、その下の部位の脆弱性は明白である。

「うっ。」

吉宗は屋上屋を重ねるように腕を胸の下に置いて、上部を圧迫するという奇策に打って出たが、ほとんど効果が得られなかった。

「ま、負けたの、アタシ?いや、何か大きな見落としをしているような気がするわ。見落とし・・・。つまり相手をよく見てないということだわ。目には目を、胸には胸よ!じーっ。ハクション。」

やはり吉宗は猫アレルギーを発症しつつ、カッと目を見開いて、ネコ将軍の首から下をサーチした。ネコ型人間とは言え、女子ヒューマノイドタイプならば、その辺りに存在すべき丘状は未確認物体という結論に至った。

「ちょ、ちょっと、約束が違うにゃ。そういう反撃は許されないにゃ。」

「あははは。そちらは完全に剥き出し状態よ。隠すことなんてできないわ。これなら、アタシでも勝てるわ?ハクション。」

疑問形なのが少々悲しくて空気が悪くなった。

「これは自爆テロだったにゃ!」「これはオウンゴールだわ。」

両者ともに敗北宣言を行い、乙女心の痛み分けとなった。

吉宗は気分転換も含めてなのか、猫アレルギー対策にマスクを装着した。

「こうなったら、他の弱点を探すにゃ。すでに目星はついてるにゃ。やっぱり思春期女子にはこれにゃ。さっきのヤツと同じベクトルで責めていくにゃ。ニセ将軍の好きなオスを知ってるにゃ。」

「べ、別にそんな男子、いるわけないじゃない。アタシは生徒会長・将軍なのよ。そんな『鬱つ』を抜かしてるヒマなんかないわ。」


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