【第二章】第二十五部分
「痛い」という言葉を飲み込んだ吉宗。将軍としての意地がそうさせた。
「イエイ!気持ちいいにゃ。もっと爪で傷をつけたいにゃ。赤いマーキング、大好きにゃ。ペロペロしたいにゃ。」
ネコ将軍はネコらしく細い瞳をさらに細くして前足で顔を洗うポーズをとった。
「血、血~!でももっとコワいのはこれからだよ~。」
H前は何を怖がっているのか、吉宗にはわからなかった。
そんなH前の様子がネコ将軍の嗜虐心を刺激したのか、ネコ将軍の瞳がわずかに太くなった。
「赤髪ショートカットのお腹の下に恥ずかしいモノがあるにゃ。」
「えええ!」
大慌てでお腹を押さえるH前。特定部位を強く押して隠している。
「どうしたの?お腹の下に恥ずかしいモノって、おたすけえ、ま、ま、まさか、経験豊富なベテランってこと?」
「違うよっ!大切な宝物はパンドラの箱に入れてるよっ!」
「そうかにゃ?開けてはならない箱に入れてるなんて怪しいにゃ。それに言葉はすでに『動揺促音モード』に変化してるにゃ。」
眇めた視線をH前の下腹部に当てたネコ将軍。口の端が吊り上がって猥雑な様子である。
「ゼッタイ違うよっ!あたしは純血種なんだからっ!」
「純血種?おへその下にあるアザのどこが純血種にゃ?」
「な~んだ、そっちかっ。って、どうしてあのアザが恥ずかしい形だってことを知ってるんだよっ。」
「自分で白状したにゃ。あれはスゴく恥ずかしい形状にゃ。じ~っと観察したいにゃ。いたぶるの、気持ちいいにゃ~。」
「言葉のドSがネコ将軍の恐怖だよ~!」
「言葉のドSですって?でもそんなのって、心のどこかに疚しいことがあるから感じるんじゃないの?」
「べ、別にそんなことないよっ。ないはず。ないかも。ことによったらないこともあるかもっ。」
「なんだか、スゴく怪しい言い方ね。なに、なに。おたすけえのアザってそんなに恥ずかしいの?ワクワク。」
吉宗は両手を顎に当てて、星型になった眼を爛々と輝かせている。
「上様まで、そんなことを言わないでっ!」
「だって、Hなことなんでしょ。聞きたいじゃない、見たいじゃない。」
「いやだよっ!」
「ホレホレ、見せるのよ。イタくしないから~。減るもんじゃなし、だわよ。」
「あたしの乙女価値が減っちゃうよっ!」
「減らないわよ。いいから見せなさいよ!」
吉宗は台風が来る前に降ろされるシャッターのように、強引にH前のスカートを下ろした。




