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【第二章】第二十三部分

吉宗とH前は生徒会棟の裏側からレガシィトラップを覗いている。

浦島太郎に救われた亀の甲羅大のカゴを小さな棒切れで支え、棒に結びつけたロープを校舎の陰で持っている吉宗。

生徒会から配信したお知らせは、次の通り。

『先ほど、生徒会棟西角に高級マタタビセットを置きました。今なら、ネコじゃらし一本を付けます。受け取り期限は本日午後5時まで。但し、ご注文は一名様限定です!』

「こんなので、やってくるなんて、ケダモノしか考えられないよ~。」

「そうよ。こんな悪いことをする輩は、見かけケダモノに決まってるわ!」

『くい、くい。』

「上様、引っ張ってるよ~。」

「ほらほら、来たわよ。飛んで染み入る夏のカワズよ!」

「盗作俳句だよ~!」

吉宗は、ロープを力一杯引っ張った。ズシリと重量感が腕に伝わったが、なんとか目的を果たして、棒切れは外れた。

『こてっ。』

夏のカワズは、あっさりとトラップカゴにインした。

『ボカドガボカドカ!』

カゴの中で、捕らえられたケダモノが暴れている。

「ふふ~ん。そうカンタンには出られないわよ、この超重量チタン合金ケージからわね。下から持ち上げる時の体感重量は1トンにも上るんだから。運ぶ時は側転させることで、軽く運べるという、スグレモノなのよ。」

「上様、スゴ~い。」

「そうよ、アタシの知的将軍ぶりはどうよ。」

「でもどうやって、フタをとるんだよ~?」

人間のパワーで、地面から持ち上げるのはほぼ不可能であった。

「そ、そうね。あと、取り得る手段と言えば。」

「まさかの暴れん坊将軍モードに変身~?」

「なにそれ?アタシは変身なんかしないわよ。使うのはこれよ。」

園芸用のショベルを二個取り出して、カゴの周りをせっせと掘り始めた吉宗とH前。


一時間後、カゴの周りに開けられた空洞から、ケダモノが背中を丸めてやっとのことで出てきた。

「中にいるのはてっきり生徒だと思ったのに。こ、これは、本当にケダモノなの~?」

「こわいよ~!」

『にゃ~。』

四つん這いの体に、毛に覆われた三角形の耳、やや突き出た口元の左右に生える十数本の細いヒゲ。さらにはシマシマの長い尻尾が垂れている。しかし胴体には幕附高生が着用する白い制服とスカート。

吉宗たちの前に姿を見せたのは、ネコ、ではなく、ネコ型人間だった。

「捕まってしまったにゃ。こんなに高度なトラップが仕掛けられてたとは思いもよらなかったにゃ。スゴい知恵袋がいるにゃ!」

 ネコ型人間は二足歩行であった。少し足元は覚束なかったが、口から発する言葉はしっかり根付いたものだった。

「ネコ型人間が喋ったわ!ハクション!」

「ネコアレルギーの上様、人間認定している時点で、喋るのは不思議領域未満だよ~。そんなことより、そ、その顔は、ま、まさか、さきの将軍!?」

「前の将軍って、海外とかに転校したとかいうウワサだったんじゃないの?」

徳川綱吉つなよ、その将軍時代の治世は、それはそれは、恐ろしいものだったんだよ~。」

H前が語る綱吉生徒会時代は、次のような過酷な圧政の連続だった。



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