【第二章】第二十一部分
「上様、恋死川養生所はさらに不可解だよ~。渡心君への恋愛競争率の高さを超悲観して恋に死んだ女子は多数いるんだけど、その女子たちがなぜか復活して、恋愛行動に特化して渡心君を取り囲んでいるんだよ~。」
「アタシが布切れ王子と会話できないのは、それが原因なの?」
「おそらくそういうことだよ~。でも復活した女子は一度死んでるから、人間ではなく、ゾンビになってるんだよ、だから、二度と失恋しないということで、いろんな相手に告白しては撃沈しても、また復活して告りまくってるって情報だよ~。」
「不思議な現象ねえ。まるで魔法でも使ったみたいだわ。よく調べないといけないわね。こうなったら、犯人探しのために、男女交際超絶倹約目的の『刀狩り』よ!」
「刀狩り~?さすがに銃刀法違反の生徒はいないよ~。」
「女子の持つ刀と言ったら、決まってるじゃない。アタシは持ってないけど。」
「モミモミ。たしかに、持ってないね~。」
「ソレのことじゃないわよ!」
H前は吉宗の顔を見つめた。化粧っ気のない真っ白な顔。実にキレイだけど、別の角度から考えてみた。メイク道具を没収して、化粧っ気のない吉宗がキレイになると期待してワクワクした。
こうして発布された刀狩り令は、女子たちに大きな波紋を呼んだ。
刀狩り。それはメイク道具の没収であった。男子を狙ってなくてもメイク道具は必要だし、オシャレは女子の命だからである。
「生徒会への抗議が、日に日にスゴいことになってるよ~。目安箱入り苦情が百をこえちゃったよ~。」
「いいわ、いいわ。目論見通りよ。その猛反対が狙い目なんだから。クーポンを配ったり、ゾンビにしたりした者が、きっと撒き餌に飛びつくわ。人間は餌付けされる動物なんだから。」
「そうカンタンに行くかな~?」




