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【第二章】第十六部分

「アポイントなしで、乗り込んで来るなんて、いい度胸してるわね。」

「ここは生徒が生徒会に自由に相談できる場所だろう。そこの隅っこに、目安箱も置いてあるじゃないか。」

「そ、それもそうね。あなたは名前は?」(ってめっちゃ知ってるけど。)

「一年の渡心御台だ。多くの女子生徒から生徒会に苦情が寄せられている。そのことについて、意見するためにやってきた。」

(やっぱり堂々として、凛々しいわ。)

 自分の心をプレスして言葉を紡ぐ吉宗。固い表情に違和感が見えてしまうのは本人も自覚しているが、強気に出る。

「将軍に平民が意見するとは、いかがなものかしら。」

「一般生徒を平民と表現するとは、生徒会長らしからぬ発言だな。生徒会長はあくまで生徒の代表だろう。立場をわきまえてもらいたいね。」

「生徒会長ですって?アタシは征夷大将軍なのよ。アタシの言葉は学園を縛ることができるのよ。立場をわきまえてないのは、平民渡心御台の方じゃないの?」

「その尊大さ。生徒会長としての自覚のかけらもなさげだな。ならば、こちらの意見を聞く耳はなさそうだが、一応言っておく。」

「あげまんの制は取り下げしないわよ。」

「こちらに一言を言う機会すら与えないということだな。」

「わかりきったことを言うのは時間の無駄よ。将軍の時間を浪費するなんて、神をも恐れぬ悪の所業無常よ。」

「むう。自らの所業を無常と表現するとはよくわかってるじゃないか。でも正確には無常というよりは無謀だな。」

「将軍を愚弄するのもいい加減にしなさいよ。打ち首にはしないけど、拷問はするわよ。」

「ワンランク下の刑罰ありがとう。でも目安箱がただの空箱であることはよくわかったよ。」

「お触れ内容を変える気もないからね。」


教室に戻ってきた御台を出迎えた、たくさんの女子生徒たち。入口から入ったところで、御台は多数の記者団女子生徒に囲まれた。

「御台様、どうでした?」

「すまない。生徒会長はまったく話を聞かない、頑な人物だった。あんな分からず屋だとは思わなかったよ。残念だ。」

「くっ。」

出迎え集団には加わらず、いちばん後ろに立っていた吉音としての吉宗は無念そうに唇を噛んだ。

御台は誰にも気づかれないように、吉宗へかすかに視線を送った。

「ドキッ!布切れ王子は、アタシのことを気にしてるわ。やっぱりあの烏合の衆に混ざった方がよかったのかしら。」

強い焦りを感じた吉宗にはソワソワと落ち着かない様子が見てとれた。


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