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【第二章】第十一部分

場所は変わって、吉宗の教室。

只今、昼休みの時間である。御台が軽く首を捻りながら、何事か考えている。チラチラと吉宗の方に視線を送ってきている。

(こ、これはアタシへの告白タイミングを見計らっているんだわ。幸い、今は周りに生徒は少ないし。ドキドキ、ドキドキ。)

吉宗の鼓動がいきなり高まって、御台に聞こえそうな音量になってきた。

「徳田さん。」

「はいっ!いつでも謹んでお受けします!」

「そんなにかしこまらなくても、ちょっと意見を聞きたいだけなんだけど。」

「い、意見?告白じゃなくて?」

「告白?別にボクは自白するような罪を犯してはいないけど。」

清涼飲料水のような笑顔で、吉宗に答えた御台。

(そのK点超えの爽やかさが重罪なんだけど。)と思ったが、全力で嚥下した吉宗。

「今、クラス女子が生徒会長が布告したあげまんに反発していることは、知ってるよね。徳田さんはそれをどう思うんだい?」

「アタシはマンガ取り上げはいいと思う。節度ある男女交際をという将軍の考えは正しいと思うわ。」

「たしかに、学校でのマンガ取り上げについては、学業優先ということで、マンガ全面的否定ではないし、節度を持っての男女交際という生徒会らしい行動は理解できる。しかし、校外にまでそれを広げるということらしいじゃないか。それは、ちょっとやり過ぎじゃないかな。」

「そんなことないわ!日常生活が学生活動につながるのよ。」

「それは一理あるけど、家では疑似恋愛を楽しみ、学校では勉学、スポーツに励むということもありではないかな。」

「それはそうだけど。疑似体験では収まらず、学校でも欲求を爆発させる輩も出てくるわ。」

「もしそんな人が出てきたら、そういう人を生徒会が取り締まればいいんじゃないか。」

「それじゃあ、遅いのよ!ほら、会話しているアタシたちの周りにはメラメラという炎が見えるわ。ただ、話をしてるだけなのに、こんな状態よ。」

「みんなボクたちの議論を聞いて思うところがあるんだろう。みんなに共通することだからね。」

「みんなの意見なんて、聞いてもあまり意味はないかもよ。アタシはみんなのことには関心がないわ。」

「そんなことはないだろう。徳田さんの三ツ葉クローバーはみんなのためという象徴じゃないのか。」

「そ、それはそうかもしれないけど。アタシも思い直してみるわ。」

(布切れ王子の考え方は極めて常識的だわ。でもみんなのことを考えているのはアタシと同じだわ。アタシはちょっとだけ尖ってるけど、布切れ王子のフラットな思考を足すとバランスいいわ、生徒会向きよ。やっぱり嫁にしたいわ!)

心の躍動が心臓の高鳴りという体の一部に現れるというのを実感した吉宗。

しかし、吉宗たちの会話が止まった瞬間に、それを狙ったかのように、教室の女子生徒たちが御台に近寄ってきた。その中で、三つ編みで赤いメガネの、ちょっと気弱そうな女子生徒が神妙な表情で御台に話し掛けてきた。

「御台様にお願いがあります。」


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