表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/85

【第二章】第八部分


『ピンポンパンポン。』

「緊急生徒集会を行うよ~。放課後、女子生徒は、生徒会校舎に全員集合だよ~。」

「どうして女子だけなの?」「生徒会の命令だから逆らえないわ。」「今までも絶対的権力を行使してきたし。」

こうして女子全員が集められたのは。生徒会棟1階の講堂。

畳が敷き詰められた大広間。ここに生徒が集められると、高い上座にいる将軍に全員がひれ伏すように見えることから、『将軍謁見の間』と呼ばれている。

制服姿のH前は、上座に向かって右側の司会席に立っている。

「新将軍様のおなりだよ~。」

「知らないうちに将軍が更迭されてたんだね。」「何か悪いことでもしたのかしら。」「海外に転校したってウワサだけど。」

大政奉還の間はざわついていた。

『チャチャチャ~ン、チャーチャーチャーチャーン。』『ワンワン。』

どこか聞き覚えのあるBGMと犬の吠え音に乗って、二頭の白い犬ソリに乗って、上座のソデから入ってきた吉宗。虹色の十二単を身に纏っている。背中には大きな三ツ葉クローバー模様が設えてある。吉宗は口元を三ツ葉クローバーの描かれた扇子で隠している。

吉宗はそのまま、犬ソリを降りた。

「いたっ。」

吉宗はいきなり転んだ。顔をやや赤くして、何事もなかったかのように振る舞って、十枚重ねの座布団に座った。

「ゴ、ゴホン。アタシが今回征夷大将軍に就任した徳川吉宗よ。みんな、この紋所に平伏するがいいわ。」

吉宗は体を大袈裟に捻って、十二単の背中を見せつけた。振り返った瞬間に意味不明なウインクオプションを付けていた。

『シーン。』

「上様、そんなこと、当たり前なので誰も反応しないよ~。」

「あれが新将軍?キレイな子だわ。」「でも性格、キツそう。」「徳川って、理事長の親戚?」「そう言えば前の将軍も徳川だったし。」「この学校じゃ、将軍ポストは世襲制でも仕方ないわね。」「(さき)の将軍には似てないわね。」「特に胸がないところとか。」「いや、そこはオトモダチなんじゃ?」

よくよく周囲を見渡すと、全員がビクビクしている。

「生徒会こわい。」「生徒会恐ろしい。」「生徒会に追いかけられる。」「将軍は鬼畜。」「将軍は魔王。」

「ずいぶん雰囲気が悪い学校ね。いや、生徒会がひどく恐れられているということなのかな。前将軍って、いったいどんな人だったのかしら。まあいいわ。将軍就任の挨拶代わりに、皆んなの自由な意見を吸い上げるための政策を実施するわ。幕附高生ファーストよ!」

「ファースト?」「第一主義?」「幕附高生を優先するってこと?」

「その通りよ。前の将軍時代のひどい圧政は聞いているわ。前将軍が退いた今、アタシは呪縛からの解放を宣言するわ。」

「きゃあ~!」「すてき~!」「ついに自由があたしたちの元に~!」

将軍謁見の間に悲鳴にも似たどよめきが巻き起こった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ