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【第二章】第七部分

猫作戦は失敗したようです。次の手を打たないといけませんわ。」

 校門から4番目の校舎の窓から吉宗たちを見つめる女子がいた。

 女子は窓から離れて、ゆっくりと上品に歩いて、部屋の奥の御簾の中に入っていった。


 ここは校門から1番手前の校舎。一年生がいる場所である。

 その校舎のある教室。ホームルームが終わった直後のざわめきが収まった時間帯である。

「君はこのクラスだったのか。」

「そうなのよ。偶然にも隣になったわ。これからよろしくね。」

すでに転入の紹介を終えて、計画通り、御台の隣席をゲットした吉宗。

元々そこにいた女子を幕附高校幕張本校に転校させたのは言うまでもない。その女子は御台に憧れており、大泣きして、つい先ほどこの学校を出ていった。

将軍の権力は一般生徒には無敵なものである。

「ホント、見るからに美男子だわ。布切れ王子こそ、将軍御台所にふさわしいわ。必ずアタシのモノにしてくれるわ。そしてあんなことや、こんなことや、ひょっとしたらそんなことまでヤッテもらうからね。ワハハハ!」

「吉音ちゃん、授業中だよ~。」

 H前は吉宗の後ろから小声をかけた。

「はっ。政権構想妄想にハマってしまったわ。」


 休憩時間となり、場所を生徒会室に変えて、吉宗とH前は向かい合っていた。

「決めたの。アタシはあの男子、布切れ王子をゲットするわ。」

「そんなごむたいな。競争率無限大だよ。」

「大丈夫、アタシは征夷大将軍なんだから、この権力を使えば布切れ王子を嫁に迎えることができるわ。世の中を統治する正義の将軍様なのよ。ガハハハ~!」

「上様、それではまるで悪魔将軍のようだよ~。」

「悪魔でも魔王でもなんでもいいわ、欲しいものはどんな手を使っても自分のモノにするだけよ!おたすけえに尋ねるわ。布切れ王子の成績、体力測定結果、住所、個人アカウントはすぐにわかるわね。」

「ほいきた、合点だよ~。たいていの個人情報は取り放題だよ~、それが将軍の権力だよ~。」

「じゃ、じゃあ、サ、サイズは。ポッ、ポッ、ポッ。」

吉宗の顔がみるみるうちに、真新しい郵便ポスト色に転じた。それは質問されたH前も同じ。

「う、上様、そ、それは、激ヤバじゃない。さ、さすがに。ポッ、ポッ、ポッ。」

「やっぱり、恥ずかしいわね、体のサイズの身長と体重は。」

「・・・。それかい!それなら見た目でだいたいわかるよ~!それと、上様。理事長からのミッションをお忘れなく。」

「何だっけ、それ。」

「も、もう~!って、たしかに何だろう?」

「それは将軍としての治世の中で見つけていくわ。そうそう、さっそくお触れを出すわ。男子人気投票を開催するわよ。」

「はあ?そんなことして、何になるんだよ?」

「将軍たる者、学校の人気者が誰かを知る必要があるわ。」(これで布切れ王子狙い女子の情報を集めて、少なくとも停学、最悪は退学に追い込んでやるわ。ヌヒヒ。)

「上様、どうやっても1位は渡心君に決まってるよ~。」(いや、待てよ。女子の人気が圧倒的だって確認できたら、薄胸属性という女子力が超絶低い上様は、御台君のことを諦めてしまうかも知れない。そうすれば、あたしが上様を独占できるよ。ムヒヒ。)

こうして、ふたりの思惑は違うベクトルだったが、浅ましい目的で一致して、男子人気投票が行われることになった。


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