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異世界転移

 異世界転移って知ってるか?

 勿論俺は知っている。ひょんなことから異世界に放り出されたけどなんか貰ったチートスキルだの何だの駆使して無双するアレだろう?

 そしてそこに副産物としてついて来る、否、どちらかと言えばそちらがメインになるのだろうか。


 ————————————————そう、ハーレムである。


 可愛い女の子とくんずほぐれつ、あわよくば夜のしっぽりに突入するのだろう。

 とりあえず適当にトラブってる女の子を発見次第、救出という名のナンパを仕掛けるのだろう。

 だが! 現実はそう甘くはないのだ!


 「えー勇者? この前魔王死んだばっかりだけど?」


 目の前の高そうな王座にふんぞり返るクソじじ————ゴホン。国王陛下はそう仰った。魔王は死んだと。俺は来て数秒の内にお役御免だと、そう言ったのだ。

 

 「悪いんだけど帰ってくんない? 邪魔だから」

 「お待ちください陛下! せめてステータスだけでも確認させていただけませんか!」

 

 食い下がる俺にあからさまに嫌そうな陛下。このクソジジ————ゴホン。この国王陛下、ぶん殴って差し上げましょうか?


 水晶玉が俺の前に置かれる。促されるまま手をかざすと、日本語で俺のステータスが表示される。


 「全ての数値が50。平均ですね。スキルもこれと言ったものはありません」

 「そんなバカな!」


 水晶を持ってきた巫女姿の少女が冷徹に告げる。俺も覗き込むようにその文字を追うが、彼女の言う通り全ての数値が50。スキルの欄も水泳一級、弓道1級。その他にも英検3級、漢検4級、etc……おいおい、履歴書じゃないんだぞ?


 勇者という肩書になってはいるが、それも本当に名ばかりのようだ。


 「分かった? もうほんと邪魔だから帰ってくれ。おーい。誰か来てくれ!」


 王の呼ぶ声に応えるように騎士たちが王の元に馳せ参じた。


 「アイツ追い出してくんない? 邪魔だから」


 俺は堪忍袋の緒がブチギレる音がしたのを聞いた。

 なんで切れたかって? そりゃあ邪魔邪魔連呼されるのは勿論、あの王様の顔が不細工だからだ!


 俺の中では顔には5パターンあると定義されている。


 一つ目、文句のつけようがないイケメン。キ○タク然り、菅田○暉然り。いろんな意味でもう人間じゃない奴らだ。

 二つ目、普通にイケメン。これはクラスメイトに一人か二人存在する奴らだ。大抵スクールカーストの上位に位置したりする。調子に乗ってモデルオーディションとかに出て無様に落選。俺たちインキャの自尊心を少しだけ満たしてくれるタイプだ。

 そして三つ目。可もなく不可もない、普通の奴。影が薄いとも言える。イケメンが「二枚目だねぇ」とか言われて「ええ? 普通だよ」とか言われると普通の奴の立つ瀬がないからやめてやって欲しい。

 そう。そしてここからが本番だ!

 4つ目。何処かが整っていない、中途半端な不細工。口とかマスクで隠しちゃうタイプだ! みんなSNSで騙されるなよ!

 そして5つ目ぇ! 最早救いようもないブサイクぅ! 彼らはもういるだけで不快に思われて教室にいる場所がないタイプ! 図書室に行くと遭遇率上がるぞ!


 そしてあの王様! 最早救いようもないブサイク! そんな奴が女を大人数侍らせている! イケメンが花の中にいるのは許せるがオメーは駄目だ! 


 え? 俺? 鏡見て来いって? 


 ……勘弁してくれ。 俺もマスクすればそこそこ行ける方だよ? ほんとだよ?


 …………あれ、何か涙出てきた。


 とにかく、あんな奴がハーレムなのに俺がそうじゃない。権力に物言わせたクソジジイの所業が俺は許せなかった。


 美少女騎士たちの手を振り払い、一直線に王座へ向かう。少し焦ったようなジジイの表情。いい気味だ。

 俺のやることはただ一つ————————————


 「気に入らねぇお前の面をぶん殴るだけだぁ!」


 俺の怒りの鉄拳がジジイの顔面に炸裂した。ジジイの顔はぐにゃりと歪み、苦悶の表情を浮かべてのたうち回る。


 「あースッキリした!」


 まるでうんこ漏らした後シャワーで尻洗って新しいパンツを穿いた時のように清々しい。


 だが、俺がその後辿る運命は、過酷で厳しいものだった。


  * * *


 「なあ、アンタ何やらかしたんだ?」


 冷たい牢の中、問いかけられた俺は声の主に解を投げた。


 「それはな……一時の感情に身を任せたからさ」


 榊雄一。18歳。童貞。彼女いない歴年齢。


 異世界に来て10分も経たぬうちに、暴行と不敬罪により投獄。

 

勢いだけで書きました。

更新は未定です。やる気が出次第続き書くかもしれないです。

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