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都市の翳りに踊るモノたち ~The Black Box ~  作者: 仙洞 庵
第1章 招かれざる客
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“廃掃班(ザ・クリーナー)”

舞台は一転して狂乱の宴と化した。

だが捨てる神あらば拾う神あり。

喪心の男を救うべく戦友達が現れる。

 ダウンタウンの1ブロックを仕切っていたチンケ(・・・)なギャング時代から暴力は必須であり、組織が大きくなるにつれ、より強大な暴力が求められ――専門の“戦闘部隊”が必要となったのは、別にマルコの組織だけのことではない。

 一例を挙げれば、コロンビア系カルテルの通称“虐殺部隊”、某IT企業が契約し汚れ仕事まで請け負う“民間軍事会社”、シリア系マフィアが生み出し今や独立運営される秘密の“暗殺結社”。


 そしてマルコ・ファミリーの廃掃班――。


 マルコの組織では数多の抗争により熟練した戦闘員がそのまま専門化したという流れだが、それでもマルコの人脈を使って“プロの戦闘員”から訓練を受けるなど並の組織とは一線を画す戦闘力を有している。

 ちなみに元デルタ・フォース(米陸軍特殊作戦軍に属すると言われるデルタ作戦分遣隊)の一員だったという男を教官・・に、ロシア(・・・)の空軍基地で、自分たちに縁の無いはずの降下訓練・・・・を受けたときは、チームのひとりであるサミィが、ずっと「筋が通ってない」と愚痴をこぼし続けていたことは今でも酒の肴になっている。

 だが、潜水訓練や山岳行軍など実際の“彼らの抗争”に不要であっても、多様で厳しい訓練が確実に彼らを“精強な戦士”に鍛え上げていったのは間違いない。

 事実、チームが2年前の抗争で主力となって凄まじい戦果を挙げたのは言うまでもなく、副次的な見返りとして彼らは以前と2ランクは上の生活を享受することとなった。

 そしてまた今夜ほど、彼らの頼もしさを感じたことはなかったろうが、派手にドンパチ(・・・・)できないこの状況では、見通しが良いとはさすがに言えない。


「退くぞ。ボスを頼む」


 前方から足取りのおぼつかない客たちが近づいてくるのを眼にした途端、ディランは躊躇なく“撤退”を選択した。

 同時に一言の反論もなくリディアの命令が飛んでチームの撤退行動が始まる。


「クレイグは撤退支援。マーカス、サミィとボスを運んで。あんたらが先頭よ」 

「その前にディン」


 筋肉の鎧を着込んだような大男――マーカスがディランへ拳銃を差し出す。

 コルト・ガヴァメント――1911年発売のもはや骨董品と呼ぶべき名銃を目にして、自身が無手であることにディランは初めて気がついた。

 思わず左手を見やるが、当然、何も持っていない。

 給仕に蹴り倒された時に落としたのを見つけてくれたのか。


「助かる」


 ディランの短い謝辞に「大丈夫か?」とマーカスの目が訴えかけてくる。190㎝のごつい肉体から想像しにくいが、時にこうして気遣いをみせる面がある。ただし、今回は何を言わんとしてるのか分からず、ディランが怪訝な表情で返すと、ふいに隣で大声が上がった。


「うおっと――もう少しダイエットしてほしいぜ」


 ボスの両腕を抱えたサミィが、大仰に愚痴を零して皆が思わず苦笑を漏らす。こんな時に平然と不謹慎な台詞を吐くのがあまりに彼らしかったからだ。

仲間になった頃から変わらないのがもうひとつ――トレードマークのニット帽は今夜も健在だ。


「ったく……やるんだったら、俺に声を掛けろよ」


 嘆息しつつ、マーカスが遺体の胴体側に付き、サミィを足側へ追いやる。

 膝立ち姿勢ニーリング・ポジションで背を向けたままのクレイグが微かに肩を震わせ、リディアはディランの顔色を窺いながら、サミィへ非難の視線を向けていた。無論、周囲への気配りを忘れることなく必要な指示は出している。


「クレイグ分かってるな。足をねらえ」


 命令口調に男女の区別はない。

 素早く端的に必要事項を伝えるだけだ。

 リディアが迫りくる人影と遺体の搬送速度を勘案した上で支援命令を補正したのには、無論、理由があった。

 凶暴化したとはいえ、相手はL.A.有数の上流階級に住む人間たちだ。彼らを無闇に殺傷すれば、この都市は再び戦場へと還ることは容易に想像できた。

 本来ならば、頬に弾丸を擦らせるだけでも不味い(・・・)のだが、“現状の危険度”と“事後処理の厄介さ”とを天秤に掛ければ、前者を優先し“軽傷まではやむなし”と判断するのは当然であった。

 逆に言えば、精強な戦士であるリディア達から見ても、迫る凶人の群れや東洋人達の脅威は驚嘆すべきものであり、かつ、あまりに未知数の要素が多過ぎた。


「今度はちゃんと持てよ、サミィ」

「簡単に言うなよ。マッチョなお前と違って、俺はテクニック(・・・・・)でカバーしなきゃなんねぇんだぞ?」

「早く行ってくれ。そう時間は稼げん」


 もたつくマーカス達の背を言葉で叩きながら、クレイグが短機関銃による支援射撃を開始する。


 パパパッ


 パパパッ


 指切りでの連射音は明らかに全自動射撃フル・オート――凶悪すぎるとほとんどの州で禁止され、機能を制限した形でしか一般販売されていないはずだが、裏社会の組織が素直に法律を遵守するはずもない。

 司法機関の部隊仕様相当の持てる力を十全に発揮する短機関銃から放たれた9ミリ銃弾が、ゾンビ映画のような足取りで近づく数名の人影を迎え撃ち、幾人かが倒される。


「痛覚が鈍い――9ミリでは時間を稼げないか」


 20メートル未満の距離できれいに狙ったポイントに集弾させるも、倒した者さえ腕だけで這ってくるのを目にしてクレイグが不満を漏らす。それでも歩きよりは遅くなるので、足止めには十分と思ったのだろう。


「任せたわ」


 クレイグに後を託したリディアがディランの腕を取って自身の肩に回す。


「……何の真似だ?」

「いいから。急ぐわよ」


 ディランの問いに取り合わず、リディアは先行するマーカス達を追いはじめる。その動きに抗えぬと知って、ディランは初めて“自身の不調”に気づくがもはや委ねるしかない。

 時折、リディアや他のメンバーが“痛むような目を向けてくる”理由にようやく合点がいく。

 後方で微かな嬌声が上がったような気がしたが、もはや振り返る気力はディランになかった。これ以上リディアに迷惑をかけぬよう、ただ両足に力を込めることだけにディランは集中するのだった。


         *****


「――ぅお!!」


 クレイグが引き金(トリガー)をコントロールする最中、何かが煌めいたと思ったときには夢中で体を捩って倒れ込んでいた。

 チームで最も危険な前衛に位置取るせいか、昔から鋭かった“勘”が実戦をこなすたびに非常に冴え渡るようになっている。

 特に以前行った訓練で、ライトを消した倉庫内での模擬暗殺戦において、教官である元モサド(イスラエル諜報特務庁)が放った必殺のナイフを3回に1回は回避して驚愕させたのが密かな自慢だ。あれから多くの修羅場を潜り抜けてきた今なら、ほぼ3回躱せる自信がある。

 今回も鋭敏になった危機察知能力と磨き抜かれた反射神経で命拾いしたのは間違いなかった。

 左腕が熱い――いや、見ればナイフが刺さっている。避けなければ胸あたりに深々と突き刺さっていたはずだ。


「このや――」

「クレイグ!」


 野郎と怨嗟を吐く前に、リディアの喚び声に遮られた。

 声の感じから一瞬で彼女らの退避距離を感知して、役目を終えたのだと知ると同時に、即座に“報復”を放棄する。

 豊富な実戦経験が撤退のタイミングを絶体に逃さぬ判断力をクレイグに与えていた。

 いっそ気持ちがいいほど未練なく撤退姿勢に移る。

 身を屈めてできる限り的を小さくしつつ、クレイグは振り返ることなく全力で走り始めた。


「ふっ、ふっ、ふっ……」


 鼻呼吸を荒げて懸命に走る。

 ナイフは腕に刺したままだ。手当てする余裕がないからだが、このままでも拷問訓練で得た耐痛性と忍耐力、そして戦闘による興奮作用で痛みを無視することができる。

 前方を見れば、マーカス達が館の玄関とは別の方向――最も近場にあるキッチンに続く勝手口へ向かっており、扉までは5メートルもない位置にいた。


「急げっ」


 マーカス達を先行させたリディアとディランの援護射撃を受けながら、クレイグは必至に追いつき、そのままさらに先へと急ぐ。


 “移動と攻撃(ムービング&ファイア)”――今回は“撤退と援護射撃”だが――を交互に組み合わせる基本戦術は軍隊式の訓練で習ったとおりだ。

 あの時は、前進と後退の2種類で、100メートルの延長を何往復させられたか覚えていない。サミィより先に肉体派のマーカスが吐いていたのが印象的だったが。


 一気に全員を抜き去って次のポジションへ必死に走るクレイグは、勝手口の前に白いコック姿と黒いタキシード姿の二人の男が、呆然と突っ立っているのに出食わした。


「何をしてる?! 早く中に入れ」


 恐らく庭で繰り広げられている異常な光景に動揺してしまったのだろう。

 いきなり怒鳴られて、慌てふためく二人をクレイグは短機関銃を振り翳して館内に押し戻す。


「クソッ。もう一回タバコやめるか――」


 早鐘のように拍動し続ける心臓に肉体の鈍り(・・)を痛感しつつ、扉脇に膝立ちの姿勢ニーリング・ポジションをとって銃を構える。

 肩で息するために銃口がぶれる。

 2年前ならこの程度の距離など、あと5回は平然と繰り返せたはずだ。贅沢な暮らしで体脂肪が増え、トレーニングの回数も減っていたツケが回ってきたことにクレイグは軽くおののく。

 戦士としての存在意義を失えばどうなるか――あの頃には戻りたくない――今更ながらに実感し、心の底から後悔する。


「実戦で後悔するなんて、サイアクだ」


 一気に噴き出してきた額の汗をぬぐい、無精ひげに覆われた顎を軽くしごく。何とか気持ちと身体を落ち着かせようと試みる。

 効果的なのは深呼吸だ。

 クレイグは精神鍛錬で習ったヨガ系の呼吸法を繰り返し、息を整えんとする。

 へその下を強く意識して。


「ふぅ――…」


 二度、三度と呼吸を繰り返す。

 もう一度、額の汗をぬぐう。

 銃口のぶれが収まってくると共に知らず狭まっていた視野も元に戻ってきた。

 この場に遮蔽物はないが、さすがに投げナイフがここまで届くことはないだろう。いざとなれば扉も近いし援護射撃の場としては十分だ。


待機姿勢っ(セット)!」


 大声で合図を叫ぶのとほぼ時を同じくして、遺体を運ぶマーカス達が息を荒げながら駆け込んできた。

 思ったより調息に時間を掛けてしまったらしい。

 ならば、後続が来るのもすぐだろう。


「走れ、走れ!!」


 クレイグが発破を掛け、ようやくリディアに背を押されるようにしてディランが転がり込んでくる。


(おいおい、大丈夫かよ……)


 あれが“片腕の戦鬼オグル”とL.A.中の悪党を震え上がらせた人物とは到底思えなかったが、無論、見間違えるはずはない。そのよろめく足取りを目にして、クレイグが胸中どれほど驚いたかは誰も知らない。

 小さくかぶりを振って、クレイグも跳び込む勢いで勝手口をくぐり抜けるのだった。


         *****

 

「ドアを閉めろっ。早く!」

「あんたら、そこの椅子を――何でもいいっ。早くドアを押さえて!」


 最後に転がり込んだクレイグの叫びにリディアが素早く応じつつ、中にいたスタッフ達を怒鳴り散らして簡易的なバリケードを構築させる。

 あれだけの怪力を持つ凶人達が相手では長くは保たないだろうが、少しでも時間を稼ぐ必要があった。


「ディン」


 扉を閉めたリディアが気遣うようにそっとディランの肩に手をやる。


「ドアは保たない。これからどうするにしても、マルは置いて行くしかないわ」

「何――いや、そうだな」


 声が上擦りかけて、すぐにディランは頭を振った。

 冷静に考えれば当然の意見だ。

 逃げるも迎撃するも状況からみて身軽でないと難しいのは明らかで、むしろこんな事にも気づけないとは。

 先ほどから足手まといになっている事実を理解しているだけに、焦燥さえ覚える。

 これでは壮年に叱られる。

 今は早く対処方針を決めるときだ。


「ディン。――決断を」


 またも意識が別の方へ向かいかけるのをリディアに呼び戻される。

 だが取るべき方針は決まっていた。


「マーカス。遺体マルコを冷凍室へ運んでくれ」


 館にある食料用の冷凍室は容量が大きく、一時的な遺体安置の場としては申し分ない。

 むしろ外の騒ぎの方が問題だが、凶人化していても都市の重要人物達を安易に殺傷するわけにはいかない。

 特に今の状況を説明しようがなく、死傷者等の山を築けば、いかなマルコの権力を持ってしても、後で司法が介入したときに大きな厄介事になるのは明白だった。特にマルコ本人が亡くなった今となっては尚更だ。

 しかしながら、武器も使わずにあの人数を警護班が制圧するのが不可能であることもまた、容易に想像できる。

 ならばできることはひとつしかない――。


「聞こえるか、ブロウズ」

「――ご無事で。これは一体……」

「聞くんだ、ブロウズ」


 無線で警護班長を呼び出すと、安堵と同時に当惑もする彼をディランはすかさず黙らせる。


「襲撃だ。敵対者は東洋人3名。――ボスがやられた」

「え――?」

「マルコは死んだ」


 二度目を強く言い放つディランは無表情であったが、沈んだ瞳に宿る“何か”が異様な迫力を漲らせていた。

 その眼光で睨まれてもいないのに、キッチンにいる誰もが身動きさえできず息を殺して黙り込んでいる。


「東洋人3名は客に紛れて見失った。追おうにも、奴らが仕掛けた強力な催眠術のようなもので、招待客が全員凶暴化して暴れ回ってる。とても近づける状態じゃない」

「では、この銃声は――」

「そうだ。怪我をさせると厄介な事になる。応答できる奴には、すぐに発砲をやめさせ、退避させろ」

「しかし」

「いいか。万一あったら、どれだけの組織を敵に回すと思ってる?」


 無線の向こうで息を呑む音がかすかに聞こえてくる。警護班長ブロウズにもようやく事態の“本当の深刻さ”が理解できたのだろう。

 そう思ったところで思わぬ言葉が返ってくる。


「聞いてくださいっ。誰も応答しないんです」

「何?」

「先ほどから無線で声を掛けてるんですが、もう誰とも繋がらないんです。ようやく貴方と繋がっただけで……」


 周囲に誰もいなければ舌打ちしていただろう。

 警護班で対処しきれないとは思っていたが、まさか、すでに凶暴化した客達によって機能不全にまで陥っているとまでは思わなかったからだ。

 これでは作戦の立てようなど――自分たちで状況改善するのは不可能とみるべきだ。


「どうすれば……」


 困惑したいのはこちらの方だが、怒りをまき散らしてどうなるものでもない。ディランは別のプランを念頭に問いかける。


「そこに何人いる?」

「2人です」

「なら、どこかに立て籠れ。客は催眠効果で馬鹿力を発揮するし、人数も多い。外に出れば暴力の嵐に巻き込まれるだけだ」

「警察には――」



 ドガン――ッ


 

 ふいに、大きな音が響いてディランは思わず無線から顔を離した。

 再び上がった音と共に、勝手口で組み上げたバリケードが大きくたわむのが見えた。


「――来やがった」


 サミィのいつにない真剣な声を聞くまでもなく、誰の仕業かは全員が分かっている。

 同時に、バリケードがあと数分も保つまいということも、あらためて、叩きつけられるハンマーのごとき轟音の凄まじさで実感させられる。

 それにしても、武器も持たずに素手だけでこれだけの威力を出せば、腕がどうなるか……先ほど見た光景を思い出したのか、隅で立ち尽くすコック達が両腕で己が身を抱きしめていた。


「まずいぞ。連中が続々と集まってきてる」


 窓辺からそっと顔を覗かせたクレイグが報告すると、すかさずリディアが皆に行動を促す。


「ここはダメね。キッチンから出て!」

「だがどこに行く?」


 疑念を示すマーカスに、とにかく従えとディランが手振りすることで、全員が移動を始める。議論するなら、せめて離れた場所ですべきだとは、さすがに皆分かっている。

 そこでようやく、先ほどからしきりに喚びかけてくる無線に対し、ディランは応答する。


「――どうしました?」

「いや、こっちにも連中・・が来たようだ」

「え?!」

「警察だったな。すぐに連絡してくれ。むしろ、客が暴徒化していることをきちんと伝えるんだ」


 警護班長の動揺などお構いなしに、ディランは一方的に話を進める。まるで酔っ払いのような調子の狂ったドアノッキングを耳にしているうちに、知らず早口になっていることまでは気づかない。


「もうひとつ……防犯カメラの映像はどうだ?」

「――ええ。鬼のような形相まで、このトチ狂った状況をきちんと撮れてます。やらせ(・・・)だなんて言わせませんよ」


 ディランの意図するところを汲み取った警護班長が、部下に確認しながらだろう、力強く請け負った。


「よし。その録画データは俺たちの運命を左右する大切なデータだ、絶体に失うな」

「はい、必ず」


 警護班長の覚悟を耳にしながら、ディランは激しく軋むバリケードから離れ、キッチンを横切り始める。

 リディアが棚から包丁を取ってベルトに無造作に差し込むのを見て、タキシード姿の男も手近な鍋を引っ掴んでいた。

 サミィとマーカスはテーブル上に準備されていたオードブルに手を出している。それをなぜか食い入るような目でクレイグが見ていた理由は分からない。

 結局は、手荒い感じでワインボトルを握りしめて一口だけ呷っていたが。いや、自棄になった感じで二口目も。

 ある意味悠長に、それぞれが満足してキッチンを出て行くのを見送ったところで、ディランが最後に出入口に辿り着く。


「今後、そちらに連中を引き連れていくわけにはいかないから、合流はできない。――互いの幸運を祈ろう」


 無線を切ると同時にディランはキッチンの外に出た。

 背後でバキリと扉がひしゃげる音とその圧力に押されて動くバリケードに使われた調度品の激しい擦過音が響き渡る。

 あらためてその馬鹿げた力に畏怖を覚える。しかも、どういうわけか確実にこちらを追ってきているのだと感じて不気味ささえ感じる。

 この時はじめて、ディランは自分たちが思ってる以上に追い詰められていることを実感したのだった。

お疲れ様です。仙洞 庵です❗

今回、レギュラー陣が揃いました。私の力量を考えて王道キャラで固めてます。ところで、せっかく登場した実行部隊のデビュー戦ですが、意表をつく(?)“撤退戦”となってます。(そんな意表はつかなくていい?!)

後で、別話を差し込むかもしれませんがご容赦を。

ではまた。

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