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君と10個の約束  作者: 翠音
7/13

約束6個目

⑥本気で言い合える相手を見つけてください。




中学3年、の冬。一大イベントと言えばこれしかない。受験。


家から近いっていう理由もあってO高校を志望し、成績も余裕だし、夏希も余裕で行けるので少しのんびりしながら勉強を2人でしていた。


入試をあと10日に控えたとは思えない俺達だけど。


「受かるかな……」


暖房をつけてる部屋でも寒いのか、はぁーっと息を手に吐いて手を温めている夏希に俺は言った。


「受かる」


「なんでそんな自信あるの……」


そう、夏希は皆の前では頼れて明るい子だけど、俺や親の前だと一大イベントの前は結構不安の言葉を漏らす。


「勉強してきたから」


「まあ、そうだけど。私海音ほどO高成績余裕じゃないし」


そう言ってまたカリカリとシャーペンの音を鳴らしながら勉強し始める夏希。


担任も2人とも大丈夫って言ってたし。


「担任も俺たち大丈夫だって言ってた」


「先生は誰にでも大丈夫って言うよ」


結局夏希は夜中まで勉強し、朝顔を見ると目の下に隈が出来ていた。


「やりすぎると逆に良くない」


「私はこのぐらいやらないとダメなの!!海音は余裕だから私の気持ちなんてわからないんだよ!!」


そう言って夏希は走って行ってしまった。

俺は、ただ夏希に無理をしないで欲しかった。少し、ほんの10分でも良いから休憩時間を作ってリラックスして欲しいから言っただけなのに。


あれから10日後、何も話さずに受験を迎え、そのまた1週間後、結果を見に行った。


「夏希」


「真澄、」


「受かった」


「そっか…良かったね」


それを言っただけで、その後に夏希は合否結果を言わず、俯いてしまった。

まさか、と思った瞬間


「夏希…、「受かりましたー!」!?」


顔を一気にバッと上げ、満面の笑みで言った。


「海音、あの時はごめん。私いつも不安になっちゃう…悪い癖だね。海音言う通りやりすぎに気をつけて、2時間に1回10分休憩を挟んだりした」


合格の言葉が聞け、ちゃんとリラックスタイムを入れながら勉強していたことに安心した。


「多分、海音があの時言ってくれなきゃ、落ちてたかも」


こんなに喋らなかった日数は初めてで、寂しかった思いが一気に溢れ、その場で抱きしめた。



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