約束2個目
②女子にも優しくね。
あれは…小学4年生ぐらいの時。
昼休み、サッカーしようと他の男子に誘われ、サッカーの得意な夏希も連れてこようと思い、探していると
「夏希ちゃんっていつも男子と遊んでばっかりだよね」
「海音くんにベッタリだし。海音くんが可哀想」
パシっ
「この度は本当に申し訳ございませんでした」
気づいたら、学校の会議室で隣で母が謝っていた。
手は少し赤くなっていて、自分が叩いたことを思い出した。
顔を上げて目の前を見ると、頬に湿布を貼った女子が居た。
俺はきっとこの子を叩いたんだろう、そうすぐに分かった。
「ほら、海音も謝りなさい」
「……ごめんなさい」
言葉ではこう言ったものの、悪口を言っていた奴を駄目だと分からせるためにしたのに、なんで俺が謝らなきゃいけないんだろう。
その時は、疑問しかなかった。
その日の学校の帰り道
「海音、そういう時は、叩くんじゃなくて口で言うんだよ。あんたが苦手な分類だけど」
でも、と夏希は言い、
「私のために叩いてくれたんでしょ?ありがとう」
そう言って夏希は俺の頭を撫でてきた。
その温もりは、家族とは違う、夏希だけの温もり。
「泣かないの!」
弟扱いされたこととかもどうでも良くて、一番わかって欲しい人にを分かってもらえて、俺は安堵の涙を流した。