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プロローグ
その日の夜、私は少し疲れていたので風に当たってこようとバルコニーに行くと、
「………っ」
涙が伝う儚げな表情とともに、鼻をすする音。
私はその仕草をしている人物に驚いた。
「海音くん……?」
「……!!」
ゴシゴシと目を擦り、海音くんはこちらを向く。
「なんでアンタがここに……」
「風に当たろうと思って来たんだけど、」
「………アンタに泣いてる所見られた…死にたい」
海音くんは俯いてしまった。
「えええと、とりあえず死なないで!?」
私は海音くんの居るところまで歩き、彼の隣の柵にもたれた。
「ねぇ、海音くん」
「なに?」
「今話して、なんて言わない。いつか話せる時が来たらでいい。昼間言ってた聴いてる曲、もう一つ何かあるんでしょ?」
「……うん」
自身の袖を掴み、海音くんは寂しそうな表情をしながら口を開いた。
「俺が泣いてたこと、皆に言わないで」
「言わないよ、」
「アンタにだけ、言う」
「うん」
「1年前___」