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唐突な世界

飯の問題は意外にもすぐ解決された。というのもウンディーネの杖こと魔法の杖を与えられたツユハちゃんが魔法で食べ物を出してくれたのだ。


このことが分かったのは五分前のことだ


____________________5分前




「もう動けねー」「ですね~」「なんじゃ。やはり人間は情けないな。」


 

ここに来てからというか冥界に来てから俺はなにも口にしていない。それはほかの二人も一緒なのだろう。一人を除いてはね。




もう死ぬのかなーと思っていたらまたひかえめに彼女が言った。



「あの魔法の呪文リストにこんなのがあるんですけど」といってあの分厚い本の真ん中くらいのページを開いて俺たちに見せてくれた。




そこには草からハンバーガーを作る呪文と書いてあった。なんだそれ。怪しさしかないけど草ならいくらでも周りにあるわけだから試してみる価値はあるかなーと空腹に耐えかねた俺は考えていた。




「なにそれ最高じゃん」「ハンバーガーとはなんじゃ」一人はよだれをたらし、もう一方は首傾げてこっちを見ている。



俺も「試すだけ試してもらっていいかな?」とお願いした。彼女は「はい、頑張ります」といって草を何本か抜き石の上に置き杖を向けて呪文を唱えた。



「グリルドバーガー」とすると杖の先が光を放ち石の上の草に向かっていった。俺たちはあまりのまぶしさに目を閉じた。




俺たちはしばらく目を閉じていたがほどなくして石のあった場所から肉の焼けたいい匂いがしてきた。



俺たちが目を開けると石の上にあった草が完全なハンバーガーになっていた。




それも1種類だけではない、チーズバーガーからBLT、チキンカツのハンバーガーなどだ。




「おおおおおおおおおおすごいな、ツユハちゃん」「ほんとだよーすげー」「これがハンバーガー?食べられるのか?」



ほめられたツユハちゃんは照れながらハンバーガーを差し出してくれた。魔法マジ便利ちゃんと包み紙まであるし。




まずは一口、こういうやつって見た目とかはハンバーガーなのに味は無味とかあっても草の味とかという可能性があるからな。



「よし」ガブっと大きく口を開けて俺はチーズバーガーを頬張った。うん。ふつーにハンバーガー。うまい。





「どうですか?」とツユハちゃんが心配そうにまた上目使いで聞いて来るので、俺は「おいしいよ。ありがとうツユハちゃん」と素直な感想を伝えた。



「よかったぁ~」と彼女は喜んでくれた。その間に隆はもう2つ目のハンバーガーに手を付けていた。



「おい、ゆっくり食えよ」と俺は隆に注意した。



「おー悪いな。あ、そうだ天城ありがとな」



「いえいえ」といってツユハちゃんもハンバーガーを一つとって食べ始めた。



「マコ様は食べないのか?」と俺は聞いてみた。




「このようなものわらわはいらん。」と不機嫌だ、謎に。




「腹へってないのか?」とまた聞いてみた。





「冥界人には、空腹などはない。」




「ふーんそういうもんか」と俺が言うと同時に「グゥゥゥゥゥゥゥ」という腹の虫が鳴いた。俺は真っ先に隆のほうを見たが隆はハンバーガーに夢中だし、ツユハちゃんがあんなでかい音を出すとも思えない。




もちろん俺なわけはないので、必然的に目の前のロリっ子が音の正体ということになる。また嘘つきやがって。



「冥界人は、腹減らないんじゃないのか?」




「う、うるさいわらわではない」「じゃあ、だれだよ?」と意地悪く追撃してみると「うるさい、生意気な人間め」と言ってそっぽを向いてしまった。



あららやっぱし子供だな。俺はとりあえずこれ食えよとハンバーガーを差し出すと「そんなに食べてほしいなら食べてやらんこともないがな」と言ってハンバーガーを手に取った。




相変わらずめんどい性格のやつだ。



「これが人間のだべものハンバーガーか」と言いながら小さい口で一生懸命食べている。気に入った様子でハンバーガーを一気に平らげてしまっていた。




食い物はこれで手に入ったわけだが生きていくには最低限もう一ついるものがあるわけで、もちろん水だ。ハンバーガーに口の中の水分がほとんど持ってかれてしまっているのが今の状態だ。




ツユハちゃんに水を出す魔法はないかなと聞こうと思ったその時「これもどうぞ」といかにも高そうなゴブレットに入った水をツユハちゃんが手渡して言った。



「これは?」と俺が聞くとツユハちゃんは「さっきハンバーガーを出した後に水とゴブレットを出す呪文を使って出しておいたんです。」と言った。




一番この世界というかこの状況に順応しているのは彼女かもしれない。ツユハちゃん様様だな。




_________ということがあって割と簡単に食べもの、水問題は解決した。やっぱ魔法ってスゲー。




そんなこんなで俺たちのは地図の場所を目指して歩いているわけだが今のところ生き物は見かけないし、建物が見えたりということもない。ただ歩いているだけ。



そもそも目的地が街なのか、異世界っぽいダンジョンなのかすらまったくわからない。




はぁーやっぱ異世界転生とかあんまたのしくねーな。ふつーにゲームやりたい。




「おいあれなんだ」と急に隆が言った。どうせたいしたことないだろと下を向いていた顔を上げると少し先に看板が地面に埋まっている。



まさかドッキリ大成功的なあれか。



目の前まできて文字を確認すると「この先2キロ先目的地」と書いてある。完全におかしいだろと思いながらも俺たちは2キロ先を目指すことになる。




そこにあったのは小さな赤い屋根の小屋だった。平原の中にポツンと建ってる小屋は明らかに不自然だったが俺たちはここに入るしかない。ここで生きていくための手掛かりはここしかないのだ。




小屋のドアを開けると大きな机がありそこに椅子が人数分置いてあり、机の上には紙がおいてありそこには「みんなお疲れ。とりあえず椅子に座ってくれ」と書いてある。




歩きつかれた俺たちは何も疑うことなく椅子に座ってしまった。するとまた床が抜けて俺たちはまた下に落ちていく恐ろしくデジャブ。




どうしたもんかね。と思っていると「フライングウェア」とツユハちゃんが呪文を唱えた。



すると俺たちの体が急に重力に逆らってふわっと体が浮いた。これもたぶんツユハちゃんの魔法だな。ほんとにいつの間にあの分厚い本読んだんだろう。




しばらくすると底が見えてきたがさっきのように叩きつけられることは今回はなさそうので気を失うこともなさそうだ。




俺たちはふわっと地面に着地したがそこは俺たちがさっきまでいた冥界の部屋、いや閻魔の部屋と言ったほうが正しいのか。




奴は当たり前のようにさっきの椅子に座っていた。「健これはどういうことだ」と聞くと奴は「うーん異世界へ行く前の訓練みたいなものかな」と笑って言った。



「まあ天城さん以外は大した訓練にならなかったみたいだけど。」と続けた。



「これから君たちにほんとの君たちが転生する世界のことを説明しよう。」




その世界には2つの大きな帝国が存在していて、日々戦争を繰り返している。そのせいで死人が増えていてね。冥界が死人だらけだ。だから君たちにはその戦争を終わらしてほしい。」



急にガチかよついてけねーよ。



「終わらせ方は君たちに任せるよ。どちらかの国に手を貸して戦争を終わらせるのもいいし、ふたつの国の間に入って和平させてもいいし、君たちが第三の帝国を作って2つの国を

滅ぼしてもいい。ほんとに自由さ。」




急に飛躍した話に誰もが言葉を発せずにいた。無言の空間が続いているとまた健が「質問がなければ本当に異世界へ行ってもらうよ」



「ち、ちょっと待ってくれ俺たちが戦争を止めた後はどうなるんだ?」と隆が聞いた。



「うーん、元の世界では君たちはもう死んでるわけだから戦争を止めたあとも君たちはその世界に残ってもらうことになるかな。」



まあそうだろうな転生してるわけだからな。



「そうか。わかった」



「じゃあもういってもらうよ。あ、あとマコも付添いだ」



「わかりました。兄様」



「よし、じゃあ頑張ってくれみんな」



そいうと今度は床が抜けるわけではなく激しい光が目の前を覆い俺は意識を失った。







次に目を開けた時俺は見たことのない街の真ん中にいた。


その横にはマコとツユハちゃんがいたが隆の姿見当たらない。



どいうことだ。


__________________俺たちの異世界でのほんとのセカンドライフが始まった。

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