魔女っ娘さいこー
今日は異常に疲れている。てか俺死んでからどのくらいたっているのかな。
「俺死んでからどのくらい経ってるんだ?」と元転校生健こと閻魔様に聞いた。
「うーん、君が事故にあったのは君のいた世界の一時間前だけど冥界に連れてきてから君が目を覚ますまでに二時間かかったから君がいた世界では君が死んでから二か月経っている。」と爽やかな顔で答えた。
言っている意味が全く分からん。三時間しか経ってないんじゃないか、なのになぜ二か月なんだ。閻魔は計算もできないのか。
「はははっ声に出てるよ、亮君。少し説明不足だったね。冥界と君がいた世界では時間の進み方が全く違うんだよ。それに健でいいよと」また変わらない笑顔で答える。
てか声に出てたのか。
「ということは今いる冥界での一時間は俺の世界での一か月ってことか。」まったく信じられん。
「うん、まあ大体そういうことだよ。」とやはり笑顔を崩さない。対するおれは、苦笑いを浮かべるしかない。
俺が、死んだのが五月だから今は七月の半ばくらいか。あぁ先輩と海に行きたかったな。まあそういう関係だったわけじゃないけど。
ここでもう一つ気になることを思い出した。もちろん隆と見知らぬ女の子のことだ。女の子はたぶん俺と同じくらいの年で先輩とは違うが可愛らしい容姿をしている。
「健、隆はなんで死んだんだ?それにあの子も」健は少し考えた後に話始めた。
「そうだね~。ここに来るってことは彼も、彼女も君と同じでイレギュラーな死に方をしたということさ。」
イレギュラーな死に方ってなんだよ。そもそも普通の死に方ってなんだよ意味わかんねーよ。
「彼は、家の階段から足を滑らして、頭を強く打ってそのまま亡くなってしまったそうだ。」あの隆がそんな簡単な理由で。信じられない。
隆とは小さい時からの付き合いだが、あいつは昔から柔道をやっていて体頑丈なはずだし、まずそんなドジをするようなやつじゃない。
俺の心を察したように健は苦笑いで「人間という以外にもろいものさ、肉体的にも、精神的にもね」
「精神的にも?」俺は思ったことをそのまま口に出した。
健は話を続けた「そうさ、彼は君が死んでから抜け殻のようになってしまった。柔道もやめてしまったようだし。」
「ここにいる二人は君が死んでしまったことによって死ぬことになったってことだ。だからイレギュラーなんだ。」とさっきとは違い暗い表情でそういった。
待てよ、隆のことはなんとなくわかったがもう一人の女の子についてはまったくわからん。顔を見たことすらない。
「待ってくれ。俺は彼女のことを見たことないし、名前すら知らないのに俺が彼女の死にかかわっているっていうのはどういう意味だ。」
「簡単に言えば彼女は君に恋をしていた。」と健は簡単に答えた。
「君は覚えていないみたいだが君が事故にあう二日前彼女を質の悪いチンピラから助けていると。」こう続けた。
「でも、それは死んだ理由とは関係ないじゃないか。それとも俺とかかわった人間はみんな死ぬってことなのか」意味がわからず声を荒げることしかできなかった。
「彼女は君が事故にあったときそのすぐ近くを歩いていた。君の学校にいって君にお礼を言うためにね。そして彼女もその事故に巻き込まれ死んだ。」
俺は言葉がでなかった。だが健のいうことが嘘だとも思えなかった。
「でも、気を落とすことはない。君たちはこれから転生するんだから。」と健はまた爽やかな顔でいった。
そういう問題なのか。頭の中がぐちゃぐちゃになった。
「さあそろそろ二人が目覚める時間だ。」と健が爽やかにいう。
「待てよ、彼女はどうして今寝ている俺と同じ日に死んだじゃないのか」ちょっとした疑問を健にぶつけてみた。
「言ったろ、彼女は巻き込まれただけだ、君のように即死した訳じゃなくて重症だったが一命は取り留めていたんだ。しかし頭打ったことが原因のくも膜下出血で事故の二か月後に死んだのさ」
どうもこいつの話では一生笑えそうにない。
「兄様二人が目を覚ましました。」と今まで後ろでおとなしくしていたマオが健に声をかけた。
やっぱり兄弟なのか。てことは健も角生えんのかな。
「うーん、ここはどこだ。」「どうしてこんなとこに」とと女の子が声をだした。
「健じゃねーかここどこだよ。お、おいウソだろ。亮なのかりょぉーーーーー」とおれに駆け寄ってきた。
あまりの勢いに俺はされるがままになり声もでなかった。
それに女の子のことも気になるし。
「とりあえずわかったから離れろよ。鼻水ついてんだよ隆。まあでも悪かったな」
「お前がいるってことは死んだんだなおれ。」と以外にも隆は冷静だった。
「そっか私も死んじゃったんだ」と女の子も意外とそっけなない。
女の子は俺のほうを見ると早足で俺のほうに寄ってきて「助けてくれてありがとうございました。私天城ツユハって言います」と自己紹介してくれた。
結局死なせてしまったのはおれのせいみたいな感じなのにお礼を言われるとバツが悪い。
そして続けて「ここはどこなんですか?ええっと」「あーごめん俺の自己紹介がまだだったね。俺は荒川亮でこっちは同じ高校の友達で雨竜隆だよ」
横にいた隆もよろしくとあいさつを済ませ、そして本題に入ろうとしたとき健が「詳しいことは僕から話そう」と言ってきたので任せることにした。
健は二人を連れて少し俺から離れたところに連れて行ったわけだが、そうなるとここに残るのはあの鉄拳制裁のマオだけになるわけだ。うーん気まずい。
とりあえずなにか話さなけれえばいけないと感じた俺は「結局マオって何歳なの」と聞いてみた。答えはもちろん鉄拳制裁だったけどね。
このままじゃ変な性癖ついちゃうよ俺。
そうこうしてるうちに三人は戻ってきて俺の顔みて「どうしたんだその顔とははは」と笑う隆「大丈夫ですか」と小動物のような目で下から覗き込んでくるツユハちゃん。
うーんめっちゃかわいい。
最後の健は「いい子なんだごめん」と申し訳なさそうに謝ってきた。
そして健は俺たち三人の前に立ち「これから、みんなにはある世界へいってもらうその前にみんなに特別な力を授けようと思う。」
ようやくそれっぽくなってきたがどうせこういうのは期待できないのがセオリーだよね。うん。期待するのはやめよ。
「まず天城君君にはこれで、隆くんはこれとこれ、で亮君はこれ」といろんなものを手渡してきた。
ツユハちゃんには魔女のコスプレのようなローブと帽子と杖なのだが杖がカラフルでいろいろやばい、というかスカートの丈がやばい。あとめっちゃ似合おう。
対して隆のはヨーロッパの大金持ちの置物のような重厚な鎧とそれにあうほどでかい盾と大きな槍だ。うん。完全に職質対象。
対する俺は真っ黒な籠手とマントだけ。ほら。やっぱり絶対こうなると思ったよ。明らか雑魚じゃん。
だってマントの下学ランだぞ。
そんなことを考えているとツユハちゃんが俺のほうに寄ってきて「これ似合ってますか?」と上目使いで聞いてくるので、
「うん、よく似合ってると思うよ」とできる限り冷静を装って答えると、彼女はありがとうございますといって顔を赤くして少し僕から離れて行った。
すると隆が「なあこれ似合ってるか」と聞いてきたが俺はしらね~よとだけ答えた。だって頭の中は魔女っ娘ツユハちゃんでいっぱいなのだから。
しばらくくだらないやり取りをしていると健が「みんな少し聞いてくれ」というので健のほうに注目した。
「まず君たちに渡した道具の使い方を教えておくよ。天城さんの杖はみたとおり魔法の杖でウンディーネの杖とも呼ばれているよ、呪文を唱えると魔法が使えて、これが呪文のリストだ。よく読んでおいてくれ。」
なんだよ魔法のリストって。しかも結構分厚いぞ広辞苑くらいある。
「次は、隆君君の鎧と盾はワイバーンの鱗からできていて、魔法や物理攻撃をすべて無効化する、そしてその槍は鋼すら貫くよ。」
えっ。きたよ。チート装備どうやっても死なないやつじゃん。
「そして君の籠手は伝説のドラゴンファイヤードレイクの鱗から作られている。もちろんそのマントもドレイクの翼からできているよ。」
えっそれだけおれにもなんか武器ないの。
「あ、それと君の籠手にはファイヤードレイクの力が封印されているよ、いざとなったら空に手をかざしてドレイクチューンと叫ぶとドレイクが力を貸してくれるはずだ。
あと君にも籠手の説明書を渡しておくよ。」
なんだよこれにも説明書あんのかよ。なんか待遇良すぎて怖いな。
「よし、そろそろいこーか。一度君たちは死んでいる次はもうないよ、命を大事にね」
待てよ俺らいったいどんな危ないとこ連れてかれるんだよ。
「それじゃみんないってらっしゃい」と健がいった瞬間床が抜けた。あの野郎覚えとけよ。