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Re:苦情部

長日に生じる、そういう消失

作者: アンノーン

*注意*この物語はアブダクションです。実在の団体・人物・事件などとは一切関係ありません。それを同意の上で、お読み下さい。

「よし、夏休みにバーベキュー大会をします。BBQです」

 今回は、奈々村友人のそんな高らかな宣言とともに始まった。脈絡のない突然の言葉に、わたしはかばんを肩にかけようとした姿勢のまま固まった。

 長身の友人は、そんなわたしの顔を覗き込んで、

「どうしたのですか、そんなぼけーっとした顔をして。締りのない顔をして」

 うるさい。

 わたしを間の抜けた顔と表すのなら――そうは思わないけれど――、それと対照的に友人の表情は若手政治家みたいに爛々と輝いている。今日も幸せそうだった。

 七月中旬。

 夏休みに入る前日。

 サウナのような体育館での修了式も滞りなく済み、一学期最後の終礼も無事に終えたあと、いざ陸上部に向かわんとしたところに隣のクラスの奈々村友人が現れた。出し抜けに彼が宣言をしたものだから、わたしが呆けた面をしてしまうのも無理はないはずだ。

 まずは内容を把握しないことには始まらない。

「バーベキュー大会って……、キャンプ?」

「発想が乏しいですね。貧小なんですね」

「丁寧語やめて。なんか君がその喋り方していると体がむず痒くなってくる」

 はっきり言って似合わない。

「……まあ、それはともかく」

 幸い、彼は素直に聞き入れてくれた。

「バーベキューだ。肉だ」

 この似たような意味の言葉を連続してぶつけてくるのがいちいち頭にくる。しかし、今はそれを言及するときではない。もっと大切なことがある。釘を差しておく。

「バーベキュー云々以前に、嫌だからね。絶対に友人と二人きりでなんか泊まらないから」

 すると友人は何言ってんだ、という顔をして、

「あほ。俺は異性としか寝ない」

「……」

 その顔面にパンチをお見舞いして差し上げましょうか?

 ……そもそも、異性としか寝ない、という信念もどうかと思うのだけど。この人なんか怖い。

 変態な友達である――というかこんなひとを友達と呼びたくはないのだが――奈々村友人は近くの机に腰掛けながら言った。

「陸上部で行くんだよ。それ以外に俺がお前を誘う理由なんてないだろう。リーズンレスだ。そもそも、キャンプでもなければ、お泊りでもない。ただ単にバーベキューして花火して遊ぶだけだ」

 それならばいい。その計画に口を出す気はない。

 けれど。

 わたしは小首を傾げた。

「……君、そもそも陸上部員じゃないでしょ」

 ――単純な真理である。

 しかし、帰宅部のエースを自称する奈々村友人は何食わぬ顔で、

「仲間外れは良くないんだぞ。はみごにされた人がどんな気持ちになるか、考えてみろ」

 ――複雑な心理である。

 そう来られると、こちらとしても強くは言えない。入部届けを出してはいないから、正式な陸上部員ではないけれど、部員全員と面識があるし、部室にもちょくちょく現れたりする。『準陸上部員』といったところだろうか。わたしはもちろん『純陸上部員』。そもそも、このバーベキュー大会の立案者は友人なのだろう。言いだしっぺを仲間外れにはできない。

「ん……。でも、他の人たちはどうかな。霜降さんはなんでもかんでもどんなイベントにも参加するタイプだけど、黒澤くんはそれとは違う方向だし?」

「黒澤は二つ返事でオーケーしてくれた。霜降さんに至ってはバーベキューの《バーベ》だけで『いいね!』と言ってくれた。今のところはお前だけだ、バーベキュー参加のくだりで数行も使っているのはな」

「数行言うな。登場人物のキャラを少しでも濃くしたいという作者の健気な裏事情があることを知らないくせに」

 ……ん。

『今のところは』ということは、つまり、

「まだ誘っていない人がいるの?」

 てっきり最後だと思っていた。

 現役陸上部は総勢五人。ちなみに全員一年生。つい一ヶ月半程度前にわたしと入れ違いに引退した三年生の仲野先輩を入れても六人。霜降さん曰く、『少数精鋭』だそうだ。

「大神にはまだ言ってない。仲野さんという人は俺、知らないからちょっと勘弁してくれ」

 むしろ接点のない霜降さんと面識があることに感心する。関心はないけれど。どうせ下心だろう。口には出さないでおく。 

「そこで、だ」

 伸ばした人差し指をこちらに向けてきた。彼の癖なのだ。

「俺は用事があるからもう帰らないといけない。大神にはお前から話しておいてくれないか。あいつなら生徒会室あたりにいるだろうし」

 それぐらいだったらお安い御用だ。

『各自の持ち物や日付などは追って連絡する』という言葉を残し、彼は去っていった。その足取りは心なしか弾んでいるように見えた。

 次の日、プランナー奈々村友人から、メールが届いた。わたしは大きめのクーラーボックスを一つ持っていけばいいらしい。お肉は向こうで買うけれど、野菜はないので、できれば野菜も持ってきてくれ、とのこと。腕がなるねえ。


 夏休み最初の記録会――タータントラックがすごく走りやすかった――を終えた次の日。

 晴れ。

 十一時三十二分。

 わたしたちは高校の近くにある河川敷で立ち尽くしていた。夏らしく、太陽は高い。そして暑い。ここまでの道中で既にシャツは汗まみれになっているのだけど、蒸し暑いというわけではなく、バーベキューをやるには絶好の日和であることは間違いない。あとは熱中症に気をつけるぐらいだろうか。だけどこれは陸上部の普段の練習でやっていることだ。

 ……そこまではいい。

 問題はどうして、わたしたちが河川敷で立ち尽くしているのか。

 言うまでもなく、現在夏休み真っ最中である。だから友人はバーベキューをしようと思い立ったのだろうけど、それは当然、他の人たちも考えているに決まっていた。河川敷の、バーベキューが許可されているエリアは、たくさんの家族連れやわたしたちのようなグループで埋まっていた。正午前なのに、すでにあちらこちらから肉の焼ける匂いが漂ってきている。わたしたちは全員大荷物を背負っている。早く地面に下ろしたいと皆が思っているはずだ。

「……大神さんは?」

 口を開いたのは涼しそうな白のシャツを着た霜降さんだ。しかし暑さのせいか、目が死んでいる。手にはブルーシートが入った袋、肩にはエナメルバッグ。どうも彼女だけ、他の皆より荷物の量が少ないような気がするのだけど。

 霜降さんの問いにはわたしが答えた。

「大神くんは用事」

 だから、今日の欠席者は彼だけとなる。わたし、友人、百本部長、霜降さんに黒澤くんの五人でバーベキューだ。

「しかし、どうするんや? 空いてる場所全然ないんちゃう?」

 早くも絶望感に浸っているご様子の百本部長。練習中にもよく使うランニングキャップをかぶっている。

「ですね、どうします?」

 と黒澤くん。こんなにも暑いのに、熱を吸収しやすい灰色のシャツを身にまとっている。

 ランナーならぬプランナーの友人が先頭を切って歩き出した。

「ちょっとぐらい、バーベキューエリアから離れてていても大丈夫だろ。咎められないだろ。ほら、あの辺りのグループもはみ出しているし。……それに、早くこのでっかい机を置いて楽になりたい」

 やはり最後のが本音だろう。彼はふた抱えもあるアウトドア用のテーブル担当。わたしも大きめのクーラーボックスを抱えているのはちょっとしんどい。

 バーベキューエリアからちょっとぐらい外れてもいいという条件なら、すぐに場所が見つかった。近くに人もいないし、水路橋の真下なので影もあり、少しは涼しい。穴場といえば少し違うかもしれないけれど、良い場所なのは間違いない。

 早速、ブルーシート(陸上部の部室で見つけたもので、それなりに大きい)を敷き、めいめいの荷物をため息とともに下ろした。

 バーベキューセットやテーブルを力を合わせて組み立てる。そこは今が血気盛りの高校生たち。さして苦労することはなかった。

「じゃーん! 皆さん、ご注目!」

 と、先程の目が死んでいる状態から急激な復活を遂げたのは霜降さんだ。そう言われては注目するしかない。霜降さんはエナメルバッグに入れていたのだろう、小さめのクーラーバッグから、フリーザーバッグ――あの、ジッパーがついている食べ物を保存する袋――を取り出し、大げさに掲げた。

「肉ですか」

 と眼鏡をかけている黒澤くん。早くも首元にタオルを巻いている。

「ただのお肉じゃないよ? 超がつくほど美味しい牛肉だよ? 高級牛肉だよ? A5ランクだよ?」

 霜降さんって、見かけによらずお嬢様なのだ。噂では、潜水艦を持っているとも。まあ、それはさすがに真っ赤な嘘なのだろうけど。

 霜降さんはそれが見やすいように、テーブルの上に置いた。綺麗な赤色をしている。どうやら、一人一枚ずつらしい。取り合いの戦争を起こさなくてよかった。

 百本部長は無邪気な眼差しを突如現れた幸運に向けている。彼は小柄だから、最後までお腹が持つのかは知らないけれど。

「すごいやん。焼く前からうまそうやん」

 わたしはニヤリとして、

「馬? 部長さん、これは桜肉じゃなくて、牛肉だよ」

「『うまそう』や!」

 わたしがどんなにつまらないことを言っても、しっかりと返してくれるツッコミ担当・百本部長は偉いと思う。

「やっぱりトリですかね」

「黒澤くん、鳥じゃなくて牛だよ?」

「面白くないぞ、お前。でもやっぱりそうだな。最後にしておくべきだろう。楽しみは取っておくものだし」

 ……とんびに油揚げをさらわれるようなことになっても知らないけど。

「皆がそう言うのだったら、あたしもそれでいいかな」

 ボケを一蹴されたからというわけではないが、わたしも負けていられない。わたしは持ってきたクーラーボックスをひっくり返し、中から霜降さんと同じような、フリーザーバッグを大量にテーブルの上に落とす。テーブルに緑色をした山ができた。

「じゃーん! 皆さん、ご注目!」

 と言っても皆が見ている方向に意図してそれを置いたのだけど。

「野菜ですか?」

「玉ねぎとキャベツだよ」

 友人はそれらを見て、

「お前、切るの下手だな。向いてないんじゃないか?」

「形が不揃いなのは認めるけれど、君がやれって言ったんでしょ?」

「自分は生しか食べません」

「生はさすがに、何かあったらわたしが責任とれないし……」

「こんなにはいらなかったんやないか? ちなみにおれは野菜、食わへんで」

「あたしもいらないー」

「あ、俺も」

 …………。

 なんじゃそりゃ。

 四人が四人とも食べないとか……。

「さあ、残りの必要な物とか、肉を買ってくるか。買い出しだ」

「そやな。スーパー近くにあるし」

「え、それだけ? 野菜のくだりそれだけ? 友人がわたしに野菜を持ってこいと言ったから持ってきたのに!」

「誰が行くか、ジャンケンするかー。行くぞー」

「無視なの!」

「頭に響くので叫ばないでください」

「あ、……すみません」

 黒澤くんに露骨に嫌な顔をされた。嫌われたかもしれない。

「――ジャンケン」

「ちょっと」

 しかし、誰も食べないのなら、この大量の野菜をどうやって消費すればいいのよ。昨日どのくらい時間をかけたのか知らないくせに!

 結局、わたしはジャンケンに負け、買い出しに行くメンバーになってしまった。わたしと桃本部長と黒澤くんとである。霜降さんとプランナーのお二人はバーベキューの火付け役。二人は早速作業に取り掛かり始めた。軍手をはめた手で炭を組んだり、着火剤をつけたり、慣れていないのが丸分かりなので、その必死に頑張っている様子を眺めているだけで楽しい。

 しかし暑いなあ。……あ、そうだ。野菜の袋を戻しておかないと――。

 後片付けをするわたしの傍らで、財布を用意した桃本部長が言った。

「じゃあ、行こうや。買い出し」

「行きますか」

「あ、ちょっと……」

 黒澤くんに部長さん、どうしてわたしを置いていくの。野菜の袋の量が量なので、一つ入れていくのは時間がかかるのだ。――もう!

 ……ちょっと待って! 

 わたしは野菜をクーラーボックスになんとか詰めて、河川敷の端、石造りの階段まで差し掛かっていた彼らのあとを急いで追った。


「おい、お前ら、まさかお腹一杯とか言わないよな? 満腹とか言うなよな?」

 いつからか、完全に『おにくをひっくりかえす』係になっていた友人が言う。トングと軍手が案外似合っている。

 バーベキューも終盤。お肉が焼けてきたら夢中になってしまって、気づけば買い込んだパックの山も最後の一つにまで減っていた。日が沈むにはまだ時間があるとはいえ、嬉しいことに暑さも収まってきている。

 百本部長がうちわをパタパタさせながら、ドタっとブルーシートに倒れ込んだ。

「おれ、少食やから、これ以上無理」

 見た目通り、やっぱり彼はあまり食えないタイプらしい。そんなんだから、いつまで経っても体重が五十キロに満たないんだよ? 本当、全然うらやましくない!

「ま、百本は仕方がないとして――黒澤は?」

「十分に堪能しました。僕はもう疲れたよパトラッシュ、です」

「そうか、お前はネロだったのか。それじゃ、寝ろ」

 今まで一番面白くない、かつ上手くない駄洒落ではなかろうか。

「霜降さんは?」

「あたしも駄目。マシュマロ食べなきゃよかった」

 彼女は買い出しの際にマシュマロを炙りたいという理由で買ってしまったのだった。面白いこと好きな霜降さんだからそれは仕方のないことだろうけど、唯一計算違いだったのは、ひと袋の量が予想よりも多かったってこと。普通の体型ならそれくらい食べてしまえばそれ以上はお腹に入らない。

「そうか。それはやむを得ないな」

 ねえ、女の子にちょっと甘いんじゃない? マシュマロみたいにさあ。

 やはり順番通りに、彼は最後にわたしの名前を呼んだ。

「お前は?」

「わたしもお腹いーっぱい」

「そうか。それなら食べろ」

「おい」

 思わず男っぽい掛け声になってしまった。

「それならあと二十分ぐらい休憩してからで」

「それじゃ、駄目だ」

 友人はそばにある炭の入ったダンボール箱を足で小突いた。

「炭がない。今、使っているこれで最後だ。だから火が弱くならないうちに、さっさと食べてくれ。焼けなくなっても知らないからな。――ほら、食え」

 あんまり友人がしつこいものだから、わたしは彼に言い返した。

「大体ねえ、人にやらせるんじゃなくて、自分が食べるべきだよ。『隗より始めよ』という言葉を知らないの?」

「それ、微妙に意味間違えているような気がするんやけど」

 さすが文系一筋、百本部長。だけどこの状況では口を挟まないで欲しかった。

「俺は食ってる。食してる。人が良いと書いて、食している。むしろまだまだ物足りないくらいだ」

 わたしはクーラーボックスを指差した。

「それじゃあ、わたしの持ってきた野菜たちを食べなさいよ。食しなさいよ。それから『食』の上部分は、人は人でも『ひとやね』だよ」

「そうなのか。世の中には縁の下で頑張っている人もいれば、屋根になってくれる人もいるんだな。感慨深い。俺たちも、そんな人間になりたいものだ」

「なに話を逸らそうとしているの。わたしの玉ねぎとキャベツを喰らいなさい」

 わたしが昨日、慣れない包丁を使い、時間をかけてカットした野菜たちをこの陸上部員たちはまだ一口も食っていないのである。というかクーラーボックスから出してさえない。本当に宣言通りだ。

 彼らがお肉類をいただいている横で、わたしが草食動物よろしく野菜を食べるのは気が進まないのでわたしも手をつけていない。人のことを言えない。

 火花散るわたしと友人の言い争い――もとい押し問答を、黒澤くんが中断させる。

「まあ、いいじゃないですか。今日ぐらい、好きなものだけ食えば」

 む。黒澤くんまでそっちの味方か。

 そうそう――と、霜降さんも笑顔で応じる。

「だからといって、満腹になるのは駄目だけどね。まだ、とっておきが残っているんだから」

「あ、そうですね」

 黒澤くんはつられて思い出したように、

「トリが残っていますね」

「そうやったな」

 霜降さんが持ってきてくれた、わたしの野菜たちが見衰えするような(元より関係ないね)、霜降さん曰く『A5』の牛肉五枚があった。

「そやそやって……へ?」

 素っ頓狂な声を上げたのは、百本部長。いつの間にかテーブルの近くに移動している。どうしたの、と部長さんに声をかける。

 彼は苦笑いしながらテーブルの上を指差した。

「ここに、高級牛肉置きっぱなしにしてあらへんかったっけ?」

「え?」

 あ、確かに。

 テーブルの上にあるのは、人数分のコップとタレで汚れた紙皿、箸だけ。お肉が入っていたはずのフリーザーバッグはどこにもない。

「消えたの?」

「見たとおり、ないやろ」

「ない、ですね」

「……ああ、つまりだ」

 友人が言う。彼にしては、中々洒落たことを。

「牛たちは誘拐――キャトルミューティレーションに遭ってしまったんだな」


 キャトルミューティレーションとは、数十年前のアメリカで多発した、家畜(主に牛)が死亡してしまうという――しかも、死体に鋭利な切断面があったり、血液が抜かれていたりするのだ(恐ろしい!)――という現象のこと。このことから、宇宙人にさらわれて実験台にされたのでは、という説もあったりする。戯言もいいところだけど。

 そんな感じで、内心で語り始めていたわたしだったけれど、ひとまず現実に自分を引き戻す。

 状況は至ってシンプルである。

 夏休みを利用し、河川敷にバーベキューをしに来た、わたし、友人、百本部長、黒澤くん、霜降さんの五人。だけど、お楽しみとして残しておいた牛肉が消えてしまった。どこに行ってしまったのだろう? 牛といっても独りでに歩くはずはないのだけど。不思議だ。

「キャトられたのなら、帰ってくると思うんだけどね」

「とんびではなく、宇宙人に油揚げをさらわれちゃったってことかあ」

「いや、そんなふざけたこと言ってる場合やないやろ」

 現状をしっかり見ろ、と部長さん。友人も言う。

「炭も残っていないし、早く見つけないともう食べられないぞ?」

「あ、それは大変だね」

 と、さほど大変そうに見えない霜降さんが言う。食べ慣れているから今日ぐらいは別にいいや、という意識なのだろうか。わたしの家は貧乏なのでこういう機会を逃すのは正直惜しい。

「霜降さん、牛肉は本当にそのテーブルに置いたままだったのか? 持ってきたときと同じようにクーラーバッグに戻したりとかは……」

 そうだったらどんな楽か。

 それでも少しは期待していたのだけど、残念ながら、霜降さんは首を横に振った。

「してない。最初に出した時からそのままにしていたし。というか忘れていた」

 そして、可愛らしく肩をすくめた。あ、わたしにはとても真似できない動作だな、と感じた。そうか、これがジェラシーというやつか。

 黒澤くんが、首にかけたタオルで汗を拭きながら、

「いつからなくなっていたんでしょうか。自分が気づいたのは今さっきですけど」

 皆の反応を見る限り、全員そうらしい。わたしも例外ではない。バーベキューに夢中になっていた。生のお肉より焼けたお肉のほうに注意がいくのは自然というものだろうけど。ただ、テーブルの上に放置したまま、というのは迂闊だった気がする。

「悪人が盗んでいったりしたのでしょうか」

「いや、それは無理があるんやないか。俺らはずっとここにいたんやから、それこそとうめい人間じゃないと不可能やで?」

 そう言って、彼はまたビニールシートに倒れ込んだ。

「皆が最後に見たのはいつだ?」

 友人の問いに、わたしたちは首を傾げる。

「最初に見たときから見てないかも」

「同じやな。おれも見てへん」

「あたしも。皆に披露して満足したっていうか」

「他のことで色々と必死でしたから」

 捜査に進展は見られないようだった。こうしている間にも、炭は色を失い、白くなっていく。バーベキューセットの中を見てみると、あと五分持たないだろう。火は消えかかっている。残り火ぐらいの火力だ。

「とにかく、手分けして探しましょう。もしかしたら、何かが起きて各自の持ち物に紛れ込んでいるのかもしれません」

 黒澤くんの提案で、各々荷物を探り出す。

「ありました?」

「いや、なかったで。クーラーボックスとかは?」

 わたしは首を振る。

「ううん。なかった」

「あたしも。ゴミ袋に捨てられてもいないみたいだし」

「じゃ、もうこのあたりにはないのか? さすがにブルーシートの下にはないだろうし」

「まあ、あったとしても――」

 わたしは言う。バーベキューセットの隣に立って。

「火、消えちゃってるんだけどね。炭も燃え尽きちゃったみたい」

 ええ、それはもう真っ白に。ボクシングチャンピオンに挑み負けて燃え尽きてしまった前髪の長いボクサー並みに。

 まだ、普通のお肉も少し余っていたのに、残念だ。

 プランナー奈々村友人はまだまだ不完全燃焼といった様子で、呟いた。

「……それじゃあ、片付けるか」

 しゅんとした彼を見て、悲しい気持ちになった。

 片付けが終わってからは、ボール遊びをしたり、フリスビーでゲームしたり、花火を買いに行ったりして楽しんだ。遊びに夢中になっているうちに、この件のことは皆の頭から消えていった――はずだったのだけど。

 遊びも一段落し、さて日も暮れたし、花火でもしようかと誰かが言い始めたあたり。

 例の牛肉はやっぱりキャトルミューティレーションのごとく、再び現れたのだ。

 ――さきの、アウトドア用テーブルの上に。

 わたしが見つけたお肉を真っ先に手にした霜降さんは、

「今さら出てきても遅いけど、ずたずたにされてなかっただけでもよしとしようじゃないの」

 口調が、霜のように冷たかった。

 そしてそのまま、クーラーバッグにしまい、無理に元気よく言う。

「さあ、暗くなってきたし、花火しよう! 誰がどの種類を取るか、ジャンケンですよ!」

 ――あとから聞いたのだけど、お肉は家に帰ってから食べたらしい。


 その翌週の水曜日。

 一年六組の教室に、そのクラスの陸上部員――わたしと霜降さんと大神くん――は、いた。三人とも、上は半袖のカッターシャツという涼しい格好である。夏休みなのにも関わらず、部活動以外でわたしたちが学校にいるわけは、初秋に文化祭を控えているから、出し物の話し合いのため、である。

 それ自体は一時間少しで終わったのだけど、帰ろうとしたところで、大神くんと霜降さんに話したいことがあると呼び止められたのだ。教室では冷房が効いているし、外は灼熱地獄なので居残るのはあながち嫌じゃない。

 わたしは椅子にもたれかかって楽な姿勢になる。

「それで、何なの?」

「まずはね、どうして僕がバーベキューに誘われなかったのかを伺いたいのだけど。友人によると、君が僕に伝えておく約束だったそうじゃないか」

 そう言ってわたしを軽く睨んだのは大神くん。さほど責めている様子はないけど、自然、わたしは弁解するような言い方になる。

「え……っとね、そのね。生徒会役員のね、コースケくんいるじゃない? あの皆の人気者の。彼から、バーベキュー大会の日と生徒会の活動日が重なるって聞いたの。だから、大神くんは来られないなって思ったわけなんだけど。……ほら、生徒会役員でしょ、大神くん」

「それは間違いだ」

 マチガイ? マチガイって、あの間違い探しとかのマチガイのこと?

「僕は生徒会役員じゃないよ」

 どぎまぎしてしまう。

「で、でも、あれでしょう。大神くん、――よく行ってるじゃない、生徒会室。――よく言ってるじゃない、生徒会がどうのこうのって。友人も言っていたし」

「残念ながら、僕は生徒会が面白いから行っているだけ。いわゆるキルタイムだよ」

 あ、そうだったんだ……。

 ひとまず、ペコリと頭を下げる。失態を犯したときはこれに限る。

「ごめんなさい」

「ん。いや、まあ、いいのだけど。責めるつもりはなかったから。理由を聞きたかっただけで」

「そう? それならよかった。じゃ、この件はなかったことに」

「……え」

「あはは、気持ちの切り替えが早すぎ」

 そう言って笑ったのはわたしたちのやり取りをずっと見ていた霜降さん。

「――で、それが話したいことなの?」

 大神くんは首を振った。

 しかし、それ以外に何があるだろう? わたしが陸上部に入ってから、それなりに大神くんとも話すようになったけれど、双方の間にトラブルをいくつも抱えてしまっているとは思えない。

「バーベキューのことについては、霜降から詳しく聞いたんだ。それで、ちょっと思ったことがあって。他の陸上部員に話すつもりは皆目ないのだけど」

「はあ」

 それじゃあ、どうしてわたしに。

「うん。思ったことというのはアレだ――キャトルミューティレーションについてだ。霜降の牛についてのね。もしかすると、わかったかもしれない。その原因というか、理由というか。カッコつけた言い方をするのなら、真相、または真実」

 大神くんはポケットから、扇子を取り出して広げ、仰ぎ出す。猫が書かれたデザインだ。漏れた風がわたしのほうへ来て、ちょっと涼しい。そんな彼に『いいセンスだ』とかつまらぬ駄洒落を言うほど、わたしは女子高生として終わっていない。そんなのはナンセンスだ。この間なんて、駄洒落がくどすぎるとこの人に言われてしまった。

 扇子を仰ぎながら、大神くんは宣する。

「君は知っているよね? 真実をさ」

 むう。そう言われると、せんすべ無い。『わかっている?』ではなく――『知っている?』と訊いてきたのが、ミソなのだ。

 霜降さんのほうを見ると、彼女は居心地の悪そうな笑みを浮かべていた。察するに、霜降さんも『わかっている』のだろう。

 わたしは言う。

「もしかすると、わたしが知っているのと、大神くんがわかっているのとは、食い違っているのかもしれないよ? 話してみてくれないかな、探偵よろしくにね」

「いいよ。面倒臭くなる前に話しきりたいところだし」

 パタパタと扇子をたたんでから、彼は話し出した。

「考えてみればおかしなところがあるんだよね。牛肉がなくなったあとすぐ、友人が最後に見たのはいつだったかを訊ねた。しかし皆、口を揃えて『最初に見たときが最後だった』だ。全員の証言がかぶっちゃうっていうのは、ちょっと異常だと思うんだよ。――でも、これを異常ではないと考えるのなら、こうなる」

 彼は一瞬だけ、もったいぶるような間を置いてから、言った。

「――牛肉は、最初に披露された、そのすぐあとに消えた。誰かが再び見ようとする前に、ね」

「なるほど」

「では、どうして消えたのだろう。足が生えたり、自然消滅などするはずがない。何か超自然現象が起きたっていうのはありえない。キャトられたっていうのも論外だ。百本部長が言ったとおり、見知らぬ人が盗んでいくのは難しい。それに、君たちは他のグループが周りにいない場所を選んだというじゃないか。これで完全に、外部犯の可能性はなくなった。それなら容疑がかかるのは――」

 彼が口にした、『外部犯』という言葉でピンときた。

 犯人の目星。それはつまり、

「――内部犯。バーベキュー大会に参加した陸上部員五人の内の誰かだ」

 やっぱりそうなるよね。どうやら大神くん、探偵役にノってきたらしい。だんだんと饒舌になってきている。

「ここまで来れば、あとは簡単だ。あの時いたメンバーで、あのあとすぐ、牛肉に近づいた人物」

 単刀直入に、と大神くん。充分、前置きが長かったような気もするのだけれど。まあ、わざわざ水を差したりはしない。

 探偵さんはわたしをじっと見て、

「犯人は君だ」

「…………」

 そんなに面と向かって言われては――お手上げかな。

 わたしはホールドアップされた兵士よろしく両手を上げる。どうでもいいことだけれど、ホールドアップは『Hold your hands up』の略だそうだ。いや、本当にどうでもいいことだけれど。

「認めるんだね」

 確認してきたのは霜降さんである。わたしは頷いた。

「うん。わたしは正直者だからね。問われれば、素直に答えるよ」

 何か白々しいな、と自分で思った。問われなければ、永遠に口をつぐんだままだった、ともとれる。

「でも、これだけはわかってほしいよ。わたしは、殊更にそうしたんじゃないってこと」

「そうみたいだね。故意にそうしたんじゃない。牛肉を隠す間は、野菜をクーラーボックスにしまっているときぐらいだろう。君は買い出し係に当たっていた。残りの二人――黒澤と桃本が先に行ってしまうから焦ってしまった。だから、一つずつ手づかみでしまうのではなく、テーブル上のフリーザーバッグを――どう表現すればいいのかな。腕で押し出すようにして、とでも言おうかな――、一気にテーブルからクーラーボックスの中に落としたんだ。ちょうど、机上に散らばったケシカスを集めるような要領だね。少し荒いけれど、こちらのほうが断然早い。クーラーボックスは大きめだったらしいから、口もでかいだろうし」

 彼も中々鋭い。

「うん、そう。そうやってお肉の入ったフリーザーバッグごと、クーラーボックスに入れてしまっていたみたい。だから、隠したのではなくて、隠しちゃったの。気づいたのは自分たちの荷物をみんなで探っていたとき。もしかしたらと思って見てみたら、案の定、野菜の山に混じってた」

「だったらそこで言えばよかったんじゃないの?」

 霜降さんの問いにゆるゆると首を振る。

「そこでね、悪いわたしが出てきちゃったの。火は消えかかっていたから、お肉を焼く時間はない。中途半端に焼くのもどうだし。そんなドジをかまして、皆に責められたくなかったっていうのが、一番の理由。かといって、そのまま持って帰ったりするのはもう、嘘をつくまでもなく泥棒の始まりだし。

 だから、なくなったときと同じく、突然出現させたの。皆が遊んでいるときを見計らってね。こうすれば、うやむやになって消えるかなと思って。バーベキューの煙のようにね。……やっぱり、悪いことはできないなあ」

 わたしは、霜降さんを見据えた。

「霜降さんがここにいる理由はなんとなくわかるよ。お肉の持ち主だからというわけではないんでしょう? 誰が犯人で、どこに隠されていたかに気づいていたから、だよね」

 彼女は小さく頷いた。

「そう。高級牛肉に触れたとき、変に冷たかったから。今までクーラーボックスの中にあったんだなって思った。で、クーラーボックスの持ち主はあなただけだったし。あなたなりに何か理由があるのかなあって思って黙っているつもりだったけれど」

 そう思ったから、誰の手にも渡らせることなく、すぐにクーラーバッグの中にしまってくれたのだろう。

「けれど、大神くんにはバレちゃって。あたしが知っているってことも。だから、今日、大神くんとで、あなたを引き止めたわけだけど」

 それから彼女はいたずらっぽく笑った。

「でも、そうじゃないと、家に帰ってから食べたりはしないよ。今までどこにあったのかわからないような物だよ? あの暑さなら腐っていてもおかしくないんだから」


 わたしは頭を下げた。

「今更だけど、ごめんなさい」

「いいよ。別にあたしは気にしていない。それに、わたしたちも悪かった。野菜を一度でも食べようとしていたら、気づいていただろうし。それに皆も高級牛肉については、そこまで興味なかったっぽいし」

「え?」

 わたしはすごく興味持ってたよ? 興味津々というか、興味深々と言いたくなるくらいに。

「だって、高級牛肉の出番が来るまで、誰も気づかなかったんだから。――こういうのは、楽しめたらそれでいいんだって」

「いい娘だねえ」

 ……それでも騒がせたのは事実。二人はわたしを斟酌して秘密にしてくれているのかもしれないけれど、他の陸上部員にも打ち明けておこう。そうするべきだと思う。


 ちりーん、ちりーん、と小気味良い音が部室に響く。

「風情が……あるんですかね」

 黒澤くんが呟く。

「もちろんあるよ。例え百均でも」

 大神くんも言う。

「をかしだね」

 古典かぶれめ。

 部室の窓に吊るされ、風に揺らされるまま、透き通るような音を奏でているのは青い風鈴。本格的に夏が来て、部室が熱気を溜め込むようになったので、扇風機か何か冷房器具を買いましょうと我らが部長、百本くんに頼んでみた。すると彼は苦い顔をして、『部員が少ないから部費も当てられていない。だから買えない』。

 しかし、せめて気持ちだけでも涼しもうと、わたしが近所のホームセンターでチープな風鈴を買ってきたのだ。公言はしていないけど、先日のお詫びも兼ねていたりする。

 百本部長は無気力そのものといった様子で、

「……風鈴、あまり効果ないんやない?」

「それ言う?」

 趣があろうとなかろうと、暑さを無視できるようになるはずがなかった。

 容赦ない暑さと、練習後の疲れも相まってだれてしまった。椅子に深く沈み込み、うちわを扇ぎながら、目をつぶる。空腹であれば空腹であるほど、ご飯が美味しくなるのと同じ原理で、練習を終えたあとだからこそ、ただリラックスしているだけなのに、すごく気持ちよくなれる。最近はこの感覚がくせになってきている。

 ……でもやっぱり、汗が気持ち悪いね……着替えようなかな……。

 と、思った時、何か快音がしたかと思うと、涼風がわたしの頬を撫でた。思わず目を開けるとすぐ近くでサッカーボールがはねていた。どうやら、涼風の正体はこれらしい。窓から飛び込んできたみたいだ。びっくりした。

 ――い、いやいや、ちょっと待て。それなら、快音の正体は何?

「…………」

 口があんぐりと下がった。

 窓のほうを見ると、ほんのさっきまで健気に揺れていた風鈴が、砕けていた。砕けていた。砕けていた。それはもう、見事に。割れたガラスの曲線美を一種の芸術品とでも言い表せるぐらいに。形あるものはいつか壊れるというけれど、いくらなんでも儚すぎるじゃない!

 窓からひょっこりと友人と霜降さんが覗いた。

「今、サッカーボール飛んできただろ? 飛び込んできただろ? とってくれないか。今、霜降さんとサッカーしていて、俺のシュートが華麗に決まったんだ。全く、溢れ出る才能が自分でも怖いぜ。おそれおののくぜ」

 わたしは足元に転がっているサッカーボールを拾った。

「それだそれだ。ヘイ! パス!」

 人の気持ちも知らずに、無神経にパスを要求してくる奈々村友人。というか陸上部でない彼がなぜここにいるのだ。彼の隣にいる霜降さんが、短冊だけが虚しく揺れる風鈴に気づいた。

「あれ? 風鈴、割れているじゃない。どうしたの?」

「さっきのサッカーボールがヒットしたんですよ。パリーンってすごく良い音がしたんです」

「あはは、最後に一生で一番の音を出したってことだねー。風鈴も本望じゃない?」

 快活に笑う霜降さん。つられ笑いする友人。わたしはその顔に狙いを定めてサッカーボールを構える。こう見えても、わたし、ドッジボールとソフトボールが得意なのである。

「――お前らあああ!!!!」

 本気で怒っていたわけではないし、少しだけ楽しかったのも否めない。陸上部に入っていなければ、この楽しみを感じることもなく、漫然と過ごしていたはず。練習は少ししんどいけれど、達成感もある。そういうことなら、陸上部に入ってよかった。

 まだ暑さは日本列島に居残り続けるつもりだろう。それならそれでも構わない。時が止まってくれればいい。なんなら永遠に夏のままでいい。永遠にループするかのように思えた学生生活も、三年を切ってしまった。巡る季節はあと十二もない。それを実感するようになってきた。

 これだけは言える。

 ふわふわと飛んでいるだけじゃ、あとで振り返ってから、絶対に後悔する。地に足をつけ、一歩一歩踏みしめていかないと。――陸上部らしく、ね。


 追記すると、わたしの全力のスローインは、友人ではなく、窓際のパイプ椅子に座っていた黒澤くんの横顔に当たってしまった。わたしは――地に足どころか、手までをつけ――、全力で土下座を繰り返したのだった。

 奇しくも、土下座は今は引退した投擲専門の仲野先輩の得意技だったらしい。

ありがとうございました。謎のほうはオマケ程度と考えてください。前回のメインは仲野先輩でしたけれど、今回のメインはいちおう霜降さんとなっています。次回作は二学期までに書いてみせますとも!

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― 新着の感想 ―
[一言] 今回は主人公が探偵ではなく、犯人だったというところは、良かったと思います。 ところどころのギャグも面白いですし、最後のオチも陸上部の日常みたいになっていて良かったです。 駄洒落はあまり笑えま…
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