プロローグ
※大幅に改稿しました(1/26)
初投稿になります。初心者なので勝手が分かりませんが、どうぞよろしくお願いいたします。感想については、書いて頂けるとありがたいです。率直に指摘して頂いて構いません。
世界は今日も穏やかである。日が昇り、沈み、また昇る。そんな日常の一時。
眼前には、夏の日差しに照られて青く茂る樹林が広がっている。少し街から離れれば、見ることが出来るであろう普通の風景。ただ、風景が普通であるからと言って、何もが普通であるわけではない。
――この世界には魔法が存在する。
質量保存の法則、エネルギー保存の法則、熱伝導の法則……。それは、この世に数多く存在する物理法則を無視して、世界に干渉する事が出来る唯一の手段である。その力がどのような物なのかを、少なくとも俺は知らず、おそらくこの場にいる総勢二十名と一匹の仲間達も同様に知らないであろう。人類の埒外にある謎の力、それが魔法だ。
他にも違和感を覚える差違は幾らでもあった。俺の生きてきた世界とは規律も地形もまるで違う。もちろん同じ点も多々あるが、それでも全く違うのだ。
人は皆優しい。個性派揃いであるが、新入りの俺にも昔からの友人の様に接してくれる。平和な日常を過ごしていると、一瞬自分が今までと何ら変わらぬ生活を送っている気分になる事すらある。実際、日々はあちらに居た頃よりも楽しかった。
「よーし、全員揃ったかー?」
登山口に立つ焦げ茶色の髪の青年。通称神様。神の髪は寝起きのそれの如く、無造作なスタイルである。彼の仇名の由縁である名は神迅斗。俺が所属するギルドのリーダーだ。
そのリーダーの呼び掛けに対して、皆が「多分」とか「おう」等の応答をする。
普通じゃない仲間達と馬鹿をして過ごす毎日。そんな生活は俺にとって非日常的で、楽しい事この上ないが、しかし何かが違う。
故にこの俺、風峰裕城は思うのだ。こんな仕打ちはあまりにも残酷だ、と。
――全ての事の発端は、2週間と3日前のあの出会いだった。