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進展
「まぁ、意識が戻ったことが不幸中の幸いです。記憶が戻るのは時間が解決してくれるでしょう。体調も良いようなので、今日1日様子を見て、何も異常がなかったら明日退院しても良いでしょう。」
「分かりました。ありがとうございました。」
このことをお母さんに話すと、お母さんもほっとしたようだ。
ー翌日ー
「はい、リンゴ。」
「ありがとうございます。」
「もう、そんなに敬語使わなくていいのに…」
お母さんは苦笑いして言った。
「まだ慣れていないので…」
しょうがない。私は記憶をなくした身だ。
お母さんと呼んでいるだけでも随分無理をしているのだからそれくらいは勘弁してほしい。
そんなことをしていると、看護師さんがやって来て、面会を希望している人がいるがどうするかと聞かれた。何人かと聞くと、4人らしい。
私はその人たちに会えば、記憶が戻るきっかけになると思い、会うことにした。