『君』へ
さよなら。
そんな言葉が溢れて出て行く。
それは春。別れと出会いが交じり合う、嬉しくも儚く、辛くも喜びが混ざる。
そんな季節。
春に出会って、夏に想って、秋に実り、冬に耐え。
そして、また春が来て、別れた。
それは当然のことで、最初からわかっていたことで。
ただ、それから目を背けていただけだった。
わかっていたのに、涙が出るのはなぜだろう。
君と過ごした日々は、とても輝いていて、特別だった。
君のために歌った歌。君のために流した涙。
感情を仮面で必死に隠して。
短い間に君にすべてを捧げようと、そして未練をなくそうと。
そう、思ったのに。
なのに、どうしても別れたくなくて。
少し欲張りだったかもしれない。写真も撮ったし、手紙ももらった。メッセージも残してもらった。
でも足りなくて。
憧れだった君に、好きだった君に、伝えたくて、でも伝えられなくて。
なんども、声をかけてもらった。
幸運だった。わかってる。話せるだけでもいいほうなんだって。
でも、もっともっとを求める自分がいて。
でも、最後の時間はやってきて。
お別れを告げた。君を一目見て、そのまま逃げるようにして去った。
さよならは言わなかった。
心の中で告げた言葉は、
ありがとう。
特別な時間をくれた君に。
君のために綴ったこの文字が、いつか君の目に触れますように。
『君』と別れて少したって、心が落ち着いてきたのでそれを文字にしてみました。これは、私の思いです。
最初は長編にしようかと思ったのですが、あえて詩という形で短い文章で今の思いを綴りました。