霊視
水明は残念そうに俯き、首を振った。
「視えますが、断片的場面しか視えません。全部視えたとしても、万人に理解される理由にはなりません」
「確かに、特別な力でわかっても、信じてもらえないわな。だが、先ほどの件もあったんだ。俺はその力信じるよ。裏付けは、俺がするからヒントくれや」
水明はぱっと顔を輝かせ、何度も頷いた。
「初めて、他人にそう言われました。大抵の人は、私の能力など信じないか、きみ悪がられるかでした」
「時代がわるかったんだろうよ。俺は、神父だが科学しか信じない。だが、そういう特別な能力がいるってのも知っている」
コーディアスはポケットからタバコとマッチ箱を取り出した。タバコを口にくわえ、マッチ箱からマッチを一本取り出し火をつける。
死体を解剖したかった。コーディアスは医者の免許も持っているが、独自でやれば警察がうるさそうだ。
毒はどうやって盛られたのだろうか? まさか、最初出された飲み物に盛るまい。そうならば、犯人は自分ですと言っているようなものだ。だが、何らかの方法ならば、犯人をこの家のものと仕向けたのならば。
「犯人は、この人の腕に針で毒を塗って刺しました。この腕を、見てください」
右腕が青紫色に約直径5センチに腫れ、中心に針を刺した痕跡がある。
それをじっと見つめ、コーディアスは鞄から注射器を取り出し、青紫色に腫れあがった中心に針を刺す。血を採取する。
「何をするんです?」
「血液を調べるんだよ。体内に毒があるかどうか、もっと詳しい証拠をな」
「何の毒かわかりますか?」
「予想はついている。後は、誰かどのようにだな」