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西洋怪奇譚シリーズ  作者: 青之屋
◆西洋怪奇譚◆
7/9

犠牲者

 

 コーディアス達は、黒い部屋を出た後にリビングに集まった。

 コーディアスは、フィッツウイリアを診察した。

 脈拍は小さく、息がほとんどしていないに等しい。顔色は紫色、何かうわ言のようにうなされている。

 医者の知識を持っているコーディアスでも、手のほどこしようがなくなっていた。

 

――こいつは、めんどくさいことになった。


「コーディアス神父。これは、病気じゃないですね」

 

 水明がコーディアスにだけ聞こえるように囁いた。

 水明が医療の知識を持っているなど思っていなかったので、驚いて水明を見上げた。

 

「私は西洋医学の知識はわかりません。ですが、この方の顔相を読み取れば、何かどうなっているかわかります」

「ちなみに、どうなるかも?」

「死の相が出てます。助かりません」


 その言葉が合図だった。

 フィッツウイリアが事切れたのは。

 助手を失ったテューダー教授は、泣き崩れ。キューベルト夫人は、血の気を失った顔をして呆然と立っている。ハウスメイドは汚らわしいといった顔で、死体をねめつけている。


「すまない。水明を除く全員、部屋を出てくれないか?」


 全員を観察するように見渡し、コーディアスは手をふった。

 

「警察には」

「夫人。警察は、事件解決まで何週間もかける。俺なら、短時間で解決できるよ」

「随分、自信満々ですね。それとも、貴方が何か仕掛けをして殺したから、証拠隠滅をこれから行おうと考えているわけでは?」

「嬢ちゃん。俺の第一印象が気に食わないからって、俺を疑うなよ。さすがの俺でも、傷つくぞ。まぁ、そう思われても当たり前だから、水明を俺の監視役にするんだよ」

「私がですか?」


 コーディアスは意地悪く笑う。


「そ、この家に関係がなく、フィッツウイリア氏とも今日初めて会ったからだよ。ここまで言えば、わかるよな?」

「なるほど。テューダー教授は、私怨で殺す動機があるかもしれない。出した茶に何か細工ができそうな

キューベルト夫人とハウスメイドも怪しい」

「そういうこと。ちなみに、俺は不良だけど神父だ。コイツを殺して何も得しないからな。お前さんだって、何も得しないだろう?」

「えぇ」

「そういうこと、わかったら全員部屋から出てくれ」


 まだ、納得がいかない様子のハウスメイドをキューベルト夫人が言い聞かせ、3人が部屋から出て行く。

 それを見届けた後、コーディアスはフィッツウイリアの上半身を脱がせにかかる。

 作業をしながら、水明に意見を求める。

 

「もしかして、もう犯人わかった? 霊視とかいう奴で」


 このような力で犯人が判明できたならば、コーディアスの努力も水の泡なのだが……。


「えぇ、わかってますよ」


 など、穏やかにいう。

 コーディアスは、脱力した。





 


 

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