梁山泊の好漢にならなかった話
「もう死にたい」
(そうか、ならばお前を異世界に転生させてやろう)
「え!転生できるの」
(もちろん。最近は転生技術が発達して、痛みもなくすーっと転生できるぞ)
「よし、なら美少女いっぱいのハーレムファンタジーものの小説世界の勇者に」
(それはいかん)
「え、なんで」
(転生する世界は決まっており、選べない。私よりもっと上位の存在が転生対象の世界を決めておるのじゃ)
「で、私はどんな世界に転生するのですか」
(喜べ、世界的に有名な中国の話じゃ)
「え、西遊記?」
(ではない。まぁあれはあれで、どの登場人物に転生してもハードモードだと思うぞ)
「じゃあ、まさか三国志とかじゃないでしょうね」
(あれは転生希望者が多すぎて現在受付中止。ゲームもあるしの)
「まさか、阿Q正伝とかじゃないでしょうね」
(心配するな、もっと血沸き肉躍る感じじゃ)
「もしや、金瓶梅?」
(お前、あれで血沸き肉躍るのか)
「まさか、まさか」
(そうそのまさかじゃ。お前は水滸伝の世界に転生じゃ)
「やめてぇ。あの誰も幸せにならないあのお話だけはやめてえ。俺は横山光輝の漫画版しか知らないんだけど、あのラストはいやだぁ」
(心配するな、そういう声もあって、現在選択サービスが行われている。天罡星コースと地煞星コース、どちらを選ぶかな?)
「その二者択一なんですか。王進とか選べないんですか」
(だめ)
「じゃあ、天罡星コースで。花栄とかいいな。いろいろスーパーマンだし」
(最後、宋江を追って死ぬぞ)
「え、宋江死ぬの!そうなの…。では呉用!軍師ポジションでおいしい」
(おんなじ。宋江追って殉死)
「ええ、盧俊義とかナンバー2だから被害を受けないのでは…」
(水銀盛られて死ぬぞ。溺死)
「よし、公孫勝」
(いいとこに目を付けたが先約を取られておる)
「先約とかあるんですか。私だけじゃないの??じゃあ、誰が空いているんですか」
(今出てきた以外だと、史進と李逵、あと武松が空いておるぞ)
「史進は死んじゃうの知っているからパスです。李逵って鉄牛でしょ。あれはどうしたって殺されるキャラじゃないからあれにします。ちょっと私がまさかりで人を殺すってのは柄じゃない気もしますが」
(宋江が死んでじゅ…)
「あぁそうか。じゃあ外伝に出てきた武松は。強そうだし。トラ退治でしょ」
(おすすめじゃ…天寿を全うするしの)
「じゃあ、武松で!」
(片腕なくすがの…)
「待って待って!一応聞いておきたいんですが、地煞星コースはたくさん空いてますか」
(空いておるぞ。たくさん…おすすめは扈三娘)
「一丈青でしょ、やだやだやだ。方臘討伐で死んじゃうの知っているし」
(宣贊、郝思文、単廷珪、魏定国みんな空いておるぞ)
「何か嫌ですね。横山水滸伝に出てない時点で危うさを感じる」
(チッ)
「樊瑞とか残ってませんか。外伝の最後は彼だった気がする」
(残念だが、既に取られておる。そろそろ決めてくれんか。キャストじゃない、転生対象全員決めないと物語が始まらぬ。他の転生希望者に交渉しにいかなければ)
「分かりましたよ、武松でいいです、武松で。片腕ってどっちの腕ですか。どうやってなくしちゃうんですか」
(ブー。タイムアウトじゃ。目が覚めると、お主はきっと大宋国の大丈夫に生まれ変わって、、、え、なんですと?水滸伝は中止?そんな今更!)
「…中止になったの?」
(天上界でもう少し幸せハッピーな作品に変更せよというお達しが出た)
「じゃあ、幸せハッピーな作品に転生させてよ!」
(残念だがそれは無理じゃ。お主の顔は幸せハッピーな作品に向いてないからの。また、お主に向いた話が来たら来るぞ…それでは、それまでは生きておれよ…さらばじゃ)
ちうわけで、私はまだ生きているんです。それから、いろいろ読んでみました。いろいろバージョンがあるんですね…ただ、転生するなら七十回本が一番です。今度聞かれたら、宋清や安道全に立候補してみたいと思ってます。




