表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
裏:コハのアロとピー  作者: ふるなゆ☆


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/15

裏10話◆ラメル

 この先にパパを殺した人間が映る。

 バアルに連れられてパソコンの前へと来た。バアルは一応、ベルフェゴールの視覚データは永久保存されていると言った。また、その画面の先にパパを殺した人間が映っていると言う。


 その先にいたのは――ママだった。


 混乱した。意味が分からなかったし、理解したくもなかった。

 ママがベルフェゴールへと乗り込んだ際の、視線越しの映像を見れるみたいで、(あちき)はそれを見ることにした。

 イヤホンをして、私は視線に釘付けになった。


 ――――――

 ――――――


 家の中へと入るベルフェゴール。

「お前……もしかして、ママか?」

 一度驚き、すぐに冷静さを取り戻していた。それに対して「そうよ」とさらりと返されていた。

「あなた、今日、在宅勤務じゃない? メルには見せられないもの。」

「そういうことか。だが、お前の思い通りにはさせない。」

 身近にある物で殴っては無駄なことを知り、逃げに至る。しかし、機械人間にはそのどれもが無駄で、攻撃は無傷、逃げようとしてもすぐに追い討ちをかける。

 血が飛び散った。

「ほんとは血が飛び散るから剣は使いたくなかったのに。早く、あなたを殺して血を拭き取ることにするわ。」

 満身創痍で玄関へと逃げるパパ。

 玄関の戸が開く。体調の悪い私が早退して帰ってきたのだ。

「逃げろ、今すぐ。逃げ……ろ。」

 パパは私に気付いては、そう声を掛けて、ママの振るう剣によって残酷にも赤い血をばらまいた。

 その時の私にはただの機械のかたまり。

 だけど、本当の存在は私にとって大切なママだった。


 大切なパパを殺したのは同じく大切なママ。

 復讐のために人を殺して手に入れた魔法少女の力。私に残されたのは唯一ママだけで、それだけを守るものとしていた。

 それなのに、そのママが復讐したい相手だったみたいだ。


 ――――――

 ――――――


 私は笑った。

 笑うしかなかった。

 今まで持っていた復讐の心が消えた。ずっとずっと怨恨を占めていた心が軽くなってしまった。代わりに入ってくる虚しさ。「あちきは何のために生きてるんだろ?」

 何もかもが分からなくなって、空笑いするしかなかった。

 

 笑っても虚しいだけだった。無心になった。

 奇しくも今の私には友達のような存在ができた。私はゲームをしているコハ達の所へと向かった。



「似た者同士、一緒に――。なんて言いたいけどぉ、あちきはやらなきゃならない事ができたんだよねぇ。だから、ここでお別れだ。」


 私はコハやアロ達と別れた。

 そして、実家へと戻った。



 久しぶりの「ただいま」の言葉。

 相変わらずのママがそこにいた。すぐにやるべき事をする必要はない。少しだけ懐かしい時間を過ごした。

 もう覚悟を決めなきゃな――。

「ねぇ、ママ。」

「どうしたの?」

「ラメルね、バアルの拠点に行ってきたんだぁ。」

 今までの笑顔がそこから消えているのが見てすぐ分かる。

「見たのね?」

「見たよ。ママがパパを殺したとこ。」

 今度は少し涙ぐむような感じがした。

「ねぇ、分かって。アイツはね、メルがお腹にいた頃、とっても大変だったのに助けてくれるどころか、社会の常識だなんてママをいじめたのよ! 何の気遣いもないし、勝手に家を改造して汚くするし、体調が悪いのに連れ回そうとするし――」

 他にも色々、マシンガンのように愚痴が出る。

 私はそれを受け止めた。だけど、もはや虚無な私には何にも感じ取れなかった。

「――だからママはね、悪くないの。分かってくれるよね?」

「うん。分かるよ。けど、ママもラメルも許されない罪を背負ってるから、一緒に自首しよっ? そして、罪を精算して、今度こそママもラメルも自信を持ってまた暮らそうよ。」

 私は立ち上がった。

 もうすることは決まっていたし、取りやめる気もさらさらなかった。

「どこ行くの?」

「警察署。バアルからデータのコピーを貰ってるから……さ。」

 私は玄関へと向かった。ママの罪も精算して、お互い綺麗になるためにすべき事だ。それが亡きパパのためでもあった。

 怪しい音。背中に刺される包丁。全自動(オート)で変身する魔法少女。

 私は振り向いた。「魔法少女はね、包丁で一刺しされたぐらいじゃ死なないの。」

 私はママの肩に両手を添えた。

 贖罪――それ以外に道はない。

「ラメルはねぇえ、復讐の力が欲しいからって、友達や先生とか、みーんな殺しちゃったぁ。だから、あちきも同じ人殺し。人殺しはね、ちゃんとした罰を受けなきゃいけないの。」

 今、目の前に広がるのはエメラルド色の世界。無数の泡が美しく光り輝いている。

「ママもあちきも人を殺した罰を報いなきゃいけないの。だからさ、一緒に――報いよっ!」

 無数に放たれるレーザーはシャボン玉を介して同時に私とママの間へと終結する。同時にぶつかったレーザーは高威力体へと収束し、周りを巻き込んで破滅の爆発を引き起こす。

「大丈夫だよ。一緒だよ。」

 私達を包む光。

 エメラルド色の世界で私達の魂は罪を精算するために地獄へと堕ちていった。死して堕ちていく魂が抜け殻になった私とママが至近距離で対面する様子を見た。エメラルドの背景のお陰なのか、どこか儚い絵のようにも思えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ