明日のこと
「ただいま」
学校が終わり、俺は家に帰宅する。
「おかえりなさい兄様っ!」
妹の朱里が出迎えてくれる。相変わらず可愛い妹だ。
「あぁ、ただいま」
「どうかしましたか?」
「うん?」
「いつもと、いえ、今日は特にですが朝の時とまた雰囲気が違っているので」
「あ〜」
やっぱり鋭いな。
「あぁ、少し面倒なことになった」
「……面倒?」
「本当に面倒な状況だ」
そう言って俺は自分の部屋に向かう。流石に「ゲームのヒロインに話しかけられた」とは言えない。
「はぁ〜」
ベッドに仰向けになりため息をつく。なぜあれほどまでに美波春が俺に好意を持っているんだろう。既に攻略済みとか?いや、美波春とは高校で初めて出会うはずだ。ならばどこで間違えた?もしかして俺がこの世界に来たことでなんらかの《バグ》が発生したのではないか?
「う〜ん、よくわからん」
考えて見たが全くもってわからない。もし俺が攻略済みだとしたらこれからどうなる?城島透は?なんとしてでも美波春と城島透をくっつけないと俺が消される可能性がある。
「そうだ、メモに残しておくか」
とりあえずほとんどのルートは頭に入っているので《モブルート》のストーリーをメモに書く。本当にすらすらと書けている。繊細にあたかも自分で体験したかのように腕を走らせた。
「ふぅ、とりあえず全部かけた……」
俺は動いていた腕を止め、改めてそれを見てみる。
「高校に入学、とある時期から学校に来る。ただその時期から今の時期を見比べると今の時期の方が学校に行くのが早い。これは俺が転生したからだろうが、ここからどうなるのか……」
正直検討が付いていない。あまり関わらなければこの世界の《バグ》が《正常》になる可能性はある。ただ、その場合俺はどうなる?用済みだと認定されこの世界から消えるかもしれない。俺的にはそれでもいいが、こいつの性格上、あいつらが幸せになるかは分からない。
「難しいな、……今は明日のことを考えるか」
明日、美波春から弁当が渡される。つまり、少なからず俺に好意があるということだ。普通好きでもない人に弁当は渡さないだろう。……多分
「あぁー……どうしてこいつなんだ!神様!!」
しかし当然返事は無い。俺はこの先やっていけるのだろうか?




