正規ルートの主人公
さて、この状況を説明しよう。俺はモブの不良キャラに転生した。そこで初めて学校に行った。その道中、メインヒロインの髪飾りを拾い教室に行った。俺はメインヒロインに髪飾りを渡した。それが失態だった。なぜそれが自分のであるのかと聞かれている。どうするべきか。
「君が髪飾りをつけている所を見たことがあってね。それでもしかしたらって思って」
と、苦しい言い訳をする。
「……そう、ですか」
完全に引かれた。……と思っていた。
「っ……ありがとうございますっ!本当に、これは大事だったのでっ!」
引かれたと思ったが、感謝された。人から感謝されるのはそれほど悪くないなと思った。
「ついでなんだが、1つ聞いてくれないか?」
「っ……な、何をですか?」
ただ、明らかにまだ震えている。だが俺はこの願いを聞き入れてくれないと今日の学校生活は終わってしまう。だからその願いを俺は美波春に言う。
「その、だな。……俺の席の場所を教えてくれないか?」
「……へ?」
呆気ない返事が返ってくる。多分、こういうことを想像したんじゃないんだろう。もっとエ〇いことを言われるのだろうと想像していたと勝手に俺は思う。
「わ、私の後ろです」
「なるほど、助かる」
冷静に考えてみればそうか。美波春と宮島遥斗だと美波春の方が前か。
美波春が前に座る。それに続いて俺も後ろに座った。
初日からだいぶ周りの注目を集めてしまった。正直、居心地が悪い。今すぐにでも逃げたいほどに。けど逃げない。俺は青春を謳歌するんだ!
……そこで俺は冷静になる。
(待てよ、今の俺は"モブ"なんだよな?だったらヒロインと仲良くするのは違うんじゃ?主人公とヒロインがくっつくのを見守るべきでは?)
「ーーさん、宮島さん?」
「は、はい」
「ちゃんと聞いてくださいね?この問題を解いてください」
「あ、それはーー」
やっと4限が終わった。俺は席を立って移動する。この間にも注目を集める。やめて欲しい。
「誰もいないところ、あるかな」
なるべく周りに迷惑をかけたくないので、人目につかないところに移動する。やがてひとつの場所を見つけた。
「ここでいいか」
俺はそこに一息つく。場所はこういう物語ではお馴染みの屋上だった。この学校では屋上はフリーで使えるらしい。俺にとってこれ以上ないありがたい話だ。
「さて、と」
妹から貰った弁当を開ける。相変わらず美味そうな料理ばかりだ。
「ちゃんと感謝しないとな。いただきます」
昼飯を食べ終わり、しばらく屋上でのんびりしていた。そんな時、勢いよく扉が開かれた。
「お前が宮島遥斗だなっ!」
こいつは……あ!
《正規ルート》で登場する主人公、城島透。美波春には片思いであり、様々なイベントを通して彼女と付き合っていく。
「何の用だ」
「お前だろ!春に手を出したのはっ!」
そう言われ、胸ぐらを掴まれる。
「何の話だ。俺はーー」
「何もしてない?信じられるかよ!お前は不良なんだろ!?そんなやつ、誰が信じれるか!」
……これは、話が通じそうにないな。ていうかなんでそんなに怒ってるんだ。
「春が怯えてたんだ!原因はお前だろ!お前がなにかしたんだ!」
「おいおい、早とちりすぎだろ」
「うるせぇ!」
「がっ……!?」
フェンスに思いっきり投げられる。危うく転落するところだった。
「いっつつ……」
「二度と春に近づくな」
「いや、同じクラスなんだから嫌でも近くで過ごさなきゃだろ」
「なら学校に来なければいい!」
「はぁ」
「とりあえず、春には何も手を出すなよ」
「俺は出さねぇよ。それとな」
「あ?」
「……お前がしっかり守れよ」
「お前なんかに言われなくても守るっつうの!」
「……そうか」
そう言って彼、城島透は去ってゆく。あぁ、俺の学校生活どうなるんだろうな。




