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初めての学校

「それじゃあ、行ってくるよ」

「はいっ!行ってらっしゃいです!」

朝食を済まし学校へ行く準備をしていた。と、そこで重大なことを思い出す。

「……朱里」

「はい?」

「俺のクラス、どこ?」

「…………」

そう、クラスがわからん。全く。こいつの記憶にもない。

「行ってらっしゃいです」

「あ、はい」

早く行けという圧が部屋中に浸透していた。


「はぁ」

今俺は通学路を歩いている。……ただ歩いているだけなのだが、周りの視線が痛かった。今の俺は前世の俺なのでメンタルはそこそこ、いや普通に結構弱い。こういう視線をされると病む自信があるが、そこは頑張らなければいけない。と……

「あれ?」

俺はその地面に落ちているものを見る。髪飾り…?誰かが落としたようだ。ただ、その髪飾りには見覚えがあった。

「これは、美波春の物だ」

そう、【アミトラ】のヒロインの美波春(ミナミ ハル)が大切に持ち歩いている髪飾りだった。俺はどうしようかと迷っていたが、ゲームでは本当に大切にしていたので無視することは出来なかった。持っていたウェットティッシュで髪飾りを拭いた。

「よし、だいぶ綺麗になったな」

落ちていた時に付いていたゴミは消えて、まるで新品かのように輝いていた。と、そろそろ学校に行かなくちゃ。俺は少しスピードを上げて学校に向かった。


「着いた……」

何とか朝から学校に行けた。俺は「春秋学園」の1年の昇降口に入る。やはり周りから注目されてしまう。

『あいつって不良って噂だぜ?』

『げ……なんで来てんだよ」

『いかにもって感じだよね、近づいたらダメだよ』

と、様々な声が聞こえる。逃げたい。


ガラガラと、教室の扉を開ける。また、注目される。

俺は自分の席が分からないので教室の後ろに立つ。みんなもしたことがあるのではないか?誰もいなかったり、席が分からなかったらとりあえず後ろにたつ。前世でも俺は経験済みだ。

『なんであそこに立ってるんだ?』

『暴れる隙を見つけてんのよ、きっと』

『まじかよ……あんまり刺激しないようにするわ』

席がわからないんだよ!!とは言えない。流石に恥ずかしい。

「はぁ……どうすっかな」

俺がそう思っていた時、またガラガラと扉が開く。

「え……」

と、そんな呆気ない声を出してしまった。だって入ってきたのはこのゲームのヒロインである、"美波 春"であったから。そうだ、と俺はその美波春に声をかけてみることにした。

「あ、あのさ」

「ひ、は……はい」

明らかに震えている。そりゃあそうだ。誰だって不良と噂されているやつに話しかけられたらビビるに決まっている。俺だってビビる自信がある。だけどここで躓いてちゃいけない。

「これ、道に落ちてましたけど」

と、その髪飾りを見せる。

「え?あ、それボクのです!」

そう、美波春はボクっ娘なのである。それが俺の性癖にぶっ刺さった。

「なんでボクのって分かったんですか?」

「ぁ」

まずい、考えてなかった。どう言い訳するか。

『なになに?何が起きてるの?』

『どうせストーカーしてるんだろ』

『やっぱり不良なんだ』

「…………」

完全に詰んだ。俺の青春はここまでか……。

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