シャドウエルフ
キンニクに誰も使ってなさそうな執務室へと案内される
部屋の奥に【過労】と注意書きが貼られた白骨が見えた気がする
あれが部屋の前の主かは気にしないでおこう
「こちらが魔王軍全員の名簿です」
受け取っただけで表紙が外れてしまいそうなボロボロ加減だ
「何個か名前の横に☓がついてるのは……」
「殉職者です」
「……」
「ただ、時々蘇るので☓がついてても除籍とは限りません」
「何の意味も無い!」
幸い前の主が【身を粉にして】働いてくれたおかげで
所属と最低必要労働時間は分かる
「よし これだけ情報があれば」
腰につけた小型バッグから紙を取り出す
「それは……なんとキレイなマス目なのでしょう 倫理のような魔力の流れを感じます まさかソレが」
「そう、これが俺のスキルを使うのに必須の魔法陣 1マス方眼紙」
取り出した瞬間に、名簿から抽出された文字達が浮き上がる
名簿から複製された文字達は貼り付けされシフト表が自動で組まれて行く
「なんと!あなたが操作する訳では無いのですか?」
「シフトは情報が命 ただし知らない奴のはザルになる」
「なんと……情報が足りぬとスキルも働かぬというのか……!」
名簿から全てコピペされ、暫定のシフト表が完成する
「これで無駄が無くなって、最低週1くらいは休みが出来たはずだ」
うおぉ~とキンニクが筋肉をピクピクとさせながら感激している
――
「魔王に見せたいんだけど 急用とかどこ行ったんだ?」
キョロキョロと辺りを見ながら尋ねる
「魔王様は週2しか姿を見せないシャドウエルフのシエスタ=ネル の魔力を感知したものかと」
こんなブラック職場で週2しか働かないとは……相当な大物だ
「固有スキルにより存在自体が隠れてしまうから、サボっていても見つけられ無いのでございます」
そんなので良いのか魔王軍?
と思いながら、シエスタが居るという場所へ案内される