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支配魔法式タイムカード

「まずは視察だ ついてまいれ」

魔王の一声で俺とキンニクは、玉座から廊下へ出る

廊下もブラック職場らしく暗い

所々コウモリがランタンのように目を光らせて照らしている

「ヒュー……ゴヒュー……」目が血走って死にそうな呼吸してるが大丈夫なのか?


キンニク先導で新入社員のための職場見学ツアーが始まる

「こちらが詰め所でございます」

扉を開けると魔物たちが整然と――床に倒れていた

「……死んでない?」

「仮眠です」

「どこの世界に白目剥いて泡吹く仮眠があるんだよ」


「この者たちは、本日で連勤15日目

いずれも自発的に失神し負傷扱いにしております」

「労災では……?」

俺のつぶやきを聞いて、キンニクがうれしそうに頷く。

「おお、やはり【シフト】持ち 伝説上の労災という概念を理解しておられる」

労災が伝説になるレベルの職場とは……


「ちなみに出勤管理はどうやって?」

「魔王様による魂への打刻式でございます

魔王様が起きたタイミングで全体に魔力波が撃たれ、再支配契約の痛みで起きます」

「起きなかったら?」

「……ニコッ」

キンニクの満面の笑みで察する


――


「それだと休みの奴らも痛くて休め無いのでは?」

2日連続で満足に寝ないとMPは回復しないはずだ

MPが少ないまま戦場に出ても満足に戦えない

「はて……休みとは?」

まるで初めて聞いた言葉のように問い返される

ダメだ こんな職場を立て直せる訳がない

天を仰ぎ高い天井を見る

コウモリと目が合い「何見てんじゃコラァ」とガンを飛ばされる


袖を引っ張られ目線を下に戻す

自信満々の魔王がニヤっと笑っている

「とりあえず軍のシフトからじゃな 色々見て回ろうかと思ったが急用じゃ 今から頼むぞ」

軽くお願いされる

だが断れば命がかかってる

「分かりました とりあえず人員配置表と勤務表見せて下さい」

「はて…勤務表とは?」

キンニクと魔王が同じ顔して首を傾げる

その顔見たのは2度目だ


「……善処します」

うなだれながら奥の執務室へと向かう


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