第9話
「どうやらあの子。貴方の分の部屋も用意してくれたみたい。折角だし、貴方も今日は泊まっていったら? お金は私が立て替えておくから」
「やったー」
エリシアの行為に甘え、今夜は俺もベッドで眠ることになった。
*****
その後、俺は廊下を歩いて一番奥の部屋に到着する。
扉を開ける。
「は?」
俺は、扉の奥から覗く光景を見て固まった。
──何故なら、そこには想像もしていなかったような豪華絢爛過ぎる内装が広がっていたからだ。
「おいおい──」
それは、部屋全体が繊細な手作りの装飾で埋め尽くされ、まるで宝石のような輝きを放っていた。壁には、金箔で飾られた美しい彫刻が施され、シャンデリアからは多彩な色の宝石が吊り下げられている。まるで星座が室内に広がっているかのように微かな輝きで照らされたこの部屋は、まさに魔法のような雰囲気が漂う未知の世界だ。
「なんだ、これ……」
流石の俺も、この異常な光景には言葉を失った。
……一体どういう事だ? まるで王族か貴族が泊まるような部屋じゃないか。
俺があまりの衝撃に呆然と立ち尽くしていると──。
「もうっ、遅い! いつまで待たせるつもり?」
部屋の奥の天蓋付きのベッドから、不機嫌そうな声が聞こえてきた。
寝具はまさに王族のために用意されたようなもので、シルクのシーツとベッドカバーが贅沢に使われ、枕はきっと上質の羽毛で満たされているのだろう。ベッドの上には、花びらが散りばめられ、繊細な刺繍が施されたカーテンが、風を受けてゆらゆらと揺れていた。
俺はそちらに視線をやると、ベッドの上に寝転がる人物と目が合った。
それは──露出度の高いネグリジェを身に纏った、銀髪碧眼の少女だった。
まるで星座から降りてきたかのような美しさを持つその少女は、顔立ちは非常に整っており、まるで人形のように可愛らしい容姿をしているが──その身体からは隠し切れない色気のようなものが溢れ出ており、大人びた雰囲気を醸し出していた。
少女は、深淵のように澄んだ碧い瞳で俺の姿を見ると、大海の底に隠された宝石を見つけたかのような表情で、ニヤリと悪戯っぽい笑みを浮かべると手招きをした。
「早くこっちに来なさいよ♪」
その声はとても可愛らしく鈴の音を転がすような音色だったが──俺にはどこか挑発的な物言いに聞こえた。しかし、不思議と嫌な感じはしない。
俺は、少女の誘いを無視して部屋の中を探索することにした。
……が、しかし──。
「ちょっと! 無視しないでよ!」
少女はベッドから起き上がると、こちらに駆け寄って来た。そして、俺の腕を掴むと強引にベッドまで引っ張っていく。俺が困惑していると──彼女はいきなり俺を抱き寄せてきた。
「お、おい──」
思わず声を上げるが、少女は気にした様子もなく俺の手を取り自分の胸へと押し当てる。彼女の小ぶりな胸の柔らかな感触と、ネグリジェのサラサラした手触りが手全体に伝わってきた瞬間、俺は思わず息を呑んだ。
少女が身に纏っていたネグリジェは、まるで夢の中から抜け出してきたかのようなものだった。その透明な生地は、肌を包み込みながらも、微妙に露出度の高いデザインで、彼女の美しい曲線を魅力的に引き立てていた。ネグリジェの胸元には、シルクのリボンが飾られ、繊細なレースがエレガントな模様を描いている。
そして、布地の隙間から覗く彼女の肌は、明るい月光に照らされ、透明な生地の下でほんのりと透けて見え、その美しさは花の花弁のように儚く、同時に誘惑的でもあった。彼女の肌に触れる風は、軽やかにネグリジェの生地を揺らし、優雅な舞いを奏でていた。
少女の顔はほんのり赤く染まっており、熱を帯びた吐息が微かに漏れ出ている。
──そして、上目遣いで俺を見つめる碧い瞳は、まるで夜空に輝く月のように美しく輝いていた。
「何をしているんだ……?」
俺が問いかけると、彼女は妖艶に微笑むと──。
「──え? 添い寝だけど?」
さも当然のように答えたのだった──。
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