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第7話

 その後、カリンは俺の話を聞くことなく逃げ出してしまったため、仕方なく別の職員に対応してもらうことにした。

 俺が初めて冒険者ギルドに来た際に相手してもらった、あの時の女性職員だ。彼女は丁寧な口調で応対してくれた。


「いくら冒険者になりたいとはいえ、それは……。勇者は困りますよ」

「何故だ? 結婚すれば冒険者になれるって言ったのはアンタだろ?」

「しかし、勇者は魔界王国の敵として、国を挙げて討伐する対象なのです。そんな相手と将来を誓い合った仲なのでしたら、冒険者登録をする以前に、警備隊に通報しないと……」

「俺を敵に回すって事だな」


 俺は鋭い視線を女性職員に向けた。彼女はビクリと身体を震わせると、慌てて頭を下げる。


「も……申し訳ありません! 出過ぎた真似をしました!」


 彼女は青ざめた顔で謝罪の言葉を述べた。俺は溜め息をつくと、話の続きを促す。


「……で? どうすればいい?」

「え、えっと……ですね……」


 女性職員は戸惑いながらも口を開いた。そして──。


「──はい! お二人共、Fランク冒険者からのスタートですっ! おめでとうございますっ!」


 目にも止まらぬ速さで『冒険者ライセンス』を用意すると、それを俺とエリシアの2人に手渡した。

 ……意外と簡単に済んだな。

 いや、拍子抜けしたと言うべきか。まさかこんな方法で解決出来るとは思いもしなかった。まあ、楽に済んだのはラッキーだろう。

 俺は安堵の溜め息を漏らすと、次にどう動くべきかを考えるべく思考を巡らせる。


「さて、これで俺たちは冒険者として稼げるようになれた訳だな」

「……私は冒険者になるつもりはなかったのに」

「まあそう言うなって。貰える物は貰っておこうぜ」

「やれやれ……」


 エリシアは、呆れたような口調で言うが、その表情にはどこか喜びの雰囲気があった。

 彼女も俺と同じように、この状況を楽しんでいるようだ。

 ──こうして、俺たちは冒険者になったのだった。


 *****


 俺たちは、冒険者ギルドを後にして、街の中を歩いていた。


「それで? どうやって稼ぐつもりなの?」

「冒険者の仕事は、ギルドで発行された依頼をこなして報酬を得るというのが大半なんだそうだ。でも、それ以外の稼ぎ方として、魔物の亡骸をギルドに売ることでカネを得る方法があるらしい」

「ふぅん。じゃあ、早速狩りに行くの?」

「いや。もう日も暮れたから、今から狩りに行ったら帰りが遅くなる。だから今日は休んで、明日にでも行こうか」

「分かったわ」


 こうして俺とエリシアは、一旦宿へと戻ることにしたのだった。

 しかし、ここで新たな問題に直面する。──宿屋に泊まるためのカネが無い。


「仕方ない。今日は野宿か」

「私は、就寝前の暖かいシャワーとホットミルク。それと、20分間の入念なストレッチをしないと眠れないの」

「だったら、エリシアは真人王国の宿に泊まればいい。俺がテレポートで連れて行けば一瞬だ」

「……ありがとう。そうさせてもらうわ」


 エリシアはそう言って微笑むと、俺の肩に触れる。その瞬間、視界がぐにゃりと歪んだかと思うと、景色が変わった。

 ──そこはもう宿屋の中だった。

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