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第5話

 マナーのなってない覗き趣味の野郎を絞めてみれば、それは真人王国の国王がこの俺を殺そうと差し向けた『異世界人』とやらだった。

 直接話を聞いた訳ではない。記憶を読み取って、彼等の素性を知っただけ。

 で、その男は『千里眼』というスキルを持っているらしく、何千キロ離れた距離からでも、自分の視界を他の場所に飛ばすことが出来るそうだ。

 他にも仲間が1人いたが、其方のスキルは分からない。記憶を読み取る前に殺しちまったから。まあ、殺しちまった以上、どうでもいい事だ。


「ほら。お前らの仲間を返してやる。感謝しろよ」


 そう言って俺は、亡骸となった異世界人の2人を連中の方へ放り投げた。

 手足は変な方向に曲がり、頭部も割れて脳みそが飛び出していた仲間の姿を目撃した異世界人共は、顔面蒼白になりながら叫び声を上げる。


「ひ、ひぃっ! ま、魔人だ!」

「く、くそっ! なんでこんなところに……!?」

「に……逃げろ!!」


 連中は咄嗟に逃げ出そうとしたが、その前に俺がテレポートで先回りする。転移先は奴等のすぐ目の前だ。転移した瞬間は、奴らも突然目の前に現れた俺に面食らっていたようだが──。


「──死ね」


 俺は両手の拳を握りしめて、奴等の顔面にそれぞれ一発ずつお見舞いした。頭蓋が砕ける嫌な音が鳴り響く。そしてそのまま、連中は吹き飛んでいき、建物の壁に激突して床に転がった。


「い、いやぁぁっ!」

「ま……待ってくれ! 降参するっ!」


 両手を上げ、膝をつき、命乞いをする異世界人共。

 だが俺は容赦なく奴らの頭部を鷲摑みにして持ち上げた。そして、首を180度回転させてやる。さらにそのまま首を引き千切り、身体を左右に引き裂いていく。


「ぎゃあああああっ!!」

「うわぁぁぁぁっ!!」


 血飛沫が飛び散り、臓物や肉片が辺りに飛び散る中、俺は無言で異世界人共の死体をバラバラにしていく。


「や、やめ──」


 最後まで言い終える前に、俺は残りの奴らも殺して回った。

 1分足らずで全てを終えて振り向けば、周囲には既に誰もいない。あるのは血と臓物と肉片だけだ。

 そこでようやく一息つくことができた俺は、思わず呟いてしまった。


「はぁ……。こんなもんかよ……」


 正直、ガッカリだ。

 わざわざ俺を討伐するために寄越した刺客なら、エリシアと戦った時のような手応えを期待していたのだが、蓋を開けてみればこのザマだ。

 俺の足元に転がっている異世界人の亡骸に視線を向ける。いずれも既に事切れており、虚ろな目が虚空を見つめていた。


「……つまらないな」


 俺は溜め息混じりに呟くと、踵を返してその場を後にしたのだった。


 *****


(side:真人王国)


 その頃、真人王国の王城では国王が玉座に腰掛けながら利き手で自身の顔を覆い、嘆き悲しんでいた。その表情は手で隠されて見えなかったが、不満と苛立ちが滲み出ている。

 彼女の眼前には、空中に浮かび上がる複数のディスプレイモニターがあった。そこでは、魔人アルファと異世界人達の戦闘が、先程まで映し出されていた。

 最も、それは戦闘と言えるような代物ではなく、一方的な虐殺だったのだが。


「……何ということだ。まさか、異世界人がこうも簡単に敗れるとは」


 国王は憎々しげに呟く。


「使えぬ奴らめ……!」

「申し訳ございません、国王様。わたくしの采配が至らぬばかりに」


 国王の傍に控える女性が、深々と頭を下げて謝罪の言葉を述べる。彼女は真人王国において最も信頼されている側近である。


「それで──どうなさいますか? あの魔人は放置しておくと必ず災いとなります。今一度体制を立て直し、早急に討伐してしまうのがよろしいかと存じますが……」

「……そうだな」


 国王は重い腰を上げると、玉座から立ち上がった。そして、側近の女性を伴って歩き出す。


「異世界人共を大量に召喚できるようにはなったが、今のままでは使い物にならぬ。早急に準備を進めよ」

「かしこまりました、国王様」

「そして魔人の対処だが、『Sランク』を送り込もう」

「……よろしいのですか? 彼らは、真人王国の切り札です。もし敗れるような事になれば──」

「構わん。異世界召喚の研究が進んだ今、代わりは幾らでも呼び寄せればいい。……それに、どのみちここで魔人に殺されるなら、所詮はその程度の価値しか無かったという事だ」

「成程……仰せの通りに致します。では早速、『Sランク』を招集します」


 側近の女性は恭しく礼をすると、その場から姿を消した。

 そんな側近を見送った後、国王は再び玉座に腰を下ろして呟く。


「──それにしても、魔人か。まったく、厄介な種が芽吹いてしまったものだな……」

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