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第3話

 転移した先は、真人王国の王都のど真ん中だった。ちょうど通りかかった通行人がギョッとした顔でこちらを見てきたが、すぐに興味を失ったのか立ち去っていった。

 俺の外見はpが人間そのものに見えるのが幸いした。魔族だと気付かれたら、もしかしたら騒ぎになっていたかもしれないからな。


「凄いわね……。一瞬でこんなに遠くまで移動できるなんて」


 感心した様子で呟くエリシアに俺は言う。


「まあ、エリシアの記憶を読み取ったおかげだな。王都での記憶を頼りにより正確な転移先を選んだ。成功して良かった」

「貴方、他人の記憶を読み取れるの? ……ホント、やりたい事は何でも出来るのね」

「褒め言葉として受け取るぜ。ここから銀行までそう離れていないはずだ。ここからは歩きで行くか」

「わかったわ。行きましょう」


 そう言うとエリシアは歩き出した。俺もその後に続くようにして歩く。

 王都の中心部にある真人王国の銀行へと入ると、すぐに受付嬢が声を掛けてきた。


「いらっしゃいませ!」

「こんにちは。預けているお金を引き出したいんだけど」

「承知致しました。では、こちらの用紙に必要事項をご記入下さいませ」


 受付嬢はそう言うと、一枚の紙とペンを差し出してきた。エリシアはそれを受け取ると、慣れた手つきで記入欄を埋めていく。


「書き終わりました」

「ありがとうございます。では、確認しますので少々お待ち下さい」


 彼女はそう言うと、書類を持って奥へと引っ込んでいった。そして数分後に戻ってきた時には、手に金貨の入った袋を持っていた。


「こちらがお預かり金になります」


 受付嬢は満面の笑みでそう言った。エリシアはそれを受け取ると中身を確認する。


「……うん、ちゃんと全額分入っている。ありがとうございます」

「こちらこそ、またのご利用をお待ちしております」


 受付嬢は丁寧にお辞儀をすると、俺たちを見送った。


「よし、これで治療費の準備も出来たし、後は医者に残りの治療費を払って終わりだな」

「そうね。……でも、アルファ。貴方は気付いている?」

「ん? 何が?」

「貴方、さっきからずっと見られてるわ」


 エリシアは小声で呟いた。

 確かに、この銀行に入ってから複数人の視線を感じていた。特に2人ほど、敵意むき出しの視線を向けられている。


「まあ、別に気にする必要はないんじゃねーの?」

「はぁ……ホント、貴方は呑気ね。まあいいわ、とりあえず外に出ましょう」


 俺たちは銀行を出ると、再び転移魔法を使って病院へと戻った。


 *****


 俺とエリシアは病院にいた医者を呼び出した。いや、正確には病院跡地というべきか。何せ、完全な更地となっているからな。

 彼は俺たちの顔を見るなり不満そうな表情をする。


「まったく、病院を何処かにやるなんて。こんな厄介な患者は初めてヨ!」

「悪いな。でも早くこの治療費を払いたかったんだ」


 エリシアは、金貨が詰まった袋を医者に手渡そうとする。


「これが私の治療費よ。受け取って」

「約束通り、病院も戻してやるから安心し──あん?」


 その時、俺は不可解な視線を感じる。

 俺の異変に気付いたエリシアが問いかけてくる。


「どうかしたの?」

「……見られている」

「見られている? ……私には何も感じないけど」

「ああ、この近くからじゃねえ。これは──真人王国に居た奴の視線だ」

「えっ。でも、幾ら何でもこれだけ離れた距離から私たちを目視できるはずがないわ」


 エリシアの言う通り、真人王国と魔界王国の距離を考えれば、どんな優れた視力を持っていたとしても、俺たちの姿を認識できるはずがない。

 だが、確かに何者かが俺たちを見ているのだ。それもかなりの距離を隔てているにも関わらず、視線だけは俺たちを注視している。

 ──嫌な感じだ。


「エリシア、悪い。ちょっと俺、行ってくるわ」

「行ってくるって……」

「大丈夫、時間は取らせねえ。医者と軽くガールズトークでもしてくれ。じゃ」


 そう言って俺は、再びテレポートを使い、真人王国に転移した。

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