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第三十二話 変異の結果


夢の体から力が抜けた。夢が沈み、変異の結果が体の主導権を奪ったのだろう。そう、目の前に居るのは夢であって夢ではない。夢の変異によって生まれた何かだ。氷の女神となっても、ルルゥとしての記憶、想いは心の中に存在している。だけども、夢の変異が夢の手に負えないなら、私がこの手で永遠の眠りを与えようと決意する。そして、夢が(ルルゥ)を見上げた。


夢とルルゥの視線が交差する。そして両者共に息をのむ。片方は純粋な驚きで、もう片方は純粋な喜びで。



不覚にも驚いてしまった自分が悔しかった。最初から分かりきっていたはずなのに。夢が支配している時でさえ、片目は獣の瞳であった。なら、変異の結果の全てを表に出せば必然、夢の瞳は両方とも獣の瞳になるのは推測出来ていた。でも、それでも、改めて見せられると夢がすでにヒトでは無くなってしまっていると現実を、事実を突き付けられた。だから、更に決意する。手に負えないのならば、私がこの手で「殺そう」と。



目の前にとびきりの美女(獲物)が居た。長い間押さえつけられていた感情が歓喜する。

捉えて、犯して、喰ってみたいと本能が疼く。今にも飛びかかりたい衝動を押さえるのがこんなにも苦痛だとは。美女(ルルゥ)にとって最悪(サイコウ)の状況で喰らうのが一番美味いのだから。俺は『狼』。獲物を追い詰める過程も楽しいのだから。



「とりあえず、礼は言っておくぜ。呼び出してくれてありがとな」


夢の声で夢じゃない奴がしゃべる。それだけで私はイライラしていた。


何も答えないルルゥを気にする様子も無く、更に続ける。

「で、お前の目的はなんだよ?俺にこいつの体の主導権を与えるだけじゃないんだろ?」

誰が、お前に夢を渡すものかと心の中で叫ぶ。

「夢の変異の結果をきちんと『私の目』で見る必要があったもので。」

「そーかい。で、どうよ?」

ニヤニヤしながら、夢がなげかかる。それに対して一言だけ

「最悪な結果ですね」


あぁ、こいつは最高だ。元の俺に好意か何かあったのか。それを踏みにじって、犯して喰うのは最高に上手いゴチソウじゃないか。


「そーかい、そーかい。でも、オレにとっては最高だ。なぁ、今からオマエを喰う。だから、最高の悲鳴をキカセテクレヨ?」

「ここが何処だか分かっているのですか?私の『神域』です。そこであなたが私に触れることなどあり得ないのですよ?」

「ハハ、有り得ない?何がだ?オレはお前を『喰いたい』んだ」

その瞬間、ドンっと夢がルルゥに飛びかかる。元の夢では出せない速度であった。元のルルゥなら反応出来ない速度であろう。だが、氷の女神の冷徹な声が響く。

「動きを止めよ」

だたその一言に、『神域』という空間が変化する。主たる氷の女神の意思を受け、その願いをかなえる為に姿を変える。それは、床から生えた氷の茨であった。それらが霞む速度で宙を進む夢へと瞬間的に巻きつき、そして

「打ちつけろ」

巻きついた茨が夢を床へと引き寄せる。

「グガァッ!」

夢は元居た場所へと叩きつけられた。そして、叩きつけられたまま玉座に座るシヴァリーを見上げる。見下すように

「この世界であなたが出来ることなど何もありません。おとなしくしていなさい。」

その言葉に呼応するように氷の茨が夢の体を締め上げる。だが、それでも(黒い感情)は笑みを浮かべる。

「まぁ、そうだよなぁ!ただ突っ込んだって無理なのは分かってんだ。確認したかっただけだ。お前が、昔のヤツラと一緒かどうかヲナ!」

その瞬間、夢の体を何かが包み出す。それを見たルルゥが更に茨の力を強めようとした時、突然茨が『消えた』。

 ここは、『神域』である。神の意思に支配されている世界である。自分の意思を受けた茨が消える事は有り得ない。だが、目の前で『その』有り得ない事が起こっていた。そして

「そう言えば、元の世界で、有り得ないなんて事が有り得ない』って言ってた奴がいたぜ?」

獰猛な笑みを浮かべた夢が答えた。

その瞬間、ルルゥの、神としての本能が答えを弾きだす。それは、ルルゥとしては最悪の答えであった。

「まさかお前は『神喰―――――


久々に風邪をひきました。皆さんも寒くなってきましたのでお気を付けください。


更新が空いてしまってすいませんでした。

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