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第二十五話 最後に待っていた事は・・・

最近よく更新していますが、学生最後の春休みの為です。

水の人形の動向を油断なく見据える夢。特にソイツの右手に握っている剣は要注意である。高圧の水を斬線と共に飛ばす事が出来るらしい。それも任意で出来ると言うのだから厄介なうえきわまりない。どうしても回避行動が大きくなりがちである。その隙を利用して徐々に距離を詰めて来ようとしている。

(クソッ!このままじゃジリ貧になるな・・・)

そう思っていながら魔術、打撃と夢の攻撃ではダメージすら入らなかったのをすでに確認済みである。攻撃手段が無いままスタミナが徐々に奪われていく。そして、遂に水の人形に追いつかれ、否応なく至近距離での戦いへと持ちこまれる夢。距離を離そうにも脚はすでに限界ギリギリの状態だ。相手の攻撃を10回も回避しないうちに今までのツケが一気に脚に来た。軽くバランスを崩した一瞬、水の人形の蹴りが夢の脇腹へと命中する。丁度、切り裂かれていた部分に直撃した。

「グァッ!!」

若干相手との距離は離れたが、それでも相手の攻撃からした十分有効射程圏内であろう。痛みのシグナルが頭を駆け巡る中、夢は敵の姿を探す。

(アイツはどこへ行った!?)

先程まで真正面に居たはずの水の人形が居ない。左右を慌てて見ましても姿はどこにもない。その時、夢の直感が避けろと身体を反射的にその場から動かした。刹那の瞬間、夢の体のすぐ脇に水の人形の剣が突き刺さる。

(危なッ――)

水の剣が爆ぜた。

そして、夢の体が吹き飛ばされていく。



その光景を見ていたルルゥが咄嗟に主の顔を見上げる。主はと言うと、平然とその結果を見ている。

(このままでは、水瀬 夢が本当に死んでします!!)

主の許可を待たずに夢を助けようとしたその瞬間、水神リヴァニウスが止めに入る。

「何をするんですか!?本当に死んでしまいますよ!!!」

普段のルルゥからは考えられないような慌てかたである。それを内心では驚きながらも、指を差す事で自分の意を示す。指の先には立ち上がる夢の姿があった。

「俺の契約者はヤワな奴じゃない。アレくらいどうにか出来ねばこの先生き残れん。」



先程の一撃で軽く意識を持って行かれそうになったが、ルルゥの慌てた声で現実へと引き戻された。それに水の人形について分かった事が1つあった。軽くルルゥに手を上げ無事な事を示しつつ、意思があるのか分からないが水の人形に言葉を飛ばす。

「今の攻撃で分かった事がある。お前は、純粋な魔力の塊なんだろう?」

夢の問いかけに水の人形の動きが固まる。それを肯定するようにリヴァニウスが

「その通りだ。お前の言う通りソレは俺の魔力の塊である。」

「だから、お前は水の魔術じゃ砕けない。なぜなら水の最上神たるもの魔力だからだ。」

正確には、水の魔術であろうともリヴァニウスが与えた以上の魔力で魔術を使用すれば、吹き飛ばす事が出来る。

「あと、お前ばっかり武器を持つのは卑怯じゃないか!!」

この時、ルルゥは夢を心配したことを少し心のなかで本当に後悔したらしい。


【水よ、水よ、我が意をくみて武器とならん。その刃を向けしモノを砕く剣とならん】


夢の魔律に合わせ、周囲の水が武器の形を形成する。誰もがその剣をみたら歪だと思うだろう。形状としては、騎士が片手で使うような剣である。そこだけみたら水の人形が持っている剣と変わらないだろう。だが、長さが違った。剣の長さは、夢の身長に届くか届かないくらい長いのである。大剣と呼ぶに相応しいであろう長さだ。だが、いかせん刀身は細いのである。そこが、見るのも全てにアンバランスに見えた。

だが、そんな形状を気にすることなく夢は剣を正眼に構え、水の人形に躍りかかる。高校時代に不真面目とはいえど剣道をやっていただけはあり、それなりに様になっているようだ。かといって、水の人形も相手が素手から剣になったとしても戸惑うわけもなく迎撃する。夢の斬撃を剣で受け、返す攻撃に右足の蹴りを放つ。それを夢は剣の平で受け流す。夢としては、相手の攻撃をカウンターするか、隙を見つけて自分の魔力をぶつけなければならない。どちらにしろ、このままだと先にスタミナ切れで負けるのは夢の方なのだ。強引に相手を潰しにかかった。まず、

上段からの斬りおろし、これは相手の剣が下方向へと受け流す。受け流した剣で夢の首筋目がけて剣を突き刺してくる。

(ここまでは、想定済みっだ!!)

相手の剣目がけて受け流されたはずの剣を思いっきり振り上げる。剣と剣が、剣を構成している魔力が干渉しあい水の人形の剣を弾く。それにより、水の人形の体勢が崩れる。

(まだ、足りない!!)

体勢を崩していない右手を止める為、魔術を発動する。

【術式:水縛(すいばく)

水の人形の足元から水が縄のように伸びあがり、右手を捕縛する。その瞬間持っていた剣を相手の胴体へと突き刺した。だが、これだけでは魔力の塊である水の人形には意味が無い。ここからが勝負なのだ。突き刺した剣に有りったけの魔力を込め始める。

「ぬおぉぉぉぉぉっっ!!」

水の長剣が注ぎ込まれる魔力に耐えきれず、徐々に姿が歪み、霞み始める。そして、爆発した。



魔力と言うのは、物体に込める事が出来るがそれはどの物質、物体といえど限界はある。神域内の水といえど、それは必ずある法則なのだ。もし、留めきれないほどの魔力を注ぎ込んだ場合、普通なら外側へと放出しようとする。だが、今回は夢が魔術を用いて剣を構成し、そこに魔力を限界以上注ぎ込み、なおかつ夢が放出を認めなかった為に剣自体を構成する魔術及びに注ぎ込まれた魔力が爆発という結果を生み出した。

結果としては、水の人形は粉々に夢の魔力によって吹き飛ばされ、再起不能。試練自体は夢の勝ちという結果だが、魔力の爆発に巻き込まれた夢もルルゥと戦ったときくらいのケガを負っている。それでも、立ち上がりリヴァニウスの目を見据える。それを見たリヴァニウスは、内心頬笑みながらも

「泥臭い結果ではあったが、合格とする。明日から本格的に鍛えるからな。」

と言い残し去っていく。

リヴァニウスの姿が見えなくなったとこで夢の緊張が切れた。その場に倒れ込むように座る。そこに、ルルゥが近づいていく。近づいてきたルルゥを見ると、ルルゥの背後にゴゴゴォォォと聞こえて来そうなほどの怒りのオーラが充満していた。

「よくやりましたが、あなたは私の講義を聞いていたのですか?」

口調は変わらないはずだが、怒っているように聞こえた。

「聞いてたけど、俺の魔術じゃああするしかなかったんだから仕方ないだろ?」

「ですが、魔力の暴走というのはそれを差し引いても危ない事という事を理解していないのですか?」

「確かに、それは知っているけどあの時はそれしか手が無かったんだ!第一、お前に怒られる筋合いは無いはずだ。」

「ほぉ、今、私が怒っていると?」

夢を上から覗き込みながら告げる。

(メチャクチャ、ブチ切れてるだろうが!!!)

そして、そのまま夢の手を掴み引きずって行く。

「あなたを治療するのはこの私です。これ以降、無茶な真似はしないようにお仕置きが必要ですね。」

引きずりながらものすごく淡々と話すルルゥ。すでにそれが決定事項であるように。身の危険を感じ逃れようとしても満身創痍な状態の夢に抜け出せるわけもなく、静かに刑が執行される時を待つしかなかった。

そして、数分後夢の絶叫が木霊したとかいないとか。



前書きにも書きましたが、学生最後の春休みの為無駄に時間があるのにお金は無いというジレンマにより、更新が早くなっています。4月から社会人となるので1~2週間で更新していきたいです。

ユニークが8000超えました!!読んでくださった方、お気に入りしてくださっている方たちのおかげであり、ありがとうございます<(_ _)>

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