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第二十一話 世界の色 〈第二章〉

ルルゥは、覗き込んでいた。魔霊である自分と戦い抜いた男を。試練の結果としては自分が勝利を収めた事になる。それは、夢が最後の最後で魔力切れにより意識を失ったためだ。だが、最後の攻撃が当たっていたとしたら負けたのは自分だと素直に感じている。全力とはいいがたい条件での試合でもあったが、何も知識が無く、こちらの世界に来て一カ月足らずの男に自分があと一歩という所まで追いつめられた事実は変わらない。あのあと、自分の主ともいえる者から目覚めるまでの看病を頼まれたが、ここ3日間目覚める気配は無かった。初心者がアレだけの力を出せば当然と言えば当然かもしれないが。ここ3日間看病の為そばに居るが、顔立ちは至って並だし、武術に関しても何かやっていた節はあるが体術に関しては素人に近いとも思う。だが、何故か傍に居て落ち着く印象を与える男だと思う。こちらの世界に来て自分の主の力を得ているため、自分と波動が合いやすいのかもしれないがそれを抜きにしても、なんとも落ちつける雰囲気を放つ男である。目が覚めたら、少し話をしてみたいなとここ数十年人に興味を抱かなかった自分が興味を抱く不思議な男である。主ももうそろそろ目が覚めるだろうと言っていたし、あとは待つだけだ。



 夢を見ていた。自分の心の中で消える事のない過去の出来事を。中学一年時、クラス替えがあり新しいクラスで何故か学級長をやらされていた。担任の教師も初めて担任をもつという状況で頼りなかった。新しい友達と学級長という立場に苦労しながらも上手くやっていたと思う。だけど、その出来事は起こった。それは、クラスの中でも力というか支配力の強い女子たちの我がままが原因だった。たまたま、その女子たちと同じ委員会だった夢の友達とケンカしたのだ。自分の友達の方が正論を言っているのに、逆に攻められている状況を止める事が出来ない自分。学級長と言う立場でありながらもその女子に注意できない自分。イジメという言葉が頭をよぎり自分の友達を助けにいけない自分が、臆病でどうしようもない自分が嫌なのに動けない自分。その時はたまたま居合わせた英語科の教師が止めてくれたが、目の前で起こるイジメをとめれない自分が悔しかった。イジメに加わることは無かったが止めることもしない臆病な自分が嫌だった。

 そして場面が変わる。中学2年でクラス替えが行われる珍しい学校であったためまた違う人達とクラスが一緒になった。その中に、小4からツルんでいる親友がいた。やっぱりどのクラスになったとしてもハブられる人は必ずいる。積極的に自分はその人達とは絡まないようにしていた。自分もハブられたく無かったからだ。でも、親友は違った。自分の判断でその子と付き合っていたからだ。周りの意見より自分の目で見て付き合うことが出来る強さを持っていた。その場その場を周りに合わせる自分と、あくまでも自分を貫く親友があまりに違って見えた。人にやさしくするのはあくまで自分の評判、満足の為。だから、偽善者とも呼ばれた。

周りに溶けこもうと必死な自分がすごく空しく感じた。

  空虚な思いを胸に感じたまま、目を開けた。

(また、あの夢か・・・いい加減どうにかならんものかね。)

目を開けたその先には、ルルゥの顔がドアップで広がっていた。

「・・・・・おはよう?」

「起きたようですね。おはようございます。主を呼んできますので動かないように。」

と言い残し、席を立つルルゥ。その姿を見送って、寝起きの頭を回転させる。

(あ~、戦って最後の一撃をぶち込もうとして・・・・・記憶が無いな。こりゃ、負けたのかな)

とりあえず、試練の結果についてはあの8つ目の双眸を持つ者が教えてくれるであろうからひとまず置いておく。考えてもすでに結果は出ているのだから悩まない。夢は、楽観的な性格である。自分が寝ていたであろう部屋を見渡す。ルルゥと戦った所と雰囲気が全然違う。今いる部屋の方が生活感というのがある感じだ。戦った所は神聖ともいえる雰囲気で満ちていたと思う。部屋を一通り見回して目に付くものがあった。それは、自分の傍のテーブルに置かれていた本だ。背表紙の文字は読めないが、とりあえず取って読んでみる。中の文字は、何故か読めた。




 それは、世界の創造に関する話だった。

この世界は、ある神により創られた。その神に名は無い。なぜなら彼が全ての源であるからだ。彼は、この世界を構築し配下の神達に与えた。この世界を自分の色に染め上げた者に力を渡すと。様々な色を持った神々がこの世界に降り立つ事になった。これが今の魔術、術技と呼ばれるものの源なった。その中でも力の強い5人の神々は自分の力にある者に力を与え、世界の統一へと踏み出していった。神々の力はもとから拮抗しているものであり、それを与えられた人々の力も拮抗していた。全てにおいてバランスが保たれていたのであった。だが、ここで二人の神々が行動を起こす。白の神は他の世界から優れた個体「英雄」を選び出し使役した。黒は自らの力をより使える個体「魔物」を生み出した。そして、世界は白と黒の勢力の戦いとなって行く。

英雄神 エレス・リ・シフォニアス と 暗黒神 バルグルス・エヴィリアーズ


「この2神は今も戦い続けているという。この世界を舞台として。目覚めたようだな。我が契約者よ」

「何日間寝ていたんだ?」

「人で言う3日というところか。アレだけの力を使えば倒れてもおかしくは無い。お前の可能性を見せて貰った。我が力をお前の好きなように使うといい。」

「それは、ありがとさん。それで、この話は本当なのか?」

「嘘では無いが、真実とも言えんな。気になるならお前が自分の目で確かめてみればいい。」

「お前は、世界を自分の色で染め上げたくは無いのか?」

「俺は、別にどうでもいいのさ。力が欲しい訳でもないからな。その顔はなんだ?」

俺に力を与えたのはどういう事なんだと疑問に思っていると

「ただの気まぐれだ。まぁ、もっと世界を俺の色に染め上げてくれたら少しはマシになるかもな」

「少しどころか、大分マシになりますよ。主。今はほとんどあなたを信仰してる者なんていないんですから。」

「だそうだ。これでも力のある神だったんだぜ?名もあるからな。他の神だと契約者が何か世界に残さないと名すら与えられないからな。」

「名前・・・ねぇ。そんなに大事なものなのか?」

「そりゃ、大事に決まってる。身近らの存在を確定するものだからな。名も無い神は英雄神か暗黒神のどちらかの配下にいるかもしれんな。一応、お前は契約者だから名を覚えておけよ。俺の名は 水神 リヴァリニウス だからな。」

「了解、覚えておくよ。で、俺は試練に受かったとしてここで何をするんだ?」

「その事なんだが、当初は試練だけ受けたら元の位相に戻すつもりだったんだが、ルルゥの要望もあって、お前に武術と魔術や一般知識を身につけて貰うつもりだ。」

「うん?ルルゥの要望?」

「そうだ。この型物がなんとまぁお前に・・・」

「それ以上言ったら殴りますよ?主よ。余計なことは言わなくていいのです。」

「・・・だそうだ」

「教育係はルルゥだからよろしく頼むわ。武術の一部は俺が教える事になると思うが、ほとんどルルゥガ教えるからな。仲良くしろよ?」

「りょ~かい。これからよろしく頼むな!ルルゥさん?」

「ルルゥでいいです。こちらこそ、よろしくお願いします。」

ものすごい、冷静な眼差しで見つめるルルゥと上手くやっていけるのか不安を抱いた夢であった。


第二章開始です!学校も終わったので今より更新頻度を上げていきたいところです。いつの間にかPVが25000を超えていました。ありがとうございます!!こんな作品を読んでくださる方本当に感謝です。拙い作品ですがこれからもよろしくお願いします<(_ _)>

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