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世界が変わる その一歩  作者: ユグラス
プロローグ
2/46

第二話 ここは日常ではない

教室にカツカツとチョークの音のみが響く。それをただひたすらにノートに書き写し、先生の解説を聞く。知識をただ詰め込むだけのつまらない授業。一番後ろの自分の席から教室を見渡してみれば、P○Pでゲームをする人、睡眠学習に走る人、同じように黒板を写すのに必死な人、携帯で何かしている人などいつも通りの退屈でつまらない日常の風景があった。そんな日常が嫌だと思いつつも、このまま卒業を迎え、企業で働き、日々をただ生きていく人生から抜け出せるとは思っていなかった。その時までは・・・・・




それは、3限目に起こった。昼食を終え、退屈な授業をBGMにウトウトとしていた時、ふと周りを見渡してみた。いつも通り、俺と同じように眠気に負けそうな人、すでに負けて寝ている人など日常の風景である。だが、何かがいつもと違った。

(何かがおかしい?でも、何がおかしいいんだ??)

何か違和感を感じるもののそれが何かわからない。さっきまで感じていた眠気はいつの間にか消え、テストをしている時よりも高速に頭を使う。同じように、気づき始めた人も何人かいたようだが俺と同じらしい。困惑した表情を浮かべていた。何か、手がかりはないかとまた、周囲を見渡してみて、ふと床に目がとまる。

(今、何かみえたような・・・)

注意深く見てみるとうっすらと何か模様のようなものが見える。

(なんだ?アレ??)

更に、何が書かれているのか見てみようとしたその時、突然頭の中に声が響く。

「世界の謎をとけ!」「世界の姿を暴け!」「己の可能性を示せ!己の全てを賭け世界に挑め!」

最近になって見るようになった悪夢で聞いた『声』であった。それは、自分以外の人にも聞こえたらしく、寝ていた人まで起きて教室内は騒然となるが、いつもならうるさいと注意をする先生からの声が聞こえない。この時になってようやく違和感の正体に気付いた。

(先生の声が聞こえていなかったのか!)

だが、その時にはすでに教室の床に書かれていた模様が床一面に広がり、眩しいほどの光を放っていた。頭の中では同じ言葉がひたすらリピートされている。眩しいほどの光があたりを真っ白に染め上げると同時に俺も意識を手放していた。



目が覚めて見ると、そこは石畳の部屋だった。部屋といっても大広間と呼べるほどの大きさをもつ場所だった。

「目が覚めた?水瀬」

声をかけてくれたのは、18禁パソゲーなみにモテる巖真であった。

「あぁ、ここがどこだがわかる?」

それに対して、巖真はお手上げとジェスチャーで示す。周りを見てみると、教室にいた全員というより、通っていた学校のすべての学生がいるように見える。専門学校であったため、全学生を合わせても200人程度であるが。ある程度、皆目が覚め始めているのか至る所で声が聞こえる。床一面石畳であり、壁も石で出来ているような手触りである。観察を続けていると、巖真の傍に、御子柴や、植田、といった巖真グループのメンツが集まっていた。そこでも、周りで聞こえているのと同じ会話がなされていた。

「何があったの?」「さぁな。あの声は聞こえたか?」「世界がどうのこうのいってたけど、イタズラにしては規模が大きすぎるよな?」

その会話を横目にしながら、壁を背もたれに一歩グループから距離を置く。ひと付き合いが苦手という訳では無いが、得意という訳でもない。あくまでソツなくこなせるレベル。距離を置きながら周囲の会話に聞き耳を立てていると植田から

「おい!夢、お前もこっちにきて混ざれよ!!」と声をかけられる。

俺の名は 水瀬 夢 (みなせ ゆう)夢とかいてゆうと読ます。親が夢を追いかけるような人になってほしいと願いを込めたらしいが、現実主義者で放任的な性格に育ってしまった。声をかけられて、それを無視する訳にもいかずグループの方へと足を進めてみたその時、この異常な状況を作ったであろう声がまた、頭に直接響くように聞こえた。

「ここは、修錬の間。自らの可能性の一部を解き放つ。その可能性を我に見せてみよ」

その声に、対して至る所から「ここから出せぇ!!」「ふざけるな!!元に戻せ!!!」など声が上がるが、まるで事務のアナウンスのように続きが流れる。

「ここは、修錬の間。汝らを試す場所である。自らの命をかけ此処に挑むがいい。ここは修練の魔。生きるも死ぬも汝ら次第」

巖真グループでも、周りと大差のない会話である。

「どうする?」「どうするって、何もわからないじゃないか。死ぬとか言ってるし」「自分の可能性とか意味分かんないし!速く、戻してよ!!」「落ち着けって、喚いたってどうしようもないだろ」

「汝らの手助けとなるものを既に渡してある。それを生かすも汝ら次第。繰り返す、ここは修練の魔。生きるも死ぬも汝らの行動の結果なり」

それっきり、声は聞こえなくなった。だが、最後の言葉を聞いた同時に腰の辺りに重みを感じた。そこには、小さなポーチがついていた。

(これでどうしろと・・・)と思う。

巖真グループでも、このポーチについては放置することにしたらしい。巖真グループもとりああえず、同じクラスの人達を探すことになったらしい。会話に積極的に参加しなかった為、理由がよくわからんが「みんなで渡れば赤信号も怖くない」というところだと思う。集団になることで安心感を得るわけだ。人が多く集まっている所に向かっていく。人ごみの至る所で、知っている子ぶれをチラホラ見受けられる。うちの専門学校は2年の方が人数が少ないため、知らない顔の方が多い。人ごみを掻き分けていくと、よく見知った人物と出会った。その人物は、信藤 直哉 (しんどう なおや) うちの学校の生徒会である自治会という名の組織の会長を務める28歳、妻子持ちのナイスガイである。趣味で 東宝のシューティングがヤバいくらいウマい。俺も何回かやったことがるがEasyでさえクリア出来ずにいる。巖真が、

「信藤さん~!!」と手を上げながら声をかける。巖真グループの姿を見つけ、信藤もこちらへと向かってくる。すでに何人か集まっていたのか向こうも団体であった。

「信藤さん、どうします?」と巖真が意見を求める。

「俺も、何がなんだがわからないが・・・」と濁す。それを聞いて、巖真もやっぱりといった感じである。進展しないまま、会話が繰り返される。その時、突然巖真が

「水瀬は、何か知ってるか?さっきから会話に参加しないけど、何か知ってるのか?」

その瞬間、皆の目線が一気に集まる。その目線を感じながら、

「いや、自分も何がなんだがわからないよ。それは周囲の会話を聞いてみたけど同じみたいだよ。けど一つ言えるのは・・・」

「一つ言えるのは?」

「これが、異常ということだけ」

その瞬間、皆の顔が曇る。見たくない現実を突きつけられたせいだ。

「だから、こういう時に大事なのは落ち着くことが必要だと思う。パニックによる暴動が一番危険だから。」

「確かに、それは危険だよな。ちょっとしたイザコザですぐに喧嘩になりそうな雰囲気だし」

「信藤さん、提案なんだけど自治会長として自治会を使ってまとめてみたらいいと思う。こういう状況だと誰かが引っ張ってくれればみんな落ち着くと思うし」

「それも、そうだな。一年の自治会員と協力してみる。」

そういって、人ごみに消えていく。皆の顔にも、信藤さんがまとめてくれるなら大丈夫といった安心感みたいなものがにじみ出ていた。

「水瀬は、やっぱり頼りになるな」

「いや、ただ色々な本を読んでるだけだよ」と苦笑しながら返す。周りからも巖真と同じように思っているのかウンウンと頷く人もいる。その状態に耐えられなくなった俺は、ちょっとトイレと言い残し、グループから遠ざかった。

人が集まっているであろう部屋の中央辺りから用を足すべく、部屋の隅へと足を向ける。

トイレといったのを口実にあの期待の籠った状況から逃げ出したかっただけ。昔のトラウマから逃れるべく。昔を振り返りそうになりながらも人混みから離れ、部屋の隅の壁に背を預ける。壁には等間隔で燭台が並び、火が灯っている。人混みの喧騒を遠くに聞きながら自分の思考へと沈んでいく。

あの声はなんだ?今はなんだかわからない。だが、あの声が本当だとすれば、ここは死ぬ危険があるということだ。修錬といっていたが、ここで何を学ぶ?サバイバル技術か何かか?だが、そういった道具も与えられているわけではない。まてよ・・・このポーチに何か入っているのか?ポーチに手を突っ込んでみる。そうすると意外とというよりかなり中の空間が広い。視覚的な外見からは考えられないほどの広さを感じるが何も入ってはいなかった。

ある程度、考えてみても結論が得られず取り合えず自治会がまとめ始めたであろう時間を見計らって巖真グループに戻る。戻ろうとしている時、人混みから声がかかった。

「水瀬君?」

声の方向へと振り向いて見ると、そこには

「志波さん、と狭川さんもみんなお揃いで」

志波 千紘 (しわ ちひろ) と狭川 浩孝 (さがわ ひろたか)180cmの長身である。その後ろにいたのは 坂根 恵 (さかもと めぐみ) 一年の時に家が近い一人暮らしの人達で色々と集まったグループである。

「あっちに巖真君達とか集まってるよ」

手で方向を示す。

「そうなんだ、合流しようかな?」

「そうだな、人数が多い方が何かといいかも」

合流することが決まり、一緒に歩いていると、志波さんが

「水瀬君って落ち着いてるよね。私なんて、みんなと合流出来なかったどうなってたか」と笑いながら話しかけてくる。

「そうかなぁ?たぶん、達観してるだけだと思うけど」といつも通りの答えを返す。知りあいと会える安心感からか、他愛のない会話をしながら歩いていく。

 信藤さんが話をつけたのか自治会員が主体となって大体の生徒たちをまとめていく。が、やはり反抗するものも出てくる。そういう輩と、自治会にまとめられた人たちとで部屋の中で二分する形となってしまった。これを見た志波さんが

「いがみ合っても意味なんてないのに・・・」

俺としては、反抗する人の気持ちも分かる。なぜ、こんな状況になってまでお前らに従わなければならないのかと。2分され、いがみ合いが続いている中誰かが 

「扉があるぞ!」と声を上げた。自治会にまとめられた人、反抗した人も関係なく、ここから出られると希望をもって声の下方向へと走っていく。

「水瀬君は行かないの?」

「行っても意味ないと思うし。それに眠いから走るのが面倒」

「なんで、意味ないと思うの?」

「だって、扉のサイズにもよるけど、一度に通れる人数も限られてるっしょ。それに、誰かが戻ってきて教えてくれるだろうからね。志波さんは扉を見に行かないの?」

「水瀬君が行かないなら行かなくていいかな」

「もしかしたら、扉を抜けたうち何人かは出してくれるかもしれないよ?」

「えっ!?そうなの?」

「もしかしたらだよ。でも、きっと違うと思うけどね」

志波さんの前では、飾らない言葉で会話をする。俺が坂根さんと一年の時に付き合っていた時から坂根さんから色々と相談を受けていて、本当の俺というのを知っているからだ。だから、隠くさずに、思っていることをいう。

「じゃ、俺は少し寝るから」と言って目を閉じる。

「おやすみ~」

起きたとき、今より現状が少しでも進んでいること想像しながら浅い眠りにつく。


少し、長いですかね?一まとまりずつの投稿の方が読みやすいと思ったのですが。

それよりも、読みやすいように短く分けるべきなのかな?う~ん、悩むところです。

もう少し、地味な部分が続きます・・・すいません((+_+))

感想など意見色々待ってます~ノシ

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