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第十六話 別れ、そして旅立ち 〈第一章〉

第一章、始まりました。長く、お待たせしたかもしれません。拙い作品ですがこれからもよろしくお願いします<(_ _)>

夢達が起きだして30分程度談笑していると、離れた所で寝ていたグループの人達も起きだしたようだ。その中の信藤さんと狭川さんがこちらへとやってくる。近づいてくる信藤さんの顔には特に表情は無いが、もう1人の狭川さんの顔には夢に対して嫌悪、不信、はたまた畏怖とも言える感情が覗える。声が届く距離に近づいたとこで信藤さんが

「水瀬、お前に伝えなければならないことがある。出口はもうすぐそこだ。だが、これからはお前だけ別行動という形にしてもらいたい。それだけの力があればやっていける。」

どこに、やっていける確証があるというのか。未知の世界に何が居るかわからないというのに。だが、夢は

「わかった。だけど、出口までは一緒に行動してもいいだろう?すぐ、そこなんだから」

その言葉を聞いた巖真達が驚きに目を見張る。すぐに志波さんが

「それってどういうこと!?おかしく・・・」

夢が手で制する。

「俺の推測だけど、最後の敵の時に異常な力を感じたんだ。多分、俺が居たからだと思うよ」

夢の言うとおりとばかりに信藤さんも頷く。そして、伝えることは伝えたと言わんばかりに踵を返して元の場所に戻って行く。巖真が

「どういうことか説明してもらえるよな?水瀬」

「勿論、説明するよ。じゃないと、みんな納得できそうにないしね」

そして、夢が自分の推測を交えて志波さんや巖真達に説明する。

「まず、1つ目に異様に最後の敵が強かった事。確かにココは自分の可能性の一部を示せって言われたけど、その前まで戦った敵と最後の敵との間に差がありすぎる。だから、最後の敵は本当は倒す必要は無かったんだと思う。ある程度、あの声の主に認めさせれればクリア出来たはず。2つ目、俺の力はあの声の主からの力じゃなく、別の何者かの力を借りてるんだ。その事が気に食わなくてあのゴーレムが本気で襲ってきたのかもしれない。だから、俺とこれから先も一緒にいると更に危険になる可能性が高いっていうこと。」

植田や、植田の彼女ならば、その意味が深く分かる。ココでは誰も傷を治す事が出来ないのだから。もし、これ以上の深手を負う事があればそれは確実な死を意味するであろう。

「だから、俺とはここまで。俺は簡単に死ぬつもりもないし、世界の謎っていうのがなんなのか知りたいとも思ってる。だから、元の世界に戻るのも当分先にするつもり。信藤さんや巖真からすれば目的自体が違うわけ。ここで別れた方がいいに決まってるさ」

それを聞いて巖真が苦虫をかみつぶしたような顔をするが、実際巖真自身はすぐに元の世界に戻りたいのであり、何も言う事は無かった。志波さんが、それでも

「1人なんて寂しいよ!危険とか、そんな事より一緒に行こうよ!!」

それを聞いた夢は

(優しいな・・でも、だからこそ、危険な目には合わせられない。)

その優しさを守るために夢は

「あの声の主が何をしてくるかわからない以上は一緒には居られない。俺が原因で誰かが死ぬのも嫌だし、俺の力が暴走して誰かを殺すのも嫌だ。ここで別れるほうがどっちにとっても得なんだよ。志波さん」

「でも、でも・・・!!」

それでも、夢を引きとめようとする志波さんに夢は達観した表情で

「いつか、この世界かもとの世界で生きていれば道はまた交わると思う。俺とみんなの縁はそう簡単に切れるもんじゃないと思ってる。だから、次出会ったときにまた歩けばいいんじゃないかな」

夢の達観した表情を見て、今までの夢を知っているから、その表情の裏に隠されている拒絶を汲みとる。

「わかった・・・」

落ち込む志波さんを慰めるように坂根さんが傍に寄って宥める。その光景を見て苦笑するしかない夢であった。


ある程度、落ち着いたころに信藤さん達が出口へと移動を開始する。巖真達も無言でその後に続くようについていく。夢は最後尾で様々な体験をした修錬の間を跡にした。

出口を抜けてみれば視界に広がるのは空の青さと草の緑の2色だった。修錬の間の出口は草原にある小高い丘の頂上だったらしい。外へ出た瞬間、まず感じるのは解放感である。ひたすら、天井がある空間に押し込められ、極度な緊張に晒されていたわけだ。いつもよりも、空の青さが目にしみる気がした。

(空は、どこの世界でも青いんだなぁ・・・・)

夢がそんな感想を抱きながら周りに居る巖真達を見まわしてみると、皆一様にまるで何かの声に耳を傾けているようだった。その姿をみて、あの声の主がまた巖真達に何かを言っているのであろうと思うが、すでに夢自身にはあの声は聞こえない。皆の顔をずうっと眺めているわけにもいかず周りの風景に目を向ける。一面草原が果てしなく広がっているだけだが、右端には森らしき濃い緑の部分も覗える。その森は静かに獲物を待つようにゆらゆらと風に揺れているように見えた。嫌な気配がするわけじゃないのに、何故かその森に目が留まったのだ。夢自身それが何故かわからない。ただ、その森に何かがあるということだけは何となく感じ取ることが出来た。そんな風に、景色を見つめていた夢に植田が

「おい、水瀬。お前のポーチにもコレがあるかもしれないぞ?」

といって、手に持っている紙切れを見せる。何か、線やら図形が描かれているようだが

「うん?何それ??」

早速ポーチを漁る。少しばかりガサゴソさせてみると指先に紙切れみたいなものが触れた感触を得た。それを引っ張り出して目の前に広げてみる。

「なんだこれ?」

目の前の広げた紙をみてみると、多分現在地を示すであろう点とその周囲だけ模様が広がり後は白紙のままの紙である。夢が見ている紙を植田も覗き込む。そして

「やっぱり、あんまり書かれてないな。あの声いわく、地図らしいぞ」

そう言って、植田が自分の地図を見せてくれる。そちらには進むべき道や周囲の地形までばっちり映し出されていた。

(早速、あの声が聞こえないデメリットが出てきたか)

と内心思いながらも、

「仕方ないわなー、俺あの声聞こえないし。地図だけ貰えただけ儲けもんでしょ」

まぁ、確かになと植田も頷く。ここではっきりと夢とグループの人達と進路が別れる。片方は、示すものない道で片方には標識が示されている道だ。どちらがいいのかなんて今の時点じゃ誰にも分からない。それこそ、人ならざる者たちにしにかわからないだろう。人の身で先を見通すことなんて出来やしない。だからこそ、楽しいのかもしれないが。

 信藤さんが号令をかける。

「地図は各自確認したな?俺たちは地図が示す通りに先へ進む。これから先何が起こるかわからない。だが、協力して乗り切って行こう!」

巖真達以外からおー!と歓声があがる。巖真達は、その歓声に身を委ねるだけだった。

「じゃ、最後にここで別れる水瀬から一言貰おう。水瀬、何かいうことはないか?」

「じゃ、二言、三言だけ。1つ目、自分の事を第一に考えろ。誰かが死にそうでも自分の身を第一に考えないと生き残れないぞ。」

志波さんや、坂根さんに目を向けながら答える。

「2つ目、自分の意思を貫け。守りたいものがあるなら、どんなに卑怯でもどんなにかっこ悪くて守ったもん勝ち。結果が全てなんだからね」

植田に特に目を向ける。

「3つ目、死ぬな。死ななければいつか、またみんなと会えると思っています。以上です」

「1つ目はどうかと思うが、3つ目は賛成だ。誰も死なないでほしい。では、10分後に出発する。各自靴ひもなど点検しといてくれ。解散」

皆の前から巖真達のグループへと移動する。みんな暖かい眼差しで迎えてくれた。巖真が

「水瀬、また会おうな」

「巖真も無理はするなよ。適度に植田あたりで発散しとけ」

2人で声をかけ、頷く。植田も

「水瀬、次会うときはお前とガチでやれるようになっとくぜ」

「俺は、別にホ○じゃないぞ。彼女はきちんとお前の手で守れよ」

植田を茶化すが、本当はその心配りがうれしかった。右手を付き合わせて植田と別れる。そして、最後は坂根さんと志波さんだった。坂根さんが、

「夢、無理はしないで。一番危ないのはあなたなんだからね」

念を押すように問いかけてくる。だから、心配無いと伝えるように明るく

「大丈夫、俺は無茶はしないさ。そっちこそ無茶しちゃ駄目よ?だから、これ上げる。」

そういって、鎖で繋がれた青色の結晶を渡す。

「お守りだから、出来れば肌身離さず持っていてくださいな」

皆が、地図などの説明を受けている間に力を使って作って置いたものだ。保険になればと思う。

「はい、志波さんにも」

同じ、青色の結晶を渡す。受け取りながら

「夢君、絶対あとで絶対会おうね?約束だからね!!」

「うん、約束。だから、自分の事を第一に考えて生き残って。またあとで会えるその日まで」

なんだかんだ、別れの挨拶をしているうちに信藤さんを先頭にグループが移動を始める。その姿をみた夢が

「ほら、いかないと。2人とも取り残されちゃうよ。みんなと居れば大丈夫だから。でも、自分の身は自分で守るってことは忘れないで」

坂根さんと志波さんが頷きながら、グループの方へ駆け足で合流していく。夢は、丘の上からグループの皆が見えなくなるまでそこで、その姿を見送っていた。

 ここから、夢1人だけの旅が始まる。先は見えず、示す羅針盤もない。自分が思うままに、自分のやりたいように、夢の可能性をかけた旅がやっと始まろうとしていた。またいつか、皆と道が交わる日を胸に抱きながら、一歩ずつ丘の上から足を踏み出した。


やっと、第一章を踏み出せました。なんとか今週十に出せてよかったと思います。序章の時と違い毎日更新とはいかないかもしれません。そこは申し訳ないです。読み返して、もっと練ってから上げれば良かったなと後悔したりもしましたので、最低でも1週間に一回を目指していきたいと思っています。(どうなるかは、わかりませんがw)まだまだ、未熟な作品ですが、これからもよろしくお願いします<(_ _)>それでは、次回後書きにて会える事を楽しみにしております。では、また次回~ノシ

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