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嗜好を思考し試行する。
「君が世界との関わりを棄てたと思っていても。世界は君を棄てたりはしないんだよ。だからコレは運命と思って受け入れないとね…。冗談だとしてもさ…。もう彼女の事は忘れないだろ?僕なりの【呪い】だよ。まぁ。夜も遅くなったら帰るよ…。またね…。」
彼はそう言ってー。
部屋から出ていった…。
「あぁ。またな…。」
私は彼の背中に、そう返した。
でも、違うんだ。私が見たのは私だったのだ。
見間違う筈はない。幾度となく見てきた私の顔だったのだ。
虚ろな瞳をして、くねくねと踊っていたのはー。
私だったのだ。
彼は知り合いだと言っていた。冗談なのだと言っていた。
だけど、あの動きは人間の動きでは無かった。人間の構造上では不可能な動きだったのだ。
全身を強打し、骨と云う骨が砕けてしまった様な…。
そんな動きだ。魂魄の魄と云う肉体の設計図を失った私だ。
私は再び、ベランダへと肉体を移す。
恐る恐る、地面へと瞳を移していく。
ほら…。
「分からない方がいい…。じゃないか…。」
其所にはー。
ぐにゃぐにゃと肉体を動かすー。
白装束に身を包んだ私が…。




