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愛するが故に…
「さて…。もう少し詳しく話そうか…。」
彼は一頻りに笑った後で、涙を拭きながら言った。
「どういうことなんだ?」
「どうもこうもないよ。君の日頃の行いの所為だよ。頼まれたんだ…。千崎ユキにね…。」
「はっ?千崎?死んだんだろ?」
私は人非人だ。思った事を思った儘に口にする。
「あぁ。死んだよ。飛び降り自殺だ。自殺する前に頼まれたんだよ。君の事をね。」
彼も、きっと人非人だ。人の、況してや同級生だった近しい人物の死を、意図も容易く言葉にしている。
「頼まれた?何を?」
「彼女は君を愛していたんだよ。だから…。」
「だから?」
「君を呪って欲しいってね。」
彼は、そう言って、また微笑んだ。




