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人の心の深い闇
「おいおい。何で千崎が出てくるんだ?」
私の思考は少し前から、追い付いてはいなかった。
同級生だった千崎が、出てくるとなると尚更である。
「もう少し解りやすく話してくれよ…。」
私の口から、溜息に似た言葉が漏れた。
彼は、そんな私を艶の無い黒い瞳で見てー。
「あぁ。そうか…。君は知らなかったのか…。」
と言った。
「知らなかった?何を?」
私は想った事を思った儘に口にする。
「千崎が死んだのは、君が関係しているんだよ。」
「えっ?何で?」
見に覚えが無かった。
記憶を辿ってみても思い当たる節は無い。
「千崎は、君の事が好きだったんだ。」
彼は陰鬱そうな表情で言葉を紡ぐ。
「まぁ。君が知らないのも仕方ないか…。君が不登校になって学校に来てなかった時の事だから…。」
ふぅ。と彼は吐息を漏らす。
そしてー。
「千崎は知ってしまったんだよ…。人の心の深い闇をね…。」
と言った。




