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噴水広場の程式工房

 アイナとカノンちゃんが街道を進むと、あたりの堤防もしっかりと整備されたものになってきました。場所によっては古い堤防を補強している様子も見られます。長い月日をかけて工事をしているのでしょう。

 カノンちゃん、先ほどはたぶん、自分の雰囲気が大きく変わっていることを気にしていたのだと思います。でもアイナは「カノン、すっごく背が伸びたのね」と驚くだけで終わらせてしまいました。そのおかげか、カノンちゃんは苦笑いを浮かべると、からっとしたもとの表情を取り戻しました。

 カノンちゃんがアワジマに来たのはアイナが義務学校に入って初めての夏休みのときでしたから、ふたりとも六歳、今から五年と半年前になります。顔つきこそ当時の面影は残っていますが、体つきは成人男性顔負けにがっしりとしていて、すっかり別人です。

 シノサカの豪商の娘さんで、アイナとすぐ打ち解けて遊び回るくらいに活発でしたが、一方で(しつけ)も行き届いていて上品な振る舞いをされるお子さんでした。体つき同様、その性格も随分と荒々しくなったようですが、何が彼女をこんなに変えてしまったのでしょう。

「このあたりの堤防もカノンたちがやったの?」

「んな訳あるか。わたしたちの生まれる前からずっと続けてるんだよ」

「ゴーレムがもっとあるといいのにね」

「それがゴショの奴ら、最近はシガアに優先的に(おろ)してるらしいんだよなあ」

 そんな話をしていると、ふたりは大きな橋に差しかかります。それを渡ってシノサカの中心街に入ると、今度は北へと進みます。

 シノサカの民が持つゴショの印象は、悪くなっているのでしょうか。私の時にはそのようなことはなかったはずですが、少し気になる話です。

 アイナ、今度は石造り、三階建て、四階建てが当たり前の街並みをキョロキョロと見回しては、質問を繰り返します。それに丁寧に応じてくれるカノンちゃん。

 日も傾き、通りの街灯ゴーレムが次々と光魔術程式(ていしき)を実行し始める頃、ふたりは中央に噴水ゴーレムを構えた円形の広場に到着しました。


「アイナ、あそこだ」

「ちょっとカノン、速いって言ってるでしょ」

 北東の一角にはオープンテラスを備えた、でもおしゃれと言うよりは素朴な雰囲気の食堂があって、カノンちゃんがずんずんと進んでいきます。その後ろを小走りに追いかけるアイナとライヴォーク。ふたりの歩幅の差は大きく、アイナは身体強化をかけて、カノンちゃんに歩調を合わせているのでした。

 そうして着いた先は、食堂の隣の建屋。カノンちゃんは『本日営業終了』の札を気にもせず、入り口の引き戸を開けます。

「こんにちはー! お邪魔しまーす!」

 ゴーレム数台がきっちり詰めて並べられている、暗くて広い部屋にカノンちゃんの大きな声が響きます。さらに奥にも部屋があり、そちらは明かりがともっていて何人かが作業をしています。そのうちのひとりが手を止めて、のっそりと出てきました。

「なんだ? 表に閉店の札を掲げてあるだろ」

 そう言いながらも程式を実行したのでしょう、入り口側の部屋にも明かりがつきました。

「っと、誰かと思えば、カノン嬢ちゃんじゃねえか。久しぶり、随分と大きくなったなあ」

 目つきの鋭い壮年の男性、五十歳くらいかしら、それが一転して破顔しました。

「ちょっとヒイデキ親方、わたしもいい歳だし『嬢ちゃん』はやめてよ」

 この人がマコットさんの紹介状にあった親方のようです。

「お父さんとお母さんはどうしてる? 元気にされてるか?」

「ふたりとも元気にやってます。今頃はナウラの辺りを行商してるかな」

 カノンちゃんのご両親ともお知り合いのようです。シノサカの豪商だから、きっとこの工房とも取り引きがあるのでしょう。

「そうかい、ナウラまでかい。随分と遠くまで出稼ぎしてるんだな」

 ヒイデキさんの声が少し沈みました。

 第一印象はマコットさんと同じ気難しい程式書家のように見えましたが、こちらはずっと感情豊かなおじ様のようです。

「時間はかかるけど、離れた街を行き来した方が稼ぎがいいし、それくらい当然だよ。それで今日はそういう話じゃなくて」

 カノンちゃんのご家庭は、何やら取り込んでいるようですね。ふむふむ。

「どうした、何か困ったことがあるのか? おじさんにできることなら何だってするぞ?」

 その問いかけに答える代わりに、カノンちゃんは外で待っているアイナとライヴォークを手招きします。

「ほう、これは見事なゴーレムだな」

 ヒイデキさん、入ってくるライヴォークの動きを目にして、最初の鋭い目つきにもどりました。さすがは商売の街シノサカに程式工房を構える親方です。

「アイナ、例の紹介状を実行しな」

 カノンちゃんがヒイデキさんの前にアイナを押し出します。

「えっと、わたしはアワジマから来たアイナです。この紹介状を見てください」

 アイナはお辞儀をして、紹介状魔術程式を実行します。

 胸元に浮かび上がる、四角い板状の光。

 ヒイデキさんはそれをだまって手に取ります。

「かー、マコットの奴、こんな可愛らしい内弟子を抱えていたのか。ずっと付き合ってるのに、そんなこと、一言も教えてくれなかったぞ」

 ヒイデキさん、文言を読み始めると、アイナやライヴォークに視線を向けてはニヤついてみたり、顔をしかめてみたり。何が書いてあるのでしょう。

「嬢ちゃんも、よくあんな頑固程式馬鹿と一緒に暮らしていたもんだな。大変だったろ?」

「そんなことないです。やさしくしてもらいました」

「あんな協調性の(かけ)()もない奴が?」

「えへへ」

 これはアイナも苦笑いするしかないですね。

「だけど教えるのは上手いんだよな。アイツの程式工房で助手が務まってたなら、嬢ちゃんも大したもんだ」

「たくさん教えてもらって、たくさんやらせてもらいました。あ、でも、義務程式はダメでしたけど」

「うん、そりゃそうだ。義務程式の強制導入(インストール)は厳しい免許を持ってないとやっちゃあいけないんだよ。はっ、そこらを教えないのもマコットらしいか」

 人への程式導入は、本人が心の底から同意していないと事実上不可能です。なのでどの自治領も、実行記録(ログ)魔術程式のような嫌がられる程式は、自我がまだ芽生えない新生児や乳児のうちに導入してしまいます。これが義務程式と呼ばれるもの。悪用すると恐ろしいことができるので、どの自治領も厳しく管理したり、制限をしたりしています。アイナがやらせてもらえなかったのは当たり前です。

「俺とマコットは実業学校の同級生でね。もうかれこれ四十年近くの腐れ縁になる」

 そう話をしながらヒイデキさん、洗浄魔術で手を洗って、入り口とは別の、磨りガラス越しに灯りがもれている引き戸に向かいます。

「立ち話も何だ。ふたりとも晩ご飯はまだだろ? ここで食べていきなさい」

 ヒイデキさんが戸を引くと、賑やかな(けん)(そう)といい匂いがあふれてきました。魔術程式で遮断していたのでしょう。その引き戸は隣の食堂に通じていました。


「なんだい、あんた。食事にはまだ早いでしょう?」

 いきなり、威勢のいい女性の声が飛んできます。

「お客さんだ」

 ヒイデキさんは短く応じ、体を横にずらします

「あら、カノン嬢ちゃんかい? 大きくなったねえ」

「久しぶりっす。ご無沙汰してます」

 ペコッとお辞儀をするカノンちゃん。すぐに挨拶を切り上げ、通路を空けます。

「そちらの子は、初めまして、だね」

「アワジマから来たアイナです。このゴーレムはライヴォークです」

 アイナも食堂に進んで、挨拶をします。

「これはご丁寧に。この食堂をやっているミホウです。アイナちゃん、よろしくね」

 (かっ)(ぷく)のよい壮年の女性、ミホウさんはにこやかにアイナに応じてくれました。


 三人が案内されたテーブルにつくと、ミホウさんは慣れた手つきで冷たい水の入ったガラスのコップを静かに置いていきます。ライヴォークは壁の前、アイナの背で立ったまま。店のお客さんたちがライヴォークを目にしてざわつきましたが、それもすぐに収まりました。

「ご馳走したいから適当に見繕ってくれ」

 ヒイデキさんがそう言うと、ミホウさんは「あいよ」と元気に答え、(ちゅう)(ぼう)に向かっていきます。

「ミホウは俺の女房な。この食堂は工房の客の待合所にもしてるんだ。もう二、三時間もすれば、客でいっぱいになる」

 ヒイデキさんがアイナにそんな説明をしていると、ミホウさんが戻ってきました。「定食よりおいしいご馳走を用意するからね」なんて小声で(ささや)いて、テーブルの横で客待ちをします。

「それでアイナ嬢ちゃんは、シノサカに来てどうするつもりなんだい」

 するとヒイデキさんが本題に切り込んできました。はじめからミホウさんと一緒に話を聞くつもりだったようですね。

「わたし、一流の魔術(てい)(しき)(しょ)()になりたいんです」

 アイナはコップを両手で抱えて答えます。

「それはアワジマにいてもなれるだろうに」

「リゾート地の程式工房なんて、天国のような職場だぜ」

 すかさず容赦のない突っ込みをいれるヒイデキさんとカノンちゃん。アワジマはのどかで温暖な島だし、程式工房は地域を支え人々に頼りにされている職場ですからね。

 アイナは首を少しすくめて反論しません。初対面の人に、込み入った話をする気はないようです。

「この木製ゴーレムはマコットさんの工房のもの?」

 三人のやり取りを見かねたのか、ミホウさんがヒイデキさんを射抜くように見つめて尋ねます。

「バカ言え、こんなゴーレム、アイツに作れるもんか。まあ、俺にも無理だけどな。これはとんでもない代物だ」

 それに小さく(うなず)きながら返すヒイデキさん。

 おふたり、表情と言葉のやり取りが合っていません。夫婦のあいだで別の会話をしているようです。アイナが訳ありと見てとり、ミホウさんが確認したというところでしょう。

 そうしていると厨房からミホウさんを呼ぶ声が聞こえてきました。最初の料理が出来上がったようです。


「なんだアイナ、もういいのか? いいんだったらそのおかず、わけてくれ」

 アイナの話はいったん棚に上げられ、シノサカの話題を中心にとりとめの無い会話が進んでいました。そんな中で早くも箸を置いたアイナにカノンちゃんが反応します。

 カノンちゃん、背筋を伸ばして育ちの良さを伺わせながら食事をしていたのに、随分とお行儀の悪いことを言い出すものです。

「あら、口に合わなかったのかい? シノサカの味付けは薄いっていわれるけど、アワジマも同じよね」

 ミホウさんも気にされた様子。

「違います。とてもおいしかったです。すみません、わたし小食なんです。言うタイミングが見つからなくて」

 気まずそうにアイナは答えます。

「あらそうなのね。いいの、いいの。何も聞かなかった私らが悪いんだから。でもカノン嬢ちゃんと同い年ならもっと食べるようにしないと。魔術程式書家は体力も必要よ」

 そう言ってくれるミホウさん。もっとも体力については、あるに越したことはないですが、魔術程式書家の能力とはあまり関係ないと思います。

 そうして三人が食事を終えると、ミホウさんが片付けて、緑茶を淹れてまわります。


「まあなんだ、アイナ嬢ちゃん。特に行くあてが無いんだったら、うちの工房で住み込みのバイトをしないかい? ついでにもうすぐ始まる実業学校に通うといい。実業学校は一年だけだ。それくらい大丈夫だろ?」

 お茶を一気に飲み干してヒイデキさんがまた切り出します。その湯呑みに黙ってお茶を足すミホウさん。

「いえ、バイトなんて無理に用意してくださらなくても。それに学校なんて、そんなの」

 アイナは不意を突かれたよう。慌てて断ります。

 アイナは学校がきらいというか苦手、たぶんこの春卒業できてほっとしているところがあるはずです。

「アイナ、いい話だと思うよ。わたしも実業学校に通うんだ」

「ほお、そうなのか。そういや、昔から(から)()りものが大好きだったな」

 カノンちゃんのことは、ヒイデキさんも知らなかったよう。

「おかげで、とんでもないこと、しでかしちまった」

「む、すまん。もう、過ぎたことだ」

 急に落ち込むカノンちゃんに、謝るヒイデキさん。これは何の話でしょうね。

「で、魔術程式科は、将来程式工房に就くなら学費は無料だぜ。二年は働く必要があるけど、そんなもん、すぐだ。どうせ今まで働いていたようなものだろ」

 私のときも学費が安くなる条件はありましたが、ついに無料になったのね。

「カノン嬢ちゃん、二年じゃない、三年だよ」

 ヒイデキさんの訂正に、カノンちゃんは舌を出してごまかしています。

「入学には程式書きの能力が必要だが、マコットの手伝いをしていたなら問題ないだろ。腕は一応確認させてもらうが、俺の推薦状があれば間違いなく入学できる。程式書家になれる人材は希少だからな」

 ヒイデキさんの言う通りです。程式は誰でも書けるのですが、高度な程式となるとそうはいきません。程式を書くのにも魔術程式を使うので、十分なマナ能力がないと複雑な程式、大規模な程式を書けませんからね。

「おばさんもこのゴーレム、ライヴォークだっけ、食堂を手伝ってもらえると助かるわ。バイトの子を入れてない時間帯は出かけられなくて困っているのよ。店にいてくれるだけでいい宣伝になりそうだし」

 ミホウさんも本気とも冗談ともつかない話を交えて、説得に乗り出します。

「そこまでやってもらえるなら給金をはずまないとな。学費を払うほうがいいなら、足りるぐらいは出すよ」

 ヒイデキさんがダメ押し。そもそもアイナは大したお金を用意していないので、どこかで稼ぐ必要があります。

「分かりました。ライヴォークとお世話になります」

 アイナはヒイデキ夫妻の申し出を了承しました。

 こんな好条件がほかにあるはずもありません。マコットさんの()()に頼るのが後ろめたくて、迷っていたのでしょう。

「なら、よっと。――とと、なんでい?」

 突然立ち上がったヒイデキさんに、ミホウさんがエプロンを外して押し付けます。

「あの部屋を片付けにいくんでしょ? 女の子の部屋なんか、あんたに任せられるわけないじゃない」

 あなたの考えはお見通し、とばかりにミホウさん。ヒイデキさんは「へいへい」と口を歪めながらエプロンを受け取り、程式を実行します。身だしなみを整える魔術程式のようですね。髪や衣服がしゃきっとしました。ウエイター仕事にも慣れているみたいです。

 さっそくお客さんがやってきましたが常連さんのよう、そんなヒイデキさんを目にして、「うへ、今日の店番は親方か」と落胆しています。ヒイデキさんは「後はよろしくな」と入り口に向かっていきました。


 食堂が混み合ってきたので、アイナとカノンちゃんは程式工房で待つことしばし。ミホウさんが「お待たせ。用意できたわ」と戻ってきました。ふたりを居住スペースへと案内します。

 靴を脱いでスリッパに履き替える三人。ライヴォークも足裏を魔術で清掃します。次いで階段をのぼると、ライヴォークも苦にせずついていきます。ミホウさんはそんな様子を見て、「これは確かに、あの人にも作れないわ」と感嘆します。

 ついたのは二階、南西の角部屋。

「わあー、すてき」

「こいつはいいな」

 部屋に入ってアイナとカノンちゃんが歓声を上げます。

 窓を開けると、噴水広場を一望できる特等席です。仕事が終わりこれから出かけようとしているのか、待ち合わせの人々で賑わっています。

 でも窓を閉めるととたんに静かな空間に早変わり、窓自体がゴーレムなのでしょう、遮音魔術程式が自動実行されました。きっとヒイデキさんの特製。普通の家庭に備え付けられるような設備ではありません。

「娘が使ってたんだけど、嫁にいったからね」

 ふたりの反応にミホウさんは気を良くしているよう。

 部屋にはベットにクローゼット、小さなテーブルに椅子二脚、大きな姿見まであります。

 アイナは部屋中の家具の扉や引き出しを開けては、見て回ります。

「ねえ、ミホウさん」

「なんだい、カノン嬢ちゃん」

「あー、その嬢ちゃんっていうのは無しで。もうお嬢さまでもないんだし」

「そうかい。そんなの関係ないけど、じゃあ、カノンちゃんでいいかい」

 はしゃぐアイナを横目に、椅子に腰掛けたカノンちゃんがミホウさんに話しかけます。

「そのー、前から不思議だったんだけど、この店、どうしてこんな好条件の場所に立地できたの」

「やっぱり商売人のお嬢さんだね」

「もうっ。そりゃ程式工房が儲かるのは分かるけど、食堂のほうはずっと前からあったんだよね」

 ミホウさんの()(らか)いを流して、カノンちゃんは質問を続けます。

 食堂の作りは古くて、工房があとから増設されたことは、誰の目にも明らかでしょう。食堂の真上にあるこの部屋も、綺麗に掃除はされていますが、壁や床、天井が日に焼けているのは隠せません。

「それは逆よ、カノンちゃん」

 ミホウさんももう一つの椅子に腰掛けました。アイナもベッドに腰を沈めて、ふたりの話に聞きいります。ライヴォークはすでに部屋の隅で待機モード。

「逆って?」

「私の親が切り盛りしていた頃は、この辺は街の外れだったの」

「へー、そうなんだ」

「あそこにあの人が噴水ゴーレムをつくったら、街の名物になってね。それから、このあたりも賑わうようになったんだよ」

「あー、そういうことか。でも、それってもしかして」

「そう、あの人が首席をとった報償よ」

 ミホウさんの頬が赤くなっています。

「ひゅー。親方も見かけによらずやるなー」

 さきほどのお返しとばかりに、冷やかすように言うカノンちゃん。

「ねえねえ、カノン。どういうこと?」

 足をパタパタと揺らして聞いていたアイナには、訳が分かりません。

「実業学校で首席を取ると、報償を自分から決められるんだ」

 アイナに向かってそう説明し、

「それで噴水ゴーレムを設置させてもらったんでしょ?」

 と、カノンちゃんはミホウさんに答え合わせを求めます。

「それと食堂の隣の、空き地の購入権ね。独立して工房を構えるまで、随分と待たされたわ」

 窓の外に視線を移してミホウさんは答えます。カノンちゃんは、自分だったら現金にするなあと、夢の無い反応。


 アイナはそんな二人のやり取りを眺めながら、何やら考えごとを始めたようです。

 それはまるであのときと同じ。

 そう、アワジマで似非(えせ)観光客から(けしか)けられたときと同じです。

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